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3次元CADで“俺iPhoneケース”を作ってみた俺仕様なiPhoneケースを作ろう!(2)(1/3 ページ)

iPhoneケースは、市販品もすてきなものがあるけれど、やはり自分のオリジナルがほしい! そういうわけで、評価版3次元CADとRP機を使って、「俺iPhoneケース」作りに筆者がチャレンジしてみた。(編集部)

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 前回は、Solid Edgeを使って、趣味レベルでも3次元のソリッドモデラーを一通り使いこなすことができるかどうかを試してみた。大して考えもせずにいくつかの身の回りのものをモデリングしても、それなりの形になることは分かった。また、記事には書かなかったが、STL形式で出力したものも、別のソフトでその品質をチェックした方がよいものがあった。後で、RP(ラピッドプロトタイピング)でリアルにすることを考えているので重要なポイントだ。

 そんなところで、気を良くしていたのだが、日常の仕事に追われているうちに瞬く間に試用期間が過ぎていく。いまにして思えばベンダに在籍していたころ、なぜ試用の製品が必ずしも使われていなかったのかを考えていたのだが、つまるところ、みんな日常が忙し過ぎるからだ。アタマではずっと分かっていたが、いま実感した。

 しかし、今回はソフトの開発元がイメージコンテストをやっていて――本来はユーザー向けのものだと思うのだが――なぜかそれに応募すると試用期間がさらに30日間延長されるというキャンペーンをやっていた。ということで、少々無謀だとは思ったが、一応出しても恥ずかしくないものをモデリングして、そこに提出した。ということで、この記事執筆も無事に継続できる。

俺iPhoneケース、デザイン開始

 さて、いよいよこの連載記事の題名である「俺仕様のiPhoneケース」のデザインである。実は結構悩んだ。自分が使いたいものを作るので、つまるところ、どんな形でもいいのだが、作る以上はあまり世間で見掛けないものを作りたい。第一、よく見掛ける形であれば、大量の品ぞろえのある家電量販店で買ってきた方が早いし安い。

 今度は、いまから4年ほど前にニコラデザインで企画した当時のiPod nanoのケースのデータを引っ張り出した。とある日本の伝統的工芸をモチーフにしたこのケースは結局、コストの関係で没になったのだが、いまでもどこかでこの形を復活させたいと考えてはいた。しかしiPhoneのボタンの位置の関係などもあり、やっぱり難しい。一瞬、当社のデザイナーであるニコラの顔を思い浮かべたのだが、そもそもわたしの趣味に引きずり込むほど彼も暇ではない。そもそもわたしがやらなくては意味がないのだ。というところで、まずは形のことばかり考えないで、自分の思いやニーズ、制限事項がどのようなものかを整理することにした。

  • よく見掛けるような形ではなくて、ちょっと変わった形であること
  • iPhoneの使い勝手が阻害されないこと
  • かばんの中で迷子にならないように、どこかに掛けておく機能があること
  • ベルトなどにも必要に応じて装着が可能であること
  • このケースとセットになるマウント、台があること
  • できる限り生身のiPhoneを感じることができること
  • 種類は問わないが、RPで出力することが可能であること

 生身のiPhoneをできるだけ感じることができる、とはどういうことか。例えば、いま使っているiPhoneのケースも気に入ってはいるのだが、ケースを外すと、実はiPhoneがかなりスリムであったことを認識する。その元の感覚をどこかで感じておきたいのだ。フックというのも本当に必要かどうかはちょっと考えどころではある。が、いろいろとモデリングもしてみたいし、自分的なニーズはあるので付けてみることにした。実際ストラップホールがあるケースはあってもフックがあるケースはあまり見ない。

 もう1つは専用の台である。ものは置き場が固定していないと行方不明になる。いま、会社では気に入った台を使っているのだが、家ではそうではない。ならこれを機会にセットとなった台を作ってみるのだ。

 最後に、これがある意味で最重要なのだが、画面上でいくら格好の良いものが出来上がっても仕方がない。趣味とはいえ、これはモノづくりなのだ。何らかのRP機で出力することができなければ意味がない。つまりある種の製造条件を考えなければならないのだ。

 散々悩んだ末に方針は決まったので、早速モデリングを開始した。iPhoneそのもののデータ作成についてはショートカットした。以前、仕事のプロジェクトで作成してあった、iPhoneのデータ(iPhone3G、3GS)があったので、それを利用する。そのデータの作成は別のCADだが、データはIGES形式でも保存してあるので、それをインポートする。もともと形状としては簡単なものなので、特にジオメトリの破たんもない。

ALT 図1 iPhoneの3次元データ

 問題はここからだ。当初はシルエット的に格好の良い形状を考えたのだが、なかなか決まらない。なので、まずはよくあるケース同様に、iPhoneそのものの形に追従させることにした。であれば、話は早い。Solid Edgeの「厚み付け」というコマンドがある。このコマンドで基のiPhoneのデータを外側へ1.5mmほど大きくした。余分なジオメトリも削除して出来上がった。

 ここからはまず画面正面に該当する部分の面を抜く形で「側壁」(シェル)コマンドを用いて厚さ1.5mmでシェル化した。これでようやく出発点だ。ところで、厚さを1.5mmにしたことで、いま事務所内にあるDimensionを使って出力することはあきらめざるを得なくなった。なぜかというと、壁の推奨の厚みが少なくとも3mmなのだ。3mmではいくら何でもやぼったくなりそうだ。なので、さまざまなiPhoneケースも横目に見つつ、1.5mm程度にしてみたのだ。じゃあ、どのRP機で出力するか。それは次回までに考えておく。

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