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組み付けるネジ本数を減らしてコストダウン事例で知るVA・VEのコストダウン手法ABC(3)(1/2 ページ)

「ネジの数は価格を表す」といわれる。ネジの本数を極力減らすことが工数削減に大きく寄与する。適切な締結方法の選択がポイントだ

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 前回に引き続き、産業機械をコストダウンする手法の1つであるVA(価値分析)およびVE(価値工学)を仮想ユニットの設計事例を通して紹介します。

 今回は、ユニットの部品点数を削減しながらも機能は落とさないようにすることを課題とします。要求仕様を満足していく設計過程で、特に同一の板金部品を増やしていった場合について、部品同士の位置合わせや締め付け方法の検討について説明します。

【設計課題5】組み付けに使うネジの本数を減らす

 少量多品種機器での開発設計の過程では、よく機能追加や改善のために部品を追加することがあります。また顧客の要求仕様が設計後期で急きょ変更されたことによる対応で、当初予定していた価格からオーバーしてしまうこともあります。設計課題5では、そういった場合におけるコストダウン検討の事例を解説します。

 以下の図1では、1枚の板金に、Z型の板金ステー(センサーやリミットSWを取り付けるステーを想定)を20個取り付けています。 そして、それぞれを2個のネジで締結します。ですから、使用するネジの本数は40本ということになります。


図1 1枚の板金にステーをネジ固定

 例えば、設計開始時点では3個の板金ステーをネジ止めで締め付ける構造としていたのに、設計を進めるうちに部品点数がどんどん増えていき、ついには、本課題のように板金ステーが20個となってしまうということもあります。

 大量生産品においては、ねじ止めは極力使わないようにする検討は積極的に行われます。しかし、小ロット、中ロット品での開発は大量生産ほど開発工数をかけないため、ネジ本数の検討がないがしろにされがちなのです。逆に考えれば、ここにコストダウン要素が潜んでいるともいえるわけです。

 俗に「ネジの数は価格を表す」ともいいます。ネジ本数の分だけ部品数がかさばり、組み込み工数や調整工数もその分多く掛かるということになります。

締結方法の検討

 いくつかVAの手段はありますが、まず最初にネジ止めの代わりになる締結方法を検討します。また締結方法には主に下記のような方法があります。

  • ネジ止め
  • リベット締め
  • 溶接

 この中でまずリベット締めを選択してみます。リベット締めには、どのようなメリット、デメリットがあるのかを検証してみましょう。

 以下の図2は、今回の課題である部品のネジ止めをリベット締めに変更した物です。


図2 ネジ止めをリベットに変更する

ねじ止めをリベットに変更する

メリット

  1. タッピング加工がいらない
  2. ねじ止め作業がいらない
  3. 増し締めもいらなくなり、スポット溶接の代用となる
  4. 各部品に処理鋼鈑を使用すれば、メッキや塗装などの表面処理を省略できる

デメリット

  1. ねじに比べて高価である
  2. 管理品目が増える
  3. 位置合わせができない

 リベット加工が向いているのは中量生産品です。ネジ止めに比べて加工工数は削減でき、溶接がないので処理鋼鈑を使用すればメッキ、塗装工程も省くことが可能です。またリベットの材料にはアルミ、ステンレス、SS材といろいろあるので、用途に合わせて材料を適切に選択すれば安価に抑えられます。位置合わせについては、ネジ止めでの生産を繰り返して検証した後で固定を行うようにすればよいでしょう。

さらにスポット溶接で、VAを追求する

 スポット溶接を取り入れることは、組み立て工数削減に大きく寄与します(図3)。しかし溶接時に表面が酸化し錆が出るため、メッキや塗装による表面処理が必須になります。また溶接部をサンダーなどで仕上げるので美観があまりよくありません。それゆえ、体裁面として露出する部分には不向きということになります。


図3 スポット溶接でステーを取り付ける

ねじ止めから溶接構造に変える

メリット

  1. 複数部品を一体化できるので、組み込み工数の削減ができる
  2. ねじ加工がなくなった分、管理品目が減る

デメリット

  1. 別工程を増やした分タイムロスが発生する。生産が少量になるほど影響が大きくなる
  2. 溶接部分が酸化するので錆が出る
  3. 位置合わせなどの調整はできない

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