モノづくりインフラを支える技術たち:DMS2009 イベントレポート(2)(1/3 ページ)
2009年6月24日から26日までの3日間、東京ビッグサイトにて「第20回 設計・製造ソリューション展(以下、DMS展)」が開催された。本稿では、出展企業各者の中から注目すべき製品を紹介する。
RIAで生産管理を「見える化」した魅せるモノづくりシステム
WebサイトやSaaSアプリケーションなどでよく見かけるようになったRIA。RIAは豊かな表現力を持ったアプリケーションインターフェイスを実現する仕組みの総称で、代表的なものはアドビシステムズのFlashや、マイクロソフトが提供するSilverlightだろう。読者の皆さんも見かけたことがあるのではないだろうか。
RIAの魅力は、なんといってもその表現力だ。表計算ソフトに入力された項目や数字だけではすぐにイメージできない問題を、さまざまな形式で表現する。
この仕組みをモノづくりの見える化に適用したのが南国ソフトのデモだ。文字で紹介するよりも、写真の実物をご覧いただくと分かりやすいだろう。
写真は部品の設計情報とそれに関連付けられるドキュメント類一覧の表示だ。
各ドキュメントはそれぞれが半透明のキューブの中に、実際の画像のサムネイルと共に表示されているのが分かるだろう。各ドキュメントの関係性がひと目で分かるだけでなく、例えば、名称が分からなくても、形状や色から目的の部品にたどり着くことができる。
また、バランススコアカード分析機能なども用意されており、こちらも視認性の高いソリューションとなっている。
この製品は、マイクロソフトのSilverlight2を使ってこの表現を実現している。Silverlight2自体は、マイクロソフトが提供する.NET Frameworkをベースとしているため、例えば、メッセンジャーのチャット機能や、メール機能など、Windows側で提供されている機能を組み込んで使う仕組みも容易に取り込める利点がある。
さて、このデモの裏側で、実際の生産管理関連の情報を集積・分析しているのは、プログレスパートナーズが提供する「Aras Innovator」だ。
Aras Innovatorはモノづくりインフラの常識を変えるか!?
「Aras Innovator」のもっとも特徴的なところは、アプリケーションそのものがオープンソースで提供されていることである。オープンソースとは、やや乱暴な表現になるが、アプリケーションのプログラムの内容をそっくりそのまま無償で公開・提供しているという意味で理解していただくといいだろう。
プログラムの内容が企業内に閉じていないため、アプリケーションに何らかの問題があったり、新たに機能を追加したい場合も、世界中の技術者が問題に対処するためのプログラムや新しい機能を追加するプログラムをどんどん追加していくので、取り入れやすいという利点がある。
こうした仕組みを取ることで、ごく稀なニーズのための機能を豊富に提供したり、あるいはニーズに即した機能を迅速に提供するといったが可能になる。
とはいえ、無償で提供されているだけでは、ソフトウェアエンジニアリングの能力ある担当者がいないと、運用は難しい。こうした場合に対応するために、同社では有償のサポートプログラムを用意している。
当然だが、同社内にはAras Innovatorの開発エンジニアが多数在籍している。サポート契約対象者のシステムで何らかの不具合が発生した場合には、彼らが対応する体制が整っているので、万が一の対応についても不安はないだろう。Aras InnovatorはERPの機能や各拠点の在庫状況管理機能とも連携できる。
まずは試してみて、本核的に導入する段でサポート契約を結ぶ、といった柔軟な導入方法にも対応できるのが魅力だろう。
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