日本企業の市場問題管理とデザインレビューの水準:いま考えるべき品質マネジメント改革(1)(3/6 ページ)
度重なるリコール、回収騒動……。モノづくりの現場に何が起こっている? どうすれば顧客が満足するモノづくりができる? いま日本企業が考えるべき“品質”問題を語る
原因(2):グローバル生産/調達の増加
次に、市場のグローバル化に伴う、生産・調達のグローバル化が原因として挙げられます。特に自動車メーカーを含む輸送機械では、10年前と比較して海外生産比率は約2倍になっており、グローバル生産が急速に拡大したことが分かります(図5)。
図6は、輸送機械業の海外生産比率と、国産車メーカーのリコール対象台数を重ね合わせたものですが、海外生産比率の増大に従い、リコール対象台数も増加しています。グローバル生産の増加とともに部品の現地調達も増加し、管理すべきサプライヤ数や部品点数は増加の一途をたどっており、技術者や品質管理部門の負荷も増大しています。増加する海外調達品の品質の確保・検証は、重大不具合を削減するための重要なテーマです。
この現象を現場視点で考察してみましょう。
長年付き合いのあった国内サプライヤとの取り引きの場合には、いわゆる「あうんの呼吸」「暗黙の了解」があったのではないかと思います。図面にすべて記入していなくても、設計者の意図どおりのものを納入してもらえる、フォーキャストに対して柔軟に対応してもらえる……などです。
しかし、取り引き経験が少ない海外サプライヤの場合には、図面や仕様書に必要な要求をすべて記入していなかったために想定していないものが納入された、発注側が想定していた品質検査が実施されておらず製造ライン検査で問題が発見された、などのケースを聞いたことがあります。これは、海外サプライヤの品質が決して悪いということではなく、国内で通用していた「あうんの呼吸」「暗黙の了解」から、「明文化」「契約」の意識への変革の必要性を示唆しています。
グローバル環境下においては、優良な海外サプライヤの探索と関係維持や、自国と異なったカルチャーの会社や人々とスムーズにコミュニケーションができるスキル育成が緊急の課題であると筆者は考えます。
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