プラグアンドプレイがもたらす予期せぬ落とし穴:続・組み込みシステムに迫りくる脅威(1)(2/3 ページ)
最近は複数の組み込み機器同士で音楽などのコンテンツをシームレスに共有できるが、この利便性の裏には脅威が潜んでいる!?
「プラグアンドプレイ接続」に潜む脅威と注意点(1)〜利用シナリオの概要とその事例〜
“情報家電”と呼ばれるネットワーク接続機能を持つ家電には、ネットワークにつなぐだけで、自動的にほかの機器を探し出し、相互接続する機能を持っているものがあります。このような機能は「つながれば動く」ことから、プラグアンドプレイ(Plug&Play)と呼ばれています。
このプラグアンドプレイ機能を有した規格として、例えばDVDレコーダ、HDDレコーダ、ホームサーバなどに格納されたAVコンテンツを、ネットワークを介してテレビで視聴できる「DLNA(Digital Living Network Alliance)」という仕組みがあります。このDLNAの仕様を満たすように家電を設計・開発をすると、簡単に他社のDLNA対応製品と連携させることが可能になります。DLNAの場合、コンテンツの選択や再生開始は利用者の操作によりますが、デジタルカメラやオーディオプレーヤなどのモバイル機器の場合、ネットワークに接続すると利用者が操作をしなくても自動的にホームサーバなどに接続してコンテンツの読み書きを行うものも存在します。
プラグアンドプレイ機能は、細かなネットワーク設定などが不要であるため、IT(Information Technology)に詳しくない利用者にとってはとても便利なものといえます。しかし、すべてが自動で動作するため、利用者の知らないうちに見知らぬ機器や別のネットワークとつながり、予想外の脅威をもたらす危険性も併せ持っています。
では、ここでプラグアンドプレイの利用シーンとそこに潜む脅威について見ていきたいと思います。
プラグアンドプレイ機能を持つ各機器(表1)を例に、プラグアンドプレイで組み込み機器が連携している事例を挙げます。なお、各組み込み機器がやりとりする情報は、チューナーで受信したテレビ番組、インターネット経由で提供される映画、家族や友人と撮影したプライベート画像、防犯のための監視カメラ画像などを想定しています。
機器の種類 | 説明 |
---|---|
ネットワーク対応テレビ | ネットワーク経由でコンテンツを受信・表示したり、チューナーで受信したコンテンツをネットワーク経由で送信できたりするテレビ |
ネットワーク対応DVD/ハードディスクレコーダ | ネットワーク経由で、コンテンツを送受信・保存したり、遠隔操作したりできるレコーダ |
ネットワーク対応デジタルカメラ/デジタルビデオカメラ | 録画したコンテンツをネットワーク経由でテレビやDVD/ハードディスクレコーダ、ネット対応プリンタなどに転送できるカメラ。外に持ち歩くことができ、必要時に家庭内ネットワークに接続するモバイル機器 |
パソコン | 個人用または家族共用のコンピュータ |
ホームサーバ | コンテンツを保存する機能を持ったコンピュータ |
表1 プラグアンドプレイでつながる機器 |
その1 − DLNAによるプラグアンドプレイ −
DLNA規格のテレビとDVD/ハードディスクレコーダを家庭内ネットワークに接続すると、テレビがDVD/ハードディスクレコーダに内蔵するコンテンツのリストを要求し、そのリストを画面に表示します。利用者がリストの中からコンテンツを選ぶと、テレビはDVD/ハードディスクレコーダからコンテンツを受信して表示します。なお、テレビからコンテンツの削除や移動などの操作はできません。
その2 − Windowsネットワーク/CIFSによるプラグアンドプレイ −
ネットワーク対応テレビには、家庭内ネットワークに接続されるとWindowsネットワーク/CIFS(Common Internet File System)を介してネットワーク上のパソコンやホームサーバを探し出すように動作するものがあります。そして、パソコンやホームサーバ上にコンテンツを記録します。また、過去にパソコンやホームサーバに保存したコンテンツファイルを再生したり、あるいはコンテンツファイルの削除や移動などの整理を行ったりすることも可能です。
その3 − モバイル機器によるプラグアンドプレイ −
ネットワーク対応デジタルカメラ/デジタルビデオカメラなどのモバイル機器が家庭内ネットワークに接続されると、録画したコンテンツをTVに表示したり、パソコンやホームサーバに格納したりします。デジタルカメラ/デジタルビデオカメラなどは持ち歩き可能なため、利用者の自宅だけではなく、ほかの家庭内にある機器と接続されることもあります。
その4 − デジタルテレビによるプラグアンドプレイ −
ネットワーク対応デジタルテレビが家庭内ネットワークに接続されて、あらかじめ設定されたインターネット上のサーバに自動的に接続します。そして、サーバからさまざまなデータを取得します。これにより、利用者はテレビの画面から、オンラインショッピング、出前の注文、株価チャートの閲覧などいろいろなサービスを利用できるようになります。
その5 − カーナビによるプラグアンドプレイ −
自動車を始動すると、カーナビも同時に起動してネットワークに接続し、自動車の運行情報(緯度経度、速度など)を定期的にサーバへ通知します。この情報がサーバで集計・分析され、カーナビにフィードバックされることによって、近辺の道路の渋滞状況などを把握できます。
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