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LED駆動回路設計 〜基礎編〜LED照明設計の基礎(3)(2/2 ページ)

LEDの電気特性とは? 駆動回路の役割とは? 回路シミュレータによる解析方法など、LED駆動回路設計でのポイントを解説

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ではLEDの順電圧のばらつき問題に対して解決策はあるのでしょうか? 答えの1つはLEDビンニング(Binning)です。デバイスの製造過程においてさまざまな特性にばらつきが生じます。同一条件(同じ製造ライン・製造年月日など)で製造された製品の集まりのことをロットといい、同一ロット内の品質のばらつきはほかのロット間に比べて通常、かなり小さいです。製造ロットと同様な考えで、LEDビンニングは同じ型番のLEDを順電圧のばらつき幅ごとにランク付けして表したものです。LXM3-PW71のデータシートに順電圧に対するビン表が記載されています(図6)。例えば、ビンコードCのLEDを使用した場合、順電圧は2.79〜3.03Vに収まります。

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図6 順電圧に対するビン表

定電流源型駆動回路

 LEDの光度を調節するには、LEDに流れる電流を増減する必要があります。人間の目の、光に対する感度は対数的であるため、光度を調節する際の電流の増減率は指数関数的に大きくなります。従って、照明機器の用途には抵抗駆動型の回路は最適ではありません。電圧がばらついても一定の電流が流れるようにするには定電流源型の回路を使用する必要があります。

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図7 定電流源型駆動回路

 トランジスタとダイオードを使用した定電流回路の例を図8に示します。供給電圧の値が変動しても、トランジスタのベース−グラウンド間の電位差が一定(約1.2V)に保たれるように、2つのダイオード(D1、D2)を使用しています。次にLEDに流すべき電流から、エミッタに接続する抵抗値を計算します。トランジスタのコレクタ電流とエミッタ電流はほぼ同じ値であるとして計算しました。今回のケースではLEDに350mAの電流を流すため、約1.48Ωの抵抗が必要となります。

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図8 シンプルな定電流源型駆動回路

 入力電圧が変化してもダイオードD1、D2に掛かる電圧は一定に保たれるため、トランジスタのベース−グラウンド間の電圧も固定となり、LEDに流れる電流は350mAで保たれるはずです。実際に入力電圧を5Vから24Vまで変化させて回路を検証してみます。検証結果を図9に示しています。

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図9 定電流源駆動回路の電圧変化検証結果

 入力電圧を5Vから24Vへ変化すると、ダイオードD1、D2に掛かる電圧も微妙に変化します。図9の中央の波形を見ると、この微小な変化がトランジスタのベース−グラウンド間に現れていることが分かります。これに従って、LEDに流れる電流も変化してしまっていることが一番上の波形から読み取れます。

 LEDの特長を最大限に生かした駆動回路設計にはPWM型駆動回路という方法があります。次回の「LED駆動回路設計 〜応用編〜」では、主にPWM型駆動回路を取り上げて解説します。

▼参考情報

 下記サイトでは、LEDチップや、LEDを使った照明機器設計などのシミュレーションについて、熱対策も含めて情報を提供しています。

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