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ライフサイクルを考えたドキュメント管理の「ひと工夫」PLM導入プロジェクト、検討前に読むコラム(3)(1/2 ページ)

製品ライフサイクル全体を管理するためにはPLMを基軸としたシステム作りが急務。PLM導入・改善プロジェクトを担当する際に事前に知っておくべき話題を、毎回さまざまな切り口から紹介していきます。

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社内で増殖し続けるデジタルデータ

 世の中には情報があふれている、という言葉をよく耳にしますが、皆さんはどれだけの情報が日々作成されているかご存じでしょうか?

 下記のTickerは米国のストレージメーカー・EMCのWebサイトで公開されている「Worldwide Information Growth Ticker」というものです。

図 EMCが公開している「Worldwide Information Growth Ticker」の画面
図 EMCが公開している「Worldwide Information Growth Ticker」の画面
2010年1月以降に新たに作成された/複製されたデジタルデータの総量を見ることができる。情報量はカリフォルニア大学バークレイ校の研究プロジェクト"How Much Information?"の成果をベースに算出している。画像はEMCのWebサイト上に置かれたTickerのキャプチャ

 今年に入りすでに2垓(がい)(注1)以上の情報が世の中で作成されていることを確認できます。

 日々増え続ける情報とは文字情報だけでなく、写真や音声データのほか、PLMの世界ではCADの形状データや解析データなども含まれます。

 ひと昔前に比べ、これらのデジタル化されたデータは非常に簡単に作成できるようになったこともあり、会社の中でも日々膨大な数の情報が作成されています。

 業務で作成する日々のドキュメントを効果的にマネジメントすれば、ノウハウとして有効活用できる“ハズ”ですが、ドキュメント管理をどこから手を付けていいのか悩んでいる人も多いのではないかと思います。

 そこで、今回のテーマは社内で日々発生する情報の効率的な管理を実現する「ドキュメントマネジメント」の進め方について紹介していきたいと思います。

注1:アラビア数字で表現すると200,000,000,000,000,000,000と、2の後にゼロが20個続く膨大な数字になります。


笑えないドキュメントマネジメントの実態

 一般的な企業におけるドキュメントの管理実態を知る興味深いデータがあります(注2)。

  • 業務におけるドキュメント作成(参照)に費やす時間は業時間全体の60%以上、コストに換算すると45%以上を占めている
  • 蓄積されているドキュメントのうち、85%のドキュメントは再利用されていない
  • 50%のドキュメントは重複して登録され、60%のドキュメントは古くて使えない

 一生懸命作成したドキュメントが再利用されていないだけでなく、使われないドキュメントを管理するためにハードディスクを増設したり日々バックアップ作業を行っているというのも非常に無駄です。

 そこで社内に散在しているドキュメントを有効活用するための検討が始まるわけです。

 ドキュメント管理を実施するに当たり、管理レベル別にパターンに分けて説明していきたいと思います。

注2:Kevin Craine氏のWebサイト:Design A Document Strategy(http://www.document-strategy.com/)を参照。


紙の状態で管理されているドキュメント

 紙は非常に使い勝手のいいメディアです。情報伝達手段としての紙の効用については皆さんもご存じのとおりですが、紙の最大の欠点は検索性の悪さにあります。

 そこで紙のドキュメントを管理していく第1ステップは紙をデジタルデータに置き換えて検索できる形に加工して管理するところから始まります。

 最近ではスキャナやそれと連動したOCRソフトウェアの精度が良くなってきているため、かなりの正確さで紙に書かれている情報をデジタル化して管理することが可能です。

 特に設計図面は、図面に記載している文字のフォントなどもJISの機械製図で記載方法が決まっているため、OCRソフトウェアによるデータ化が容易です。

 ただ、紙の図面をデジタル化するところまでは多くの企業が取り組んでいますが、デジタル化したデータをどのように使っていくかの検討がおろそかになっているプロジェクトを多く見掛けます。

図面データにひも付けるべき検索キー

 設計が完了した図面を再度参照するタイミングは、過去の図面を流用して設計するか、不具合が発生した際に図面を参照して対策を検討するといった場合であることを考えると、検索のキーとして図番だけでなく品番も管理できるようにしておく必要があります。

 品番をキーとして持たせておくことで、電子化されたドキュメント類を過去のノウハウとして活用したり、標準化を推進しやすくなります。

 品番から最新の図面を探し出せる仕掛けを併せて検討しなければ、せっかくデジタル化した図面データもあまり使われなくなってしまいます。

ファイルサーバを使った共有

 オフィスソフトを使って作成したドキュメントや表計算シートを共有するのに一番簡単な方法は、ファイルサーバに共有ディレクトリを設けてドキュメントファイルを保管する方法だと思います。

 ファイルサーバによるデータ共有は運用が簡単なことからよく採用されるアプローチですが、問題点が2つあります。どれが最新なのかを識別するのが難しい点と、どこに保存したのかを覚えておかなければならない点です。

 ファイルサーバによるデータ共有は、管理するファイル数が少なかったり、運用している期間が短い場合には非常に有効なソリューションですが、膨大な数のファイルを何年も保管し続ける必要がある場合には向いているとはいえません。

 古いファイルで新しいファイルを上書きしたり、ファイルを探したけど見つからずにまた同じファイルを違うディレクトリに保存する、ということはよく見掛ける光景です。

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