連載
自社内だけでなく海外でも通じる図面を描く:演習系山田式 機械製図のウソ・ホント(7)(2/2 ページ)
日本で量産の実績があるのに、アジア各国で同じ部品を作ると問題が発生する。いいかげんな製図もその原因の1つだ。
グローバル化と製図
第1回から第7回まで、JIS製図の投影法や寸法記入、幾何公差の作法に関するウソ・ホントを解説してきました。
第1回と第2回で出題した問題を通して解説した投影図の作法は、昔からJIS製図として決められていた項目に加え、近年ISOに従い改正されたものまでさまざまです。また寸法記入に関しても同様のことがいえます。多くの企業における製図の作法は、最新JISの情報を知らずに、その昔先輩方が決めた作法を大切に守っているのが現状です。
産業のグローバル化に伴い、日本で部品を何万個と製作した実績があるのに、同じ図面を持ち込んで中国や東南アジアで部品を作ったとたん問題が発生します。この問題とは、「ソリがあったり、直角になっていない」など形状の崩れが原因であることが多いのです。いまでは日本の加工職人の技能の高さと心遣いで、きちんとした形の崩れがない部品を提供してもらっていたおかげで設計者は助かっていたのです。
第5回と第6回で出題した問題を通して解説した幾何公差は、「試作では問題なかったのに、量産になると干渉して組めない、機能が出ない」といった不具合発生率を減少させる効果があります。
なんとなく過去の図面のまねをして図面を描いていては、設計者としてグローバル化の波に乗り遅れてしまいます。設計者の意図を伝え、世界に通用する幾何公差を取り入れた図面を描くよう心掛けましょう。
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本連載はこれにて終了です。ご愛読ありがとうございました。(編集部)
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