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組み込みJavaのいま−携帯電話、Blu-rayに続くモノJavaは組み込みに“不向き”は本当か?(2/2 ページ)

携帯電話やBlu-rayなどでJavaの利用は着実に広がりつつある。あらためて組み込み分野でのJavaの可能性を考えてみよう

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Javaの技術課題は解消?

 こうした特徴があるにもかかわらず、これまで組み込み機器でJavaがあまり利用されてこなかったのは、「動作が遅い」「メモリを多く消費する」という技術課題が最大の理由です。

 しかし、ハードウェアは日々進化し続けており、いまでは一昔前のPC並みのCPU、メモリを搭載した組み込みシステムも増えてきています。また、Java登場時と比べてJIT(Just In Time)コンパイラなど、Javaの高速化技術も成熟しており、技術課題は解消されつつあります。

 つまり、いま“組み込みシステムにJavaを利用するための技術的なハードルは着実に下がっている”のです。

 ただし、懸念事項もあります。それは“標準化”です。組み込みシステムはさまざまな種類があり、それぞれのシステムに向けたアプリケーションを第三者が作成するにはシステム固有の機能を利用するJava APIの定義が必要です。携帯電話ではカメラなどの携帯電話付属の機能を利用するためのAPI、Blu-ray Discプレーヤでは動画の再生制御を行うAPIなどが標準化されていますが、それ以外の組み込みシステムでの標準化はまだ不十分です。

ホームゲートウェイへのJava搭載

 では、携帯電話やBlu-ray Discプレーヤの次に、Javaが搭載されそうな組み込みシステムは何でしょうか?

 その最有力候補が「ホームゲートウェイ」です。ホームゲートウェイにJavaを搭載し、Javaアプリケーションを送り込むことにより、ホームネットワークを活用したさまざまなサービスが利用できるようになると考えられています。

ホームゲートウェイ分野でのJava利用
図3 ホームゲートウェイ分野でのJava利用

 すでに、このようなシステムを実現するための標準仕様として「OSGi」が規定されています。OSGiとは、1999年に設立された非営利業界団体「OSGi Alliance」が規定する、ホームゲートウェイへJavaアプリケーション(バンドル)を送り込むための仕様のことです。JavaVM上にOSGiフレームワークと呼ばれるミドルウェアを搭載することにより、以下のことが実現できるようになります。

  • (1)複数のバンドルをインストールして実行可能
  • (2)バンドルのバージョン管理、依存関係の解決
  • (3)アクセス制御(セキュリティ機構)
OSGiの管理機能
図4 OSGiの管理機能

 これらOSGiの機能により、ホームネットワークを活用したサービスを提供するアプリケーション(バンドル)をホームゲートウェイに送り込むことが可能になります。

 先ほど、OSGi Allianceが設立されたのは1999年と書きましたが、OSGi仕様は翌年の2000年に公開されています。すでに10年近く経過していますが、広く実用化が進んでいないのが実情です。しかし、オフィスのネットワーク化は完了し、数多くの家庭にブロードバンド回線が引かれ、携帯電話網の人口カバー率は100%に近づいており、ネットワーク化は着実に進んでいます。残るはホームネットワークです(これからは家庭内のネットワーク化が進むことが予想されます)。ホームゲートウェイにJava/OSGiを搭載することで、より高度なホームネットワークの利用が進む可能性があります。



 Java普及の歴史を振り返ってみると、Javaを搭載したNetscapeブラウザが登場したのは1996年。そして、その5年後の2001年にJava搭載の携帯電話が登場し、さらに5年後の2006年にはJavaを搭載したBlu-ray Discプレーヤが登場しました。

 そう、Javaは5年ごとに次代を担う技術・組み込みシステムを創出してきたのです。この法則に従うと、2011年にはJavaを搭載した代表的な組み込みシステムが登場するはず? です。その有力候補として考えられるのが、先ほど紹介したホームゲートウェイ分野です。組み込みシステムでのJava利用のさらなる普及の足掛かりとなるか? 皆さんもぜひ注目してください!

 近い将来、Javaを搭載した画期的な組み込みシステムが登場することを願い、本稿を締めくくりたいと思います。最後までお付き合いいただきありがとうございました。


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