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タイトな需給調整に向けた標準化をSaaSでアビーム、「需給クラウドサービス」の提供を開始

需給クラウドサービスは、同社の持つ需給調整テンプレートをSaaS化、NECが提供する「共通IT基盤サービス」である「RIACUBE」上で運用可能にしたもの。サプライチェーンの壁、すなわち、在庫日数26日および20日の壁を乗り越えることができるという。

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 アビームコンサルティングは2010年10月6日、「需給クラウドサービス」の提供を開始した。

 需給クラウドサービスは、同社の持つ需給調整テンプレートをSaaS化、NECが提供する「共通IT基盤サービス」である「RIACUBE」上で運用可能にしたもの。提供価格は初期費用の目安として1000万円から、月額利用料は100万円からとなっている(導入期間は3カ月を想定)。対象業種は、ハイテク、医薬のほか消費財や食品業界も含む。

 提供開始に合わせて行われたプレスセミナーでは、冒頭、アビームコンサルティング プロセス&テクノロジー事業部 SCMセクター長 プリンシパル 安井 正樹氏が登壇、「サプライチェーン改革では、在庫日数26日および20日に『壁』が存在する」という同社リサーチ結果を示した。


アビームコンサルティング プロセス&テクノロジー事業部 SCMセクター長 プリンシパル 安井 正樹氏 食品加工企業を例にしたリサーチ結果からSCM改革の「壁」の存在を示した。

 ここで言及されている同社リサーチとは2010年2月に発表したリサーチレポートだ。国内製造メーカーを対象に、在庫日数ごとに分類、それぞれのグループが抱える課題とその対策を検討したものだ。ここでその内容をおおまかに紹介すると、26日の壁は属人的なSCM調整の限界値、20日の壁は中央集約型のSCM改革の限界値だという。同社リサーチによると在庫日数20日以下の企業で特徴的なのが、自立分散型のサプライチェーン管理体制が成立している点だという。

 この2つの壁のうち、「26日の壁」ではそもそも需給調整が属人的な管理体制であるなど、業務の標準化が行われていないことが原因で壁を越えられないと考えられるため、まず標準化して業務を可視化し、各部門の課題を共有、効率のよい調整活動を実現するための仕組みを提供するのが、同サービスのねらいだ。

 「SCM改革の土台となるのは、属人的なオペレーション体制を排除し、ワークフローを標準化すること、需要部門、供給部門、調整部門がそれぞれ同じ数字を見ること。今回のSaaSテンプレートではこのSCM改革の土台部分を提供していきます」(アビームコンサルティング プロセス&テクノロジー事業部 SCMセクター マネージャー 山中 義史氏)。

 SCMの効率化は、究極的にはビジネスプロセスの見直しや責任権限の再配置などを含む改革が必要だが、このような改革を行うためのベースとなる部分を少ない初期投資で実現し、投資額の面で改革に踏み込めなかった企業を支援する。需給調整活動の標準化が実現すれば、その先のステップとしてさらなるSCM改革や、究極的には「20日の壁」を越えた自立分散型の調整活動を目指すことも可能になるという。

 「パッケージ製品では規模によっては数億円規模の投資が必要となるため、なかなか改革に着手できなかった企業であってもSaaSで提供することで効率よく導入でき、IT管理にかかわる人的コストも削減できます」(山中氏)。

 テンプレートでは同社のコンサルティング経験に即したベストプラクティスといえる内容が盛り込まれており、導入と併せてワークフローの変更や定着についてもサポートするとしている。

 ワークフローの標準化、生産計画や需要予測などの自動化のほか、将来在庫予測に基づいたアラート表示にも対応する。設定したしきい値を超えた数値が出現した場合は迅速に対策できる仕組みを備えている。

 SaaS版は低コストで導入可能なため、中堅・中小企業向きと思われがちだが、同社では大手企業や、業界全体での導入といったケースも視野に入れているという。

 「SaaSで提供することで低コストでの導入が可能になっていますが、対象は中堅中小企業だけでなく、オペレーションコストが高いことを課題としている大手企業も対象になると考えています。場合によっては、業界企業ごとの共通基盤として整備していくという形も考えられるでしょう」(安井氏)。

 同社は初年度で10数社程度に導入することを目指すとしている。


テンプレートの画面サンプル 同社発表資料より(クリックで別ウィンドウに拡大表示)


需給クラウドサービスのカバー範囲 同社発表資料より。

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