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シボレー・ボルトの電池セルはLG Chem社が供給電気自動車

General Motors(GM)は2007年初頭に、「シボレー・ボルト」向けの電池セル供給元の候補として韓国LG Chemと米A123 Systemsを選定し、2年間かけて両社の査定を行ってきた。GMの長い歴史において最大規模となったボルトの開発計画の中で、最も注目されていた「コンテスト」である。

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 米General Motors社(以下、GM社)は2009年1月、デトロイトモーターショーで開催した記者会見において、プラグインハイブリッド車「Chevrolet Volt(シボレー・ボルト。以下、ボルト)」に採用するT字型のリチウムイオン電池パックを披露。その電池セルは、韓国LG Chem社が供給すると発表した(写真1)。

  GM社は2007年初頭に、ボルト向けの電池セル供給元の候補としてLG Chem社と米A123 Systems社を選定し、2年間かけて両社の査定を行ってきた。GM社の長い歴史において最大規模となったボルトの開発計画の中で、最も注目されていたこの“コンテスト”は、今回の記者会見でついに幕を閉じることとなった。

写真1 T字型のリチウムイオン電池パック(左)とボルト(提供:GM社)
写真1 T字型のリチウムイオン電池パック(左)とボルト(提供:GM社) 

  GM社向け電池セルの開発および製造契約をめぐる今回のコンテストは、技術者や専門家からの関心を集めた。LG Chem社とその子会社である米Compact Power社のチームは、電池の正極材料としてスピネル型結晶構造のマンガン酸リチウム(マンガンスピネル)を使用する。それに対して、A123 Systems社(とドイツContinental Automotive Systems社)のチームは、正極材料にリン酸鉄リチウムを使用する「ナノフォスフェイト(nanophosphate)電池」を採用していたからである。「ノート型パソコンや携帯電話機に使用されるリチウムイオン電池の問題として報じられてきた熱暴走が生じない電池を製造するには、電極材料の選定が最も重要である」と多くの専門家が述べている。しかし、GM社の広報を担当するRob Peterson氏は米Design News誌に対し、「安全性はもちろん重要だが、それでも耐久性、コスト、性能、製造可能性などに並ぶ1つの要素にすぎない」と述べている。

 記者会見の前日の発表によれば、GM社はLG Chem社の韓国の工場で製造した電池セルを使用し、電池モジュールや電池パックの組み立ては自社の新工場で行うという。電池パックには、ECU(電子制御ユニット)、温度制御ユニット、ケーブル配線などの各種部品が含まれる。GM社は、ボルトの初期量産時については、Compact Power社が組み立てた電池パックを使用するが、自社工場が稼働すれば、GM社が組み立てを引き継ぐ予定だとしている。Peterson氏は、「2009年初頭に工場の建設を開始し、2009年半ばには工場に製造設備を導入し始める予定だ」と語る。

  Compact Power社の技術者によると、同社とLG Chem社の電池セル設計には2つの技術的利点があるという。1つは、マンガンスピネルであれば、さらに安全性を高めることが可能なセパレータと組み合わせられることだ。使用されるセパレータは、LG Chem社の「Safety Reinforced Separator(SRS)」であり、半透過性の膜をセラミック材料でコーティングしたものである。他社のセパレータと比べて、機械的強度や熱耐性において優れているという。

 もう1つの利点は、電極やセパレータなどの部材を積み重ねてからラミネートフィルムでパッケージする「stack-and-fold」構成の電池セルであることだ。従来からある円筒型や角型の電池セルでは、電極やセパレータをマンドレル(芯)に巻きつけるプロセスが必要になる。stack-and-fold構成では、そのプロセスが不要になる。

  GM社のPeterson氏は、「当社は、適切な計画と、適切でバランスの良い技術を有するサプライヤを確保できたと確信している。2010年までにボルト向けのリチウムイオン電池パックを製造するという目標に向けて、何の障害もない」と、ボルトの開発計画に遅れがないことを強調した。

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