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型構造の知識とシェルコマンドを極めるべし!成型部品設計のツボ(2)(1/3 ページ)

肉厚均一でキャビティにもコアにも抜き勾配のある薄肉形状を作成するには、シェルコマンドを使う。重要なツボを押さえれば効率よくモデリングできる

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 前回は射出成形の概要と、肉厚や抜き勾配について解説しましたが、今回はそれより一歩深く踏み込んでいきます。金型構造や、キャビティとコアのことなどをもう少し詳しく説明したうえ、成形部品のモデリングテクニックも紹介します。

金型構造について

 金型構造は、以下の5つからなります(以下、図1)。

  1. 成形部品の形状を作成する構造:製品形状を作る部分で、キャビティとコア、およびアンダーカット処理構造から構成されます。
  2. 溶融樹脂の流路構造:射出成形機から溶融した樹脂が金型に流れ込む流路で、スプール、ランナー、ゲートで構成されます。ランナーやゲートの形状は通常、キャビティ・コアに直で加工されています。
  3. 溶融樹脂を冷却する構造:200度以上で溶融した樹脂を固化するために、金型を冷却する役割を持ちます。キャビティとコアに穴を開け、水路を設け、設定温度に冷却または加熱(溶融樹脂温度よりも低温)した水・油などをその穴に流し、金型の温度を調整します。
  4. 成形部品を離型させるための突き出し機構: 金型内で固化した成形品を金型から突き出す機能を持ちます。成形機に締結されたエジェクタプレートが移動することで、エジェクタピンが成形品を型の外へ押し出します。
  5. 成形機に取り付ける構造:金型を成形機に取り付ける機能を持ちます。樹脂を流し込むための成形機ノズルの位置決めのためのロケートリングおよび、固定側取り付け板、可動側取付け板からなります。取り付け板には、穴やU溝形状が加工され、クランププレートで成型機に取り付けられます。

図1 金型の構造 ※クリックで画像が拡大します

キャビティとコアの特徴

 金型に樹脂を充填後、以下の順序を経て製品が出来上がります。

  1. 溶融樹脂が金型内で固化する
  2. キャビティが移動し、コア部分と製品から離れる
  3. エジェクタピンが移動し、製品を突き出す

 そのためキャビティ・コアは、以下のような特徴を持ちます。

コア

  • 製品に、突き出しピンの跡が付く
  • 抜き勾配は0.5度以上。製品がキャビティ側の移動とともに、コア側から離れないように、通常抜き勾配は、キャビティ側の抜き勾配以下に設定する

キャビティ

  • 製品には、突き出しの跡が付かない
  • 製品の外形に、抜き勾配1度必要。キャビティが移動する際に、製品がキャビティから離れ、コア側に抱き付いている必要があるため、通常コアの抜き勾配よりも大きく設定する

 この特徴の違いから、キャビティは通常、製品の体裁側を形作り、コアは製品体裁面の内側を形作ることが一般的です。

キャビティ側のモデリングの注意点

 前述のように、キャビティ側には、離型のために抜き勾配が必要であると同時に、体裁面を形成するために、以下のような点に注意しながらモデリング進める必要があります。

デザイン図との整合

 自動車、家電製品に代表されるコンシューマの製品の場合には、意匠デザイナーが、製品の外観に責任を持つことが一般的です。従って、デザイナーが作成するデザイン図を参照しながらモデリング行っていきます。

 デザイン図は、2次元図面で描かれたり、3次元モデリングで表現されたり、など決まった方法はありませんが、部品の製造方法にまで留意して外形を決めるとは限りません。よって、デザイナーの指定する外形形状には、抜き勾配がないことも多く、以下のようなトラブルに遭遇するケースが多く発生します。

  • デザイナーの指定形状そのままを金型設計へ採用してしまい、金型から離型しないという成形不良になる
  • 抜き勾配のない形状を再現するために金型にスライドを設けてしまい、金型費が予算を超過してしまう
  • 金型設計へ渡す部品モデルに、離型しやすい抜き勾配を勝手に指定してしまい、デザイナーの意図する意匠と異なってしまう。その結果、商品価値が落ちてしまう。

 以上のような問題を回避するには、デザイン図をモデリングする際に、形状の意図をよく確認し、抜き勾配を入れるのか入れないのかを自分1人で決めずに、関係者と協議、決定したうえでモデリングを開始することが非常に重要です。

シボ加工

 外装で使う部品は塗装などの表面処理を加えることで美しい仕上がりになります。しかし、塗装をせずに、金型のキャビティ表面に、シボ加工というエッチング処理をし、製品に転写させることで、成形品をきれいに仕上げることもできます。

 シボ加工は塗装をするほどのコストを掛けられない部品によく使われます。

 成形品の表面に凸凹を作るために、抜き勾配は3〜5度ぐらいはないと離型する際に、「かじり」(引っかき傷のような跡が残ること)という不良が出てしまいます。抜き勾配は、シボの種類によって変わるので、成形品の表面に、どのシボを利用するのかを前もって確認のうえ、抜き勾配を決めてモデリングする必要があります。一般的に、シボの探さが10μmmに付き、勾配を1度余計に設けなければいけません。

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