米国でグローバル化の実績を積んだ標準準拠ERP ― glovia G2:ものづくり支援ソフトウェア製品レポート(6)(1/2 ページ)
製造業を取り巻く厳しい経営環境の中で、高い次元のQCDを達成するにはITツールによる業務支援が不可欠である。本連載はPLM、ERP、SCMなど製造業向けの代表的な業務支援ソフトウェアの特徴をレポートしていく。
数年来、国内外のさまざまなベンダが、エンタープライズシステムのグローバル化対応を加速している。そんな中、米国を本拠地として世界各国でサービスを展開するグロービア・インターナショナルはいち早く、米国のグローバル企業の要求に対応した国際標準の基幹システムを提供してきた。@IT MONOist編集部では同社の製品開発責任者である後藤 彰一氏および、グロービア・インターナショナル日本法人の副社長 菊地 哲也氏に話を聞く機会を得た。本稿ではその内容を紹介する。なお、以下の記事では、特別な注意書きがない限りは後藤氏の発話によるものである。
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グローバル化に必要な要件
最近ではしきりに企業の基幹システムもグローバル化しなければならない、といった話題を耳にします。貴社が考えるグローバル化とはどういったものでしょうか。
米国グロービア・インターナショナル Senior Vice President 後藤彰一氏(以降、表記略): たしかにグローバル化はいま最も注目されているキーワードの1つですが、当社から見ると、以前から対応できていることに過ぎません。
グローバライゼーションというキーワードは、いま盛んに語られていますね。しかし、米国などではずっと前に――少なくともわれわれが米国でサービスを立ち上げた1990〜2000年代には当たり前になっていたのです。
1990年ごろから当社とお付き合いのある、とあるグローバル企業さまの例を紹介しましょう。
その企業ではアイルランドに工場を持っていました。そこにまず、われわれの製品を導入したのです。導入のもともとの趣旨は、その工場への導入後、全社的に横展開していこうというものでした。いわばアイルランド拠点への導入はその企業のインフラ改革のパイロットプロジェクトですね。
この企業では実際にアイルランド工場でglovia.comを利用し、ここでの稼働実績を認めていただいたことで、米国本社への導入も決定した事例です。米国本社にglovia.comを導入した時点でアイルランドの生産拠点と米国本社はグローバルなシステム連携が完了しています。その後、米国内外の各拠点への導入が順次行われました。このお客さまの例では少なくとも10年前にはシステムのグローバル化に着手されています。
当社は米国に拠点を置く企業として、米国企業の動向をキャッチしながら開発してきた経緯があります。いま、日本企業のグローバル化が喧伝されていますが、われわれにとっては10年も前に経験してきたことなのです。
システムのグローバル化は一方で、ローカルに必要な情報――例えば通貨の情報や現地の会計基準への適応などへの対応も重要なポイントです。これについても、もともと地域ごとに提供している標準パッケージを使ったローカライゼーションが可能です。通貨にも会計基準にもすでに対応していますので、すぐに各地の拠点に適用できることも当社製品の利点といえるでしょう。もちろん、先に紹介した企業の場合は米国本社は米国の基準に合致し、各拠点では現地の基準に合致したシステムを提供しています。
標準接続インターフェイス規格準拠で:“共存ソリューション”を提案
システムの接続についても当社製品には利点があります。当社のパッケージ同士の「閉じた」接続形態はもちろんですが、他ベンダの製品であっても接続可能です。
以前から、本社にはほかのパッケージが導入されていて、一拠点だけに当社製品の導入を行った場合でも、われわれの提供しているXMLベースのアプリケーションインターフェイス(API)を利用して定義すれば、連携が可能でした。ただし、ユーザー企業のビジネスは固定的なものではありません。ビジネスに変更があるたびに、再定義あるいは再カスタマイズと検証が必要なため、煩雑さは否めませんでした。
そこで、2010年1月から提供を開始した新製品「glovia G2」ではSOA接続インターフェイスに対応することになったのです。
SOA接続インターフェイスを持ったことで、glovia G2とほかのシステムとの連携については、標準インターフェイス接続のため、煩雑な手続きが不要となり、工数削減が期待できます。もちろん、その分の負担も少なくて済むでしょう。
例えば、本社や、大きな工場では高額なシステムを導入している企業でも、関連の小さな工場、あるいはM&Aが行われた際に統合する相手先のシステムが異なるものであった場合では、当社ソリューションは非常に有効です。
相手側システムが対応していれば、当社ソリューションのSOA接続インターフェイスを活用して、少ないコストで本社と各拠点を接続できます。システムそのものもすっきりするはずです。同一製品ですべての拠点をまかなう、という発想もありますが、この場合、非常にコストが高くなります。この点がわれわれの強みだと思います。
われわれは「共存ソリューション」であることを1つの利点としてアピールしていますが、どちらかというとお客さまのニーズに応えつつ製品開発してきた結果として、こうしたアドバンテージを得た感があります。もちろん、基幹システムのフルリプレイスにも自信を持って提案できるものです。
グロービア・インターナショナル 副社長 菊地哲也氏(以降、菊地氏と略記): 実際のところ、大手企業さまではすでに非常に高額なパッケージを、膨大な工数をかけて導入しているケースがほとんどです。こうしたケースではなかなかすべてを一気に変えるのは難しいようです。使い勝手などを考え、フルリプレイスを検討している場合でもそこがネックになっている場合が多々あります。そこで、さきほどのように、まず拠点でパイロットプロジェクトを立ち上げ、成果を確認しながら横展開という方法で、システム更改・改革を進める企業さまも少なくないようです。
そこで有効なのが、標準接続インターフェイスを提供することによる、接続の容易性、安全性です。工数をかけず、先行ケースとして導入することができるので、システム更改・改革プロジェクトを担当する方にとってもリスクが少ないといえるでしょう。これは米国の企業に限らず、日本でも同様のようですね。
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