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主役は充電システム、EV化技法にも注目集まる電気自動車開発技術展 2010(1/2 ページ)

2010年7月14日〜16日、『電気自動車開発技術展 2010』がパシフィコ横浜で開催された。同展示会では、『クリーン発電&スマートグリッドフェア 2010』が同時開催されたこともあり、電気自動車用の充電器に関する展示が強い存在感を示した。また、通常のガソリンエンジン車を電気自動車に改造する「EV化技法」に関する展示も目を引いた。

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「EC-03」に熱い視線

 まず最初に、展示会で最も注目を集めたであろうヤマハ発動機の電動2輪車「EC-03」を紹介する。会期初日には、同車の発売が正式に発表された。展示会では、その実機以外に、後輪のハブ部に組み込まれているパワーユニット(写真1)と、運転席の下部に搭載されているリチウム(Li)イオン電池モジュール(写真2)も展示された。


写真1「EC-03」のパワーユニットのカットモデル
写真1 「EC-03」のパワーユニットのカットモデル 
写真2「EC-03」のLiイオン電池モジュール
写真2 「EC-03」のLiイオン電池モジュール 

 パワーユニットには、ブラシレスDCモーター、小型のECU(電子制御ユニット)、遊星歯車減速機、ドラムブレーキなどが1つにまとめられている。また、後輪と車体フレームを接続するリアアームと一体化することにより、省サイズ化に成功したとしている。

 一方、Liイオン電池モジュールは、サイズが352mm×204mm×76.4mmで、重量は約6.8kg。三洋電機の18650(直径18mm×高さ65mm)タイプの電池セルを112本搭載している。112本の電池セルは、14本を直列に接続したものを1組とし、並列で8組接続するという組み合わせになっている。


多種多様なEV用充電設備

写真3東芝の急速充電器
写真3 東芝の急速充電器 東芝社内で進めているスマートグリッド実用化プロジェクトで試験的に運用した後、2011年〜2012年にかけて製品化される予定。
写真4日立ソフトウェアエンジニアリングの充電サービスのデモ
写真4 日立ソフトウェアエンジニアリングの充電サービスのデモ 中央にある端末が充電サービスコントローラ、右端にあるのがEV用充電器。
写真5シンフォニアテクノロジーの急速充電器
写真5 シンフォニアテクノロジーの急速充電器 同社は、2010年秋からの販売開始を予定している。価格は300万円〜350万円。
写真6豊田自動織機/日東工業の充電スタンドの新モデル
写真6豊田自動織機/日東工業の充電スタンドの新モデル 豊田自動織機は、新モデルの発売に合わせてデータセンターによる管理サービスを開始する。
写真7「EVコンセント」
写真7「EVコンセント」 充電管理システムと併せてネオシステムが販売する。同社は、このEV充電システムを主にショッピングセンターや駐車場向けに展開する方針。

 続いては、電気自動車(EV)用充電設備の展示について紹介する。

 東芝は、開発中の「分散配置型の充放電機器システム」を利用したEV用急速充電器に関する提案を行った(写真3)。同システムでは、交流‐直流の電力変換を行う双方向インバータを用いて、太陽光発電システムで発電した電力の余剰分を含めた配電系統からの交流電流を直流に変換する。そして、この直流電流により、同社のLiイオン電池「SCiB」にいったん蓄電する。SCiBに蓄電した電力は、夜間に、双方向インバータを通して配電系統に戻して使用したり、EVへの充電に利用したりすることができる。双方向インバータは、急速充電器に必要な電力変換の機能としても利用することが可能である。これにより、一般的な急速充電器に必要とされる電力変換ユニットが不要になり、急速充電に対応する充電コネクタを備えたスタンドを設置するだけで済む。

 日立ソフトウェアエンジニアリングは、EVへの充電サービスを構築するのに用いる基盤技術について、デパートでの利用をイメージしたデモを行った(写真4)。デモの内容は、売り場の近くに設置した充電サービスコントローラを用いることで、デパートの駐車場の充電器から来場客のEVに充電するサービスを提供できるようにするというもの。この充電サービスコントローラは、Javaアプリケーションを用いた遠隔管理システムのオープン規格であるOSGi(Open Services Gateway Initiative)に準拠している。「OSGiは、日立グループが提供するスマートグリッドシステムのプラットフォームとなっているので、この充電サービスはそれらとの融和性が高い」(同社)という。

 シンフォニア テクノロジーは、定格出力が50kWのEV用急速充電器を展示した(写真5)。電力変換を行う電源盤のサイズが幅950mm×奥行き440mm×高さ1794mmと、競合他社品と比べて設置面積が小さいことを特徴とする。

 豊田自動織機と日東工業は、2010年秋に発売する充電スタンドの新モデルを展示した(写真6)。この新モデルは、携帯電話回線を用いた通信機能を搭載する点で従来モデルと異なる。この通信機能により、充電サービスの利用時間や充電設備の稼働状況などを、データセンターで一元管理できるようになる。

 九州電力は、1台当たり3万8000円という低価格を特徴とするEV用充電設備「EVコンセント」と、携帯電話機を用いた充電管理システムを展示した(写真7)。同システムでは、EVコンセントに書き込まれているQRコードを携帯電話機で読み込んで、携帯電話機から充電管理サーバーにアクセスし、EVへの充電の開始、充電状態の監視、充電の予約などを行う。

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