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超軽量3次元フォーマットが情報の流通を強化するSiemens PLM Connection Japan 2009開催

Teamcenter 8では、従来のファイルサイズからさらに軽量化したUltra Lightweight Precise(ULP)というデータ形式を含むJTを使用することが可能になる。

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 2009年7月24日に開催された「Siemens PLM Connection Japan 2009」(東京)の開催前日の23日、シーメンスPLMソフトウェアの会長兼CEOであるトニー・アフーソ氏および、製品担当エグゼクティブ・バイスプレジデント兼CTOであるチャールズ・C・グラインドスタッフ氏が来日、6月23日に発表されたPLM製品の最新版Teamcenter 8の概要と今後の戦略などについてブリーフィングを行った(@IT MONOist News参照)。

 冒頭アフーソ氏は、独フォルクスワーゲンにおいて、全社的なPLMインフラとして同社のソリューションがコンペティションの末に採用されるなど、昨年度の同社の実績を発表、UGSの統合は「順調に進んでいる」とし、同社が進めているバーチャルとリアルの融合を目指す新しいモノづくり環境のための「Archimedes」プロジェクトの成果の1つとして、Tecnomatix 9におけるPLC制御プログラムの仮想環境下での検証機能などを紹介した。


シーメンスPLMソフトウェア会長兼CEOトニー・アフーソ氏

 また、自動車業界の低迷が続く中、自動車業界にも多くの顧客を持つ同社の業績について問われた際、アフーソ氏は「米国の自動車業界の不況は底を打ったと考えている。まだ予断を許さない状況だが、このまま進めば、2009年度の自動車業界での売り上げは13億ドル程度まで回復するだろう」との見通しを語った。

超軽量3次元フォーマットが情報の流通を強化する

 続くグラインドスタッフ氏はTeamcenter 8の製品ハイライトと今後の方向性を中心に紹介した。Teamcenter 8については、MONOist Newsで紹介している通りなので、こちらを参照いただきたいが、今回、グラインドスタッフ氏から、Teamcenter 8におけるコラボレーション促進のためのデータフォーマットの改良について詳細が紹介されたので、この点を中心に紹介しよう。

 JTフォーマットそのものはオープンな規格であり、同社ではB-repを含む全ての情報を持つ「マスターJT」(データ容量はCADデータの10〜20%程度)を基に、用途に応じてさまざまなコンテンツを含むJTデータを取り出すことができる環境を提供してきたが、Teamcenter 8では、そのオプションとして、さらに軽量化を実現したUltra Lightweight Precise(ULP)というデータ形式を含むJTを使用することが可能になる。

 3次元データフォーマットとして一般的なB-rep形式を含む場合にはデータ量が膨大なものとなるため、電子メール経由でのデータのやりとりが難しかったり、Webブラウザ上での描画、WordやExcelといったOffice製品との連携が可能であっても利用者側の環境次第では業務として利用しにくいものだった。Teamcenter 8ではこうした問題を解決するために、データ精度を99.99%程度維持しながら、通常のCADデータの1.3%程度までデータを軽量化するULP形式を適用したJTファイルを随所で活用する仕組みになっている。この結果、Office製品へのCADデータの貼り付け・連携といった、従来であれば負荷の高かった作業が、一般的なオフィスユースのPCでスムーズに作業できるようになっているという。サプライヤ向けの情報提供の場面ではULP形式のJTをさらにVFZアーカイブ化して情報交換を行える。


Teamcenterを使ったコラボレーション環境とデータの流れ

 データが軽量であればそれだけ情報共有も効率よく実施でき、社内の情報連携が活性化する。製品部品数が増加傾向にあることもあり、設計データの軽量化とデータ共有の効率化は各社が腐心する課題だ。要所ごとに超軽量フォーマットへの変換を行うことでこれらの課題を解消できるようになるという。

IBMとの協業はPLMソリューション開発者の生産性も向上させる

 翌24日のイベント「Siemens PLM Connection Japan 2009」では、アジア太平洋地域エンタープライズ・ポートフォリオ・ソリューション担当マーケティングディレクターのサミー・シット氏がIBMとの協業と今後の体制などについて、紹介した。


アジア太平洋地域エンタープライズ・ポートフォリオ・ソリューション担当マーケティングディレクター サミー・シット氏

 IBMのPDIF認定を得てPLM製品の構築・販売について協業をすすめていくと発表したばかりだが、シット氏は「この協業が実現したことによって、ユーザー各個人の生産性が向上するだけでなく、システム構築者にとってはアプリケーション開発の生産性も向上し、また情報テクノロジーそのものの生産性向上が可能になる」とした。

 Tivoliや、Rational製品群のような、アプリケーション開発者にとっても効率向上が期待できる製品と連携した開発が可能になるため、導入時の開発工数の削減や、IBMの提供するSOA基盤をベースとした情報連携が可能になることで、最終的な顧客の満足度を向上させられる、とした。

 既にシーメンスPLM製品についてのIBMスタッフのトレーニングが実施されており、IBM側のシステム開発者らから一定の関心を得ていることも披露された。

CR-5000とNXでの「エレメカ協調」設計が実現

 セミナーセッションの1つ「Siemens PLMと図研のメカトロニクスソリューション」では、図研とシーメンスPLMの共同発表として、図研の得意とする電気CADとNXとの連携強化の詳細が紹介された。

 図研が提供する「PCB Exchange for Zuken」は、市場での商品価値を高めるうえで、使いやすさやデザイン性の追求は不可避であるとの観点から、基板などの内部構造が筺体構造の制約を受けやすい民生品特有の開発スタイルに合わせ、メカ設計者側が電子部品側の形状情報などを考慮する場面を想定した機能を提供する。

 図研におけるエレメカ協調の取り組みとしては、既にダッソー・システムズの提供するCATIA向けのものがあるが、今回、あらたにNXユーザー向けにも提供されることとなった。

 従来データ交換にはIDFフォーマットが利用されていたが、図研ではCR-5000 Board Designer(以降、CR-5000)用に専用のXMLインタフェース「BMB」を開発、CR-5000のデータモデル構造に準拠した内容で連携できる仕組みを用意した。EDAのフットプリント情報や、反転表示による図面にも対応する。

 「エレキとメカの設計場面での協調については、その必要性が語られて久しいが、エレキ側から見たエレメカ協調とメカ側から見たエレメカ協調とは全く異なる世界である、という大前提がある。ではどちらの視点から考えるべきかという問いに対して、当社は、メカ側から見たエレメカ協調に主軸を置いた製品を開発する、という答えを出した。筺体デザイン制約のウェイトが高い民生品での開発シーンを念頭に置いたからだ」とは、セミナーに登壇した図研 原 崇氏。

 一般的なEDAツールでは、曲げ加工を施した基板の設計は想定していないことが多いが、「PCB Exchange for Zuken」ではCR-5000上で部品を配置したうえでNX側で曲げ加工を追加する、あるいは、曲げ加工の検証が完了した段階で基板形状を平面に戻したうえで、CR-5000側で設計を行うといった方法が可能になる。加工済み、部品取り付け済みの状態での熱や強度の解析が可能となるため、手戻りの少ない設計が可能になるとしている。壇上、原氏は今後の展開として、はんだやメッキ加工情報の自動生成などへの展開も考えられるだろう、とした。

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