HDMIの測定と評価――TMDSのプロトコル測定:計測面から見るHDMI(4)(2/2 ページ)
HDMIの評価方法を知る連載。今回はTMDSのプロトコル測定がテーマ。HDMI 1.4で新追加の3Dフォーマットと評価方法も紹介
HDMI 1.4aの3D videoフォーマット
3D映画の増加、3Dテレビの開発加速などの動きの中で、いち早くHDMIにおいて3D映像の伝送が規格化されました。Blu-ray Discでの3D規格も規格化が完了し、3Dの放送も実験、検討がなされています。これにより、家庭でも3D映画、3D映像を楽しむことができるようになります。
3D videoにはさまざまな方式が提案されていますが、2009年6月に公開されたHDMI 1.4ではFrame Packingと呼ばれる方式の1080p 23.98/24Hz,720p 50Hz or 59.94/60Hzが必須のフォーマットとして規定されました。そのほかのフォーマットはHDMI規格のAppendix H.2に参考情報として記載されています。3D videoであることのIndicatorおよび3Dの方式情報は、HDMI Vendor Specific InfoFrameで伝送されます。
2010年3月4日にHDMI 1.4aが公開されました。これは放送用の3D videoフォーマットを追加したものです。HDMI 1.4aでは、新たにTop-and-Bottomという3D方式が追加定義され、放送用の必須フォーマットとして、Side-by-Side(Half)という方式の1080i 50Hz or 59.94/60Hzと、Top-and-Bottomの1080p 23.98/24Hz,720p 50Hz or 59.94/60Hzが追加されています。
3D videoの方式をもう少し詳しく見てみます。図3はProgressiveフォーマットのFrame Packingの構造です。Frame PackingではL画像(左目用画像)、R画像(右目用画像)それぞれを、2Dフォーマットと同じ解像度で上下に並べて伝送します。L画像とR画像の間には、active spaceと呼ばれる画像データのない領域が伝送されます。Frame Packingでは、2Dフォーマットの2倍の伝送レートが必要となりますが、解像度を落とさず3D video信号を伝送することが可能です。
図4はSide-by-Side(Half)とTop-and-Bottomの構造を示したものです。Side-by-Side(Half)では元の2D画像の横方向の解像度を半分にし、L画像、R画像を横に並べて伝送します。Top-and-Bottomは元画像の縦方向の解像度を半分にし、L画像、R画像を縦に並べて伝送する方式です。いずれも、2Dフォーマットと同じ伝送レートで送信が可能ですが、解像度は横方向あるいは縦方向が半分になります。
HDMI 1.4aでは、3D videoの機能を持つソース機器は上述の必須フォーマットの少なくとも1つをサポートしなければなりません。また3D videoの機能を持つシンク機器は、上述の必須フォーマットのすべて(50Hzと60Hzがあるフォーマットはそのどちらか)をサポートする必要があります。なお、HDMI 1.4aの公開と同時に、対応するコンプライアンステストスペック(CTS 1.4a)も公開されています。
3D videoのテスト
3Dソース機器のコンプライアンステストでは、プロトコルアナライザで3D信号を受信し、ビデオフォーマットタイミング、AVI InfoFrame、HDMI Vendor Specific InfoFrameが正しく規定どおり出力されているかを確認します(図5)。また、プロトコルアナライザに3Dを受信できないEDID情報を設定し、3D信号が出力されないことも確認します。このテストにより、3Dが受信できないテレビに誤って3D信号を送出することがないことを確認できます。
3Dシンク機器のコンプライアンステストでは、プロトコルジェネレータで3D映像信号を出力し、シンク機器が正しく受信できるかどうかを確認します。またその際、ピクセルクロック周波数の上限と下限をテストします。
なお3D video信号であっても信号のデータレートの上限は3.4Gbpsであり、HDMI 1.3aと変わっていませんので、TMDS波形品質測定に用いるオシロスコープの帯域、アクセサリなどは変更がなく、そのまま使用することが可能です。
最終回となる次回は、HDMI 1.4で新たに追加になったHEAC(HDMI Ethernet and Audio return Channel)の測定についてご紹介する予定です。
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