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H8マイコンのソフトウェア開発環境を整備しようイチから作って丸ごと学ぶ! H8マイコン道(7)(1/3 ページ)

今回から「C言語による制御プログラミング」をテーマにした新章に突入! まずはH8マイコンのプログラミング環境の構築から。

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これまでのあらすじ

――「最近、電子部品があまりにも小さくなり、手作業での配線が難しい!!」。大学で電子工学を専攻している健一君は“プリント基板CAD”の教えを請うために、近所でプリント基板設計会社を経営する二三夫さんを訪ねた……。その日から、二三夫さんによる熱血指導がはじまり、マイコンボード「H8Tiny-USB」製作がスタートした。プリント基板CAD初体験の健一君にとって山あり谷ありの苦難の道のりであったが、若さとやる気でメキメキと腕を上げ、ついにH8Tiny-USBが完成したのだった!!これまでのストーリーを確認する:連載第1回へ

 本連載「イチから作って丸ごと学ぶ! H8マイコン道」も今回からついに後半がスタートです。二三夫さんの指導の下ようやく完成したH8Tiny-USBを手に、健一君は喜び勇んで大学のサークル仲間の元へ向かったようですが、二三夫さんの「これからが勉強だぞ!」という言葉を忘れているような……。


本連載の登場人物

佐藤 健一(さとう けんいち)
電子工学を専攻している大学2年生。ロボットサークルに参加している。最近、やっと電子工作ができるようになったが……。

岡野 晴子(おかの はるこ)
健一君が所属するサークルの先輩。組み込みソフトウェアを研究しており、サークルでも中心的な存在。活発で頼れる(健一君あこがれの)女性。



※注:本連載では、筆者が実際にH8Tiny-USBを制作し、動作確認を行った内容を掲載していますが、読者個人で作成したH8Tiny-USBの動作保証や、H8Tiny-USBを使用したことによる、損害・損失については一切保証できません。すべての作業は自己責任で行ってください。よろしくお願いします。


はじまりはCygwinのインストールから

ここは健一君が所属する大学のサークル部屋。また、いつもの足音が聞こえてきました……。

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こんにちはー!!


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あら健一君じゃない。


しばらく見なかったわね。


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えー、いろいろありまして……。


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ふーん。まぁ、いいわ。


ところで、その手に持っているのなーに?


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へへッ。これ“USBで動くマイコン”なんですよー。


ちなみに、『ボクが』設計して作ったんです。すごいでしょ!


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へー。すごーい!


やるじゃない、健一君。


で、これで一体何をするつもりなの?


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ギクッ!!


えーと。あのー。そのー。


実はまだ何も……(汗)。


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えっ、何も決めていないの? もう、じれったいわね!!


健一君のことだから、どうせ使い方もよく分からないんでしょう?


だったら、それワタシに貸しなさい! みっちり指導してあげるから。


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ちょっ……(また、はじまったか)。



――本連載もいよいよ“ソフトウェア編”に突入! というわけで、今回から健一君あこがれの先輩、岡野 晴子さんが登場です。どんな物語がはじまるのでしょうか……。せっかく作ったH8Tiny-USBをいきなり晴子さんに取り上げられてしまいましたが、健一君の前途は!?

 H8マイコンのプログラムを開発する環境には、いくつかの選択肢があります。例えば、@IT MONOistの人気連載「H8で学ぶマイコン開発入門」では、ルネサス テクノロジの統合開発環境「HEW(High-performance Embedded Workshop)」を使って、ソフトウェア開発を行っています。

 本連載では、あえて別の開発環境、「GCC(GNU Compiler Collection)」を使うことにします。GCCは、Linuxの世界で標準的に使われている開発環境で、実はLinuxに限らず、さまざまなシステム・CPUのソフトウェアを開発できます。

 ただし、GCCはUNIX上で動くソフトウェアです。そのため、Windows PC上で動かすにはUNIXの環境を整えなければなりません。そこで、今回は「Cygwin」を用います。それではCygwinをインストールしていきましょう。

 Webブラウザを開き、Cygwinのサイトにアクセスしてください。そして、トップページにある「Install Cygwin now」アイコンをクリックしてください。すると図1の「ファイルのダウンロード」ダイアログが表示されるので、[実行]ボタンを押します。次の「セキュリティの警告」ダイアログでは、[実行する]ボタンを押してください。

Cygwinインストーラの実行
図1 Cygwinインストーラの実行

 ここからがCygwin本体のインストールです。以下の手順で進めてください。

(1)「Cygwin Setup」ダイアログで、[次へ]ボタンを押します。

(2)「Cygwin Setup - Choose Installation Type」ダイアログで、[Install from Internet]を選択し、[次へ]ボタンを押します。

(3)図2の「Cygwin Setup - Choose Installation Directory」ダイアログでは、Cygwinのインストール先、利用者、テキストファイルの改行コード設定をします。今回は特に変更せずに、標準設定のまま、[次へ]ボタンを押します。

Cygwinをインストールするディレクトリの設定
図2 Cygwinをインストールするディレクトリの設定

(4)「Cygwin Setup - Select Local Package Directory」ダイアログでは、インストールイメージの一時記憶先を指定します。標準設定のまま、[次へ]ボタンを押します。

(5)「Cygwin Setup - Select Connection Type」ダイアログでは、サーバへの接続方法を指定します。インターネット環境に合わせて項目を選択し、[次へ]ボタンを押します。

(6)「Cygwin Setup - Choose Download Site」ダイアログでは、どのサーバからCygwinをダウンロードするか指定します。近くのサーバを選択し、[次へ]ボタンを押します。

(7)Cygwinパッケージの検索がはじまります。

(8)次の「Cygwin Setup - Select Package」ダイアログでは、インストールするソフトウェアを選択します。ここで開発環境を構築するために必要なパッケージを選択しなければなりません。カテゴリ(Category)−開発(Develop)の中から、表1のパッケージをクリック・選択し、[次へ]ボタンを押します(図3)。

パッケージの名前 内容
binutiles アセンブラ、リンカなど
bison コンパイラの構文解析コードの生成
flex コンパイラの字句解析コードの生成
gcc-core C、C++コンパイラ
make ソフトウェアのビルド作業の自動化
表1 H8マイコン用開発環境構築に使用するパッケージ

開発環境の構築に必要なパッケージの選択
図3 開発環境の構築に必要なパッケージの選択

(9)Cygwinパッケージのダウンロードとインストールがはじまります。

(10)「Cygwin Setup - installation Status and Create Icon」ダイアログが表示されたら、インストールは終了です。標準のまま[完了]ボタンを押します。

 無事にCygwinをインストールできたでしょうか。デスクトップのCygwinアイコンをダブルクリックすると、UNIXターミナルが開きます。ちなみに、(4)で指定したパッケージの一時記憶ディレクトリは削除して構いません。

 それではCコンパイラの確認をしてみましょう。Cygwinから次のコマンドを入力してください。

$ gcc --version 

 GCCがインストールされていれば、図4のようなメッセージが表示されるはずです。

GCCの動作確認
図4 GCCの動作確認

クロスGCCを自分でビルドしよう

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岡野さん! Cygwinのインストールができました。


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まったく、何をそんなに喜んでいるのよ。


これからが本番よ!!


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何もそんなふうにいわなくても……。


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もう、何を甘ったれたこといってるのよ!


H8マイコンの開発環境の準備はこれからなんだからね!!


グズグズしていないで、さっさとはじめるわよ!


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は〜い……。



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