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マイクロソフトが考える組み込みの世界(後編)Windows Embedded Conferenceレポート(2)(1/2 ページ)

複雑で大規模、多岐な要求への対応が求められる現代の組み込み市場。Windows Embeddedで実現するソリューションとは?

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 前編に引き続き、先日開催された組み込み開発者向けのWindows Embedded製品技術カンファレンス「Windows Embedded Conference in Yokohama 2009」の中から、基調講演で語られたWindows Embedded製品のビジョンとロードマップを紹介する。

半世紀前の“未来のコンピュータ像”と組み込みの歴史

 基調講演も中盤に差し掛かると、マイクロソフト OEM統括本部 OEMエンベデッド本部 シニアマーケティングマネージャーの松岡 正人氏は、米国ランド研究所が1954年に予測した「50年後のコンピュータ」の写真をプロジェクターに投影した。

1954年に予測した「2004年のコンピュータ」
画像1 1954年に予測した「2004年のコンピュータ」

松岡 正人氏
画像2 マイクロソフト OEM統括本部 OEMエンベデッド本部 シニアマーケティングマネージャー 松岡 正人氏

 「よく見ると、現代のコンピュータと同じくキーボードがあってプリンタがあってモニタがある。つまりコンピュータのコンセプトは、約50年たった今でもさほど変わらないということ。ただし、恐らくこれからは、これ(従来型のコンセプト)を変えていく人が出てくるだろう。あるいは、われわれがその概念を変えていくのかもしれない」。

 そして松岡氏は「過去にさかのぼってみると、組み込みOSはプラットフォームになり得てなかった」と組み込みの歴史を振り返る。

 「数多くの開発言語とアセンブラを組み合わせて使い、システムを作っていた。MS-DOSやWindows 3.1ベース、時にはWindows NTベースを使ったり、ITRON、VxWorks、pSOS、QNXといったリアルタイム性を重視したコンパクトなOSなどを使うケースもあった。また、OSを使わないでシステムを構築するケースも少なくなかった」。

 そんな中で生まれたのがマイクロソフト初の組み込みOS「Windows CE」だ。最初のバージョンとなるWindows CE 1.0は、1996年に登場した。

 「本社の資料によると、Windows CE 1.0は当時20枚以上のCDで提供されていたという。ごく少数のベンダがこの1.0を使ってハンドヘルド端末を作った。その後、2.11から一般向けにパッケージとして提供され、開発ツールも同梱された。性能は1.0と比べると向上したが、まだまだ組み込みOSとしては熟成していなかった」。

 その後、アーキテクチャを全面的に見直して登場たのが2000年のWindows CE 3.0。このバージョンからWindows CE 5.0まではほぼ同じアーキテクチャを採用している。そして現在のバージョン6の世代からWindows Embedded CEとなり、最新バージョンは6.0 R2となっている。

2000年以降の同社組み込みOSの歴史
画像3 2000年以降の同社組み込みOSの歴史

Windows Embeddedファミリーの現在と未来

 これまでWindows Embedded CEと呼ばれていたものが、来年「Windows Embedded Compact」と名称が変更される。現在、Windows Embedded CEの派生製品として、PND向けのWindows Embedded NAVReadyがある。松岡氏によると、日本では非常に多くのユーザーにこのNAVReadyを使ってもらっているという。

 また今年の3月にはWindows XPベースの小売業向け組み込みOS「Windows Embedded POSReady」をリリース。市場ではすでに、このPOSReadyを組み込んだデバイスが出荷されている。そのほか、デスクトップPC向けに提供しているOSをそのまま組み込み用途で使うためのライセンス「Windows Embedded Enterprise」や、専用サーバ向け組み込みOS「Windows Embedded Server」などの製品ラインアップを揃えている。

Windows Embeddedファミリー
画像4 Windows Embeddedファミリー

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