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設計者さん、解析業務の他人任せはやめましょうCAEの理想と現実(下)(3/4 ページ)

カタログにひかれて買うものの、いつの間にかホコリを被ってしまうCAE。そこに潜む本当の問題とは? CAEベンダのマーケティング担当者が本音を語る。

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ケース3 電機機器メーカーC社

「でも、そんなの関係ねぇ」――“単に手間が増えるだけでしょ”としか思っていない設計者が大半な件

 電気機器メーカーのC社では、設計部門と解析部門が組織的にも明確に分かれており、それぞれの部門で異なった問題を抱えていました。設計部門では、試作品のテストで問題が発覚したために、一度行った設計を根本から見直さなければならない事態が立て続けに発生し、設計の見直しに多大な工数が掛かっていました。

 一方、解析部門では、原因解明のための業務が増大化し、しかもこの解析は急を要するものが多かったため、スケジューリングを行うことが難しくなりました。

  1. 設計部門からの膨れ上がった解析依頼をどうこなしていくか
  2. 突発的な期限付きの解析依頼をどう調整するか
  3. 解析担当者たちの負担軽減のためには、どうすればいいのか

 これらの問題に日々頭を悩ませていた中で目に留まったのが、設計者向けCAEでした。設計者が解析を行うことにより、設計初期段階で問題を予測するフロントローディング開発が実現できます。設計者は手戻りにより再設計に取られていた時間を、本来の新製品開発にかけることができ、より多くの設計をこなせるようになります。また解析部門では、ある程度の問題の消し込みが設計時点で成されているため、緊急度が高く致命的な問題、突発的な解析に時間を取られることが少なくなり、より生産性の高い解析業務にリソースを投入できるようになります。そこで両部門では、それぞれが持つ予算を併せて設計者向けCAEを導入することにしました。

 ソフトウェアの導入に当たっては両部門から数名ずつ担当者を集めてツールを選定しました。さらに解析部門は自分たちの負担軽減のために、設計部門でのCAE利用が推進されるようにサポート体制を構築しました。

 ところが設計部門では解析部門の協力はあるものの、自ら解析を行おうとする者は少なく、なかなかCAEが浸透していきません。個々の設計者に聞いても「時間がない」と返事が返ってきます。解析部門のサポート体制も、質問がなければ意味がありません。C社は、現在多くの会社に共通する典型的な問題点に直面したのです。

 ただ、C社は非常にまれな事情を持っていました。「設計部門と解析部門が、それぞれが持つ予算を併せて設計者向けCAEを導入」したという点が、それでした。通常、設計者向けCAEは設計部門の予算で購入されますが、C社では解析部門が一部予算を負担していたため、設計者向けCAEの浸透に非常に積極的でした。

 C社では、「なぜ設計者によるCAEが普及しないのか」、また「どうすれば活用が進むのか」について設計部門と解析部門の間で何度も話し合いが持たれました。そこで、いくつかの原因が見えてきたのです

C社の現場では何が起こっていたのか?

 最も大きな原因は、個々の設計者にとってCAEを使うことがそれぞれのメリットにつながっていないという事実でした。「大半の設計者は「CAEを使えばいまよりも業務が増え、それでいて社内評価は変わらない」と感じていたのです。これでは、ツールやサポート体制をいくら充実させても、思うように効果が出ないはずです。

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解析技術者と設計者の意識差が大

C社が取った解決策

 CAEを活用すればするほど、個々の設計者の評価が上がり、なおかつ自身の仕事も楽になっていくという仕組みが必要だと考えました。そのうえで、解析で得られた効果を設計者自身にフィードバックする仕組みや、そこから設計者を評価する指標など、個々の設計者がCAEを活用することが自身にもメリットになると実感できるような体制づくりをいまも続けています。

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