検索
特集

インテル、マイクロソフトの存在感が増す組み込み業界組み込みイベントレポート(2/2 ページ)

ESECレポート第2弾! 今回はデジタルサイネージ、監視システム、品質検証ツール/サービスにフォーカスし、展示・デモの模様を紹介する

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

目立つ監視システム向けソリューション

 セキュリティ強化の社会的なトレンドに合わせ、ESEC2010では、監視システム向けのユニークな提案も目立った。

 例えば、図研エルミックはネットワークカメラ接続仕様の統一を目指す団体、「Open Network Video Interface Forum(ONVIF)」の規格に対応するミドルウェア製品を積極アピールしていた。同社は、ONVIFのカメラ側規格(ONVIF/NVT)に準拠したミドルウェア「Ze-PRO IPcam」を2009年秋にリリースしていたが、ESEC2010に合わせてクライアント側規格(ONVIF/NVC)に対応した「Ze-PRO IPmon」を投入した。「Ze-PRO IPcamは、すでに大手電機メーカーのカメラ製品にも採用されている。クライアント側のZe-PRO IPmonが登場したことにより、われわれのミドルウェアでシステム全体をONVIFに統一できる」(説明員)と自信を見せていた。

図研エルミックが提供するONVIF対応ネットワークカメラ開発環境「Z-SYS on PFESiP」
画像5 図研エルミックが提供するONVIF対応ネットワークカメラ開発環境「Z-SYS on PFESiP」
関連リンク:
図研エルミック

 日立情報通信エンジニアリングがデモ展示を行っていた「魚眼レンズの歪(ゆが)み補正技術」も監視システムで使えそうだった。同技術は、魚眼レンズで撮影する動画像の歪みを専用回路によりリアルタイムに補正し、画角140度の超広角画像に変換する。「魚眼監視カメラの動画像は普通、分割表示したり、アングルを選択して表示するが、操作が面倒だったり、監視対象を追跡しにくかったりする。その点でわれわれの技術ならば、より自然な1つの画像で監視が行える」(説明員)というメリットがある。同社では専用回路をIP化して外部提供する考えだ。

魚眼レンズで撮影する動画像の歪みをリアルタイムに補正する
画像6 魚眼レンズで撮影する動画像の歪みをリアルタイムに補正する

 日新システムズは、ラントロニクスの仮想デバイスネットワーク装置「ManageLinx」による“究極の遠隔監視ソリューション”を打ち出していた。ManageLinxはファイアウォール越しでカメラとモニタなど、デバイス間通信を可能にする製品だ。デバイスのIPアドレスを管理する小型装置を通信する双方のLANに接続、その上でグローバルIPを持つ専用サーバをネット上に公開し、遠隔にあるデバイス同士の通信を橋渡しする。同社は「仮想デバイスネットワークならば、VPN接続のように既存ネットワークに変更を施す必要がなく、即座に短期間で導入でき、その後の運用も容易」と話していた。

日新システムズが打ち出す「究極の遠隔監視ソリューション」
画像7 日新システムズが打ち出す「究極の遠隔監視ソリューション」
「ManageLinx」は2つのハードウェアにより仮想デバイスネットワークを構築する
画像8 「ManageLinx」は2つのハードウェアにより仮想デバイスネットワークを構築する

品質検証を支援するツール、サービスも多数

 組み込みソフトウェア開発において、品質検証の強化、効率化は喫緊(きっきん)の課題となっており、それに向けたソリューション提案がESEC2010でも随所で見られた。

 例えば、2010年5月にリリースされたソースコード解析ツールの最新版「Coverity 5」を披露したコベリティのブースも人だかりが絶えなかった。Coverity 5は「静的解析」「動的解析」「ビルド解析」「アーキテクチャ解析」の総合的な解析機能を持つ。最新バージョンで刷新されたユーザーインターフェイス(以下、UI)では、静的解析で検出した不具合を業界標準の分類法「Common Weakness Enumeration」で分類したり、不具合が影響を及ぼす範囲を可視化することが可能だ。Coverityはもともと、パスシミュレーション、プロシージャ間解析などの手法により静的解析能力に定評があるが、新UIでさらに扱いやすくなったようだ。

関連リンク:
コベリティ

 一方、アクロスゲートグローバルソフトウェアのブースでは、“仮想ハードウェア”上で組み込みソフトウェアの開発・検証が行える「AcrossVT Developer」が目を引いた。統合開発環境のMicrosoft Visual Studio上で「仮想デバイス」「仮想モデル」を定義・記述して仮想ハードウェアを生成し、対象ソフトウェアのソースコードをネイティブコンパイルしてx86アセンブラで高速にシミュレーションを行う。これならば「特別なスキルがなくとも、実機レスでソフトウェアの検証が行え、“ハード待ち”が解消される」わけだ。

仮想ハードウェアにより実機レス検証を可能にする「AcrossVT Developer」
画像9 仮想ハードウェアにより実機レス検証を可能にする「AcrossVT Developer」

 このほか、キヤノンソフトウェアは、キヤノン製品向けソフトウェアの開発で培った“W字モデル”と呼ぶ品質検証技法をプレゼンしていた。要件定義にテスト計画、基本設計にテスト設計、詳細設計にテストケースと、上流から開発工程に呼応させてテスト工程を進め、各工程で開発とテストの成果物を突き合わせてレビュー・修正を行うことにより、“品質ドリブン”の開発が実行できるという。

関連リンク:
キヤノンソフトウェア

 また、オージス総研のブースでは、同社のユーザー自身がUMLモデルベース開発の取り組み事例をプレゼンしていた。その1社であるムラテックオートメーションは製造装置向けソフトウェアの開発において、オージス総研のコンサルティングを受けて開発・管理プロセスを見直し、QCDを大幅に改善したという。景気低迷で組み込み業界でも厳しさが伝えられるが、ESEC2010の充実を見る限り、上向くのも近そうだ。

ユーザー自身が開発プロセス改善への取り組みを語るオージス総研ブース
画像10 ユーザー自身が開発プロセス改善への取り組みを語るオージス総研ブース

前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る