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3次元CAD用の3Dマウスを使ってみた!メカ設計製品/サービスレポート(2)(2/3 ページ)

CADの3次元モデルをゲームのように操作できる3Dマウスの新製品を現役の機械設計者が3カ月間試してみた。

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不満ばかりの【1カ月】

 木下氏と大川氏は筐体設計のほかに意匠設計も行っているが、彼らの愛用するCGソフト「Shade」が対応していない……。これは同製品が米国生まれであることから、日本産のソフトが未対応であるところによる(対応するには、多くのユーザーリクエストが必要とのこと)。仕方ないので、Shadeの入ったCG用のパソコンでの使用はあきらめ、3次元CAD用のパソコンで3Dマウスを使うようにした。

 木下氏と大川氏は、このデバイスを純粋に面白がってくれていており、評価に対しても前向きだった。ただ、急ぎの案件があるときなどは「正直なところ、3Dマウスを外してしまった」とのことだった……。

 「操作自体は、いままでにない感覚でとても面白かったです。数字のショートカットキーは便利でした。例えば『計測』や『質量特性』など、キーボードのショートカットで割り当てられないコマンドに使用してみました」(木下氏)。3次元モデルのビュー操作が直感的にできる点はよい。ただ設計業務よりは、デザインレビューなどのとき、設計者以外の人に対して3次元モデルを動かして設計について説明をする際などに便利ではないかという。

 「正直いうと、自分たちは長いことキーボードとマウスで10年以上仕事をしてきたので、左手の細やかな操作になかなか馴染めない感じがしました。普段、利き腕ではない左手で細かい操作はしないからでしょうか。ピアノを弾く人など、両手を使う作業が得意な人だと違和感がないのかもしれないですね。あと3次元CADの操作がまったく初めての人の方がいいかもしれないと思いました」(木下氏)。

 通常の3次元CADの操作では、左手の活躍具合は比較的地味だ。キーボード上のショートカットキーをたまに叩いたりするのは指1、2本で、指全体は文字を打つ場面ぐらいでしか使わない。ましてや、モデリングでは数字以外の文字入力の頻度は非常に少ない。選択や決定、ビュー移動などで、常に忙しく働いているのは、右手に掴んだマウスだ。モデリングの際に数値入力するときもテンキーを使用するため、そのときもやはり右手。

 それが3次元マウスでは、ビューを変えるためにコントローラをひねったり、モデリングコマンド(「押し出し」など)を登録したショートカットキーをさまざまな指を使って打ったりと、モデリングに直結する操作を左手の指全体で頻繁に行うことになる。

 「コントローラは、ちょっと重たいかなぁ……。設計時での3次元CADの操作は、3次元CGの作成時の操作よりも、もっと繊細で、もっと速いビュー移動が必要になります。それにコントローラがついていかないような。例えば、マウスで操作したほうが、回転+拡大などの操作が、たとえ2回のコマンド操作だとしても、スパスパと動き、速くて楽に感じます。一方、3Dマウスは、それよりもやや、じんわりと動く感じがしました。もちろんマウスのスピードのコントロールは試みたのですが、それとは関係がなく、あくまで感覚の問題という感じでした」(大川氏)。


小指で左側のキーを押すのがしんどいため、このようなアクロバットをしたくなる……

 「それに、3次元CADのショートカットや右クリックメニューが、最近は非常に便利になっているせいか、基本的にはそちらを当てにしてしまう感じです」(大川氏)。

 「片手で部品サンプルを見ながら、数字を入力していくこともあります。左手がふさがってしまっていると、そういうときに都合が悪い場合もありました」(木下氏)。

 両氏についてはデバイスに投資をしてみようかと思う気どころか、使い続けることが辛いと感じてしまった……。「このような反応やフィードバックは、実はよくあります。お客さまの操作方法の違いによって、効果認知の有無には大きな開きは出てしまいます」(松浦氏)。シンプルなデバイスといえども、英語の説明書だけではこの製品の本当のところを理解するのは厳しかったといえる。

 木下氏には松浦氏から直々に、使い方に関するアドバイスを受けてもらった(ショートカット登録の例など簡易なアドバイス)。松浦氏のアドバイスを受けてみて木下氏は、「このような評価になったのは、まだ操作の感覚に慣れていないだけかもしれないです。まだ1カ月しか使っていないし、ひょっとして感覚にもう少し慣れてくればもう少しいけるかもしれません」と話した。「もう少し使ってみたい」といってくれたこともあり、以後も評価機を預け、木下氏のみ評価を続行してもらうことにした。*大川氏はその後、ShadeとPhotoShopメインの業務に移り、同機の評価続行が厳しくなった。

いつ「返します」といってくるかしら……

 それから、「もう返します」という返事がいつくるかと、記者は報告を待ち続けた。1カ月間、そのような連絡が来ることはなかった。

 いや、連絡がこないだけで、とうの昔に3Dマウスを外してしまい、いつものマウス操作にすっかり戻ってしまっているのではないか。そんなことを考えていた矢先、木下氏から受けた報告は、意外なものだった。

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