検索
連載

日本人技術者の脱皮はすでに始まっているメカ設計 イベントレポート(16)(2/2 ページ)

『ものつくり敗戦』の木村氏の辛口講演で幕を開けた「SolidWorks World Japan」の内容を交え、日本の技術者の未来について考えてみる

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

――日本では、SolidWorksのiPhone/iPad対応機能(3DVIAと連携)への注目度が高いようです。

シコット氏:iPadやiPhoneは、スピンやズームなど、タッチの操作性が秀逸ですね。当社では、iPhoneのような新しいデバイスだろうが、デスクトップだろうがノートパソコンだろうが、関係なく使えるシステムを提供していきたい。(設計・開発のツールは)単に面白いだけではなく、あくまで実用的なものでありたいですよね。

こんなことも、聞いてみた

 このイベントでは、新製品「SolidWorks Connect」の発表が行われた。データ管理用のサーバを持っていなくてもWeb上に設計データがアップでき、Webブラウザベースでデータ共有もでき、かつサブスクライブで利用可能というこのシステム。こちらはPLMに手が届かなかった中小企業のユーザーでも手が届くシステムとして開発された。

 さて、どこかでこれと同じようなことを聞いた気がする。2010年2月に米国で開催された「SolidWorks World 2010」で発表されたアレか……?

――2010年2月に発表した「Product DATA Sharing(PDS)」と、今回発表された「Solid Works Connect」は同じものでしょうか。

シコット氏:はい同じです。(製品名ではなく)コードネームなので、発表者の意図によって呼び方がしばしば変わります。(2月に発表した)ジェフ・レイも、クールな名前をと思ってPDSと呼んだのでしょうね。今後の発表では、また変わるかもしれませんよ(!?)。ともあれ正式な製品名はこれから決まります。今年末の製品発表を楽しみにお待ちください。

未来の技術者たちから脱皮せよ

 今日の自動車も、システム製品の代表格。学生フォーミュラは、まさに、そのシステム製品を1年かけて作るプロジェクトだ。この活動は、工作や機械製図が得意な生徒だけが集まっているのではない。ソフトウェアが得意な人、制御設計が得意な人、文系で営業や資料作りが得意な人、などさまざまな特性の人が集う。ここ数年の学生フォーミュラ車両は電装部品が積極的に取り入れられ、その独自設計に積極的に取り組むチームさえも見られる。また、限られた資金と月日で、大会で完走できる1つの車両を完成させるには、論理的に考えることが強く要求される。


学生フォーミュラ大会の集合写真撮影の様子(第8回大会より)

 ソリッドワークス・ジャパンが本イベントで発表したデータによると、第8回 全日本学生フォーミュラ大会の出場校76校中、57校がSolidWorksユーザーだったという。総合優秀賞6校のうち、5校が同社ユーザーである。その背後には、同社の学生支援体制の熱心さがうかがえる。

 学生フォーミュラ大会が最初に始まったのは、DSソリッドワークスのあるアメリカ。米DSソリッドワークスも創立当時から、フォーミュラ学生たちにソフトウェアの貸し出しを積極的に行ってきたという。

 日本大会は2010年大会で8回目の開催だったが、ソリッドワークス・ジャパンはその第2回からソフトウェアの貸し出しを行ってきた。いまでは、フレームの設計・解析、エンジンの流体解析などのトレーニングもボランティアで支援している。今年も12月に関東ブロックでトレーニングを行うとのことだ(ほかの地区ブロックでも開催予定だ)。

 地区ブロックにはそれぞれ学生リーダーがいて、彼らが地区内のフォーミュラ学生たちを招集し、トレーニングが開催される。講師になるのは、ソリッドワークス・ジャパンの解析サポート部隊や、メーカーに勤める設計者であるユーザーの有志たち。ツールのオペレーションだけではなく「設計とはなんぞや」ということまで、モノづくり現場のユーザーの声を通して学べるという学生たちにとって大変有意義な機会だ。講習を受けた学生たちは将来、生きた知識を身に付けたシステム製品設計者の卵として巣立っていくことになるだろう(もちろん、すべてがその道へいくとは限らないが)。

 日本人技術者の脱皮は、すでに始まっているといえないか。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る