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3次元モデルを余すところなく生かそうデキるエンジニアのCAD設計(4)(2/3 ページ)

設計の概念を勘違いしているならば、CADを使う意味もなく、残業続きの日々となる。20年のキャリアを持つ技術士が、あなたをデキるエンジニアにすべく、設計の考え方を根底からたたき直す。(編集部)

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3. 重量検証(環境評価など)

 設計の軽薄短小化により、モバイル製品のような軽さを1g単位で追求する製品もたくさん存在します。またISO 14000に従い、環境評価として材料ごとの使用重量を評価しなければいけません。3次元モデルから体積が計算できるため、使用する材料の比重を入力すれば、正確に重量を計算することができます(図3)。

ALT 図3 材質別重量管理リスト

4. CAEの活用

 CAEとは、設計対象の機能・性能を計算工学シミュレーションによって検討することをいいます。3次元CADデータを利用して、あらゆる現象を、数値計算力学を用いてコンピュータで計算させ、その結果を検討して問題解決につなげる役割を果たします。パソコン上でシミュレーションすることにより、現物を作る前に机上で動作検証、強度検証を行うことができるため、試作回数を削減することができます。

 CAEを使った解析は、次のように大別されます。

  • 機構解析:機械部品の動作・干渉などを検討することで製品の動作により発生する力や駆動力を時間軸で算出し、運動を解析。
  • 構造解析:主に、有限要素法(FEM)が使われ、解析部材の変形を線形と仮定する線形解析と、材料の非線形性を考慮する非線形解析とに大別。
  • 強度解析(静解析・線形):金属や樹脂部品の強度の過不足の検討、ならびに変形量の検討など。
  • 振動解析(動解析・線形):部品やアセンブリの固有振動(振動数や変形モード)を求めて、振動の予測や共振を避けるための検討。
  • 非線形構造解析(動解析・非線形):ゴムや樹脂、プレス成型など、大変形する部品の大変形・大歪み(ひずみ)モデル、接触問題など境界条件の変化など線形構造解析では取り扱えない複雑な問題を検討。
  • 衝撃・落下解析(動解析・非線形):衝突や落下など、高速でぶつかることによって壊れる非線形な現象を、時系列計算で検討。

 それでは次に、部品の強度解析を例に挙げて、解析のタイミングとCAE解析用のモデルについて説明しましょう。

 設計が完了した部品のモデルを強度解析するに越したことはないのですが、手戻りを最小限に抑えるために、詳細設計の初期段階で解析を行うべきと考えます。しかし、解析モデルとして強度解析したい部分に影響を及ぼす部分の形状はモデリングがほぼ完了していなければ、精度の高い解析は期待できません。強度解析に影響のない部分は、逆にモデルをシンプル化しておくと解析時間が短縮できます(図4)。

ALT 図4 シンプル化して解析時間を短縮

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