【問題17】 トランジスタ増幅回路(1):完全マスター! 電子回路ドリル(19)
前回の宿題は、“ブリッジ整流回路”と呼ばれる回路に関する問題でした。この回路は交流から直流を得たいときによく使われます
【問題16】の解答
【問題16】のような整流回路において、抵抗Rの両端にはどのような波形の電圧が表れるか、という問題でした 。
皆さん解けましたか?
解けた方も解けなかった方も答え合わせをして、次項の解説までぜひ読んでみてください。毎週コツコツ問題を解いて、電気・電子回路の基礎知識を身に付けてください。
それでは、解答を発表します!
【問題16】の解説
【問題16】の回路は“ブリッジ整流回路”と呼ばれるもので、交流を直流にする回路です。電力会社から供給される電気は交流なので、それから直流を得たいときによく使われる回路です。
ここで、「直流」と「交流」について説明しましょう。
電池の起電力のように、電流の流れる方向が一定で、時間が経過しても大きさが変らない電気を“直流”といいます(図1)。直流はDC(direct current)と表記し、乾電池やACアダプタにはDC1.5Vなどと書かれています。
また、電流の流れる方向や大きさが周期的に変化する電気を“交流”といいます。
交流はAC(alternating current)と表記します。家庭用のコンセントはAC100Vと記載されているのが良い例です。
図2のように、基本的な発電機の起電力は正弦曲線(サインカーブ)状に変化しています。このような交流を“正弦波交流”といいます。家庭の電源も正弦波交流です。一般に交流というと正弦波交流をいいます。
交流において、1回の繰り返しに要する時間を“周期”といいます。また1秒間の周期の数を“周波数”といい、単位はHz(ヘルツ)です。
正弦波交流では、時間とともに電流・電圧の大きさや方向が絶えず変化し続けるので、ある任意の時点におけるその大きさを“瞬時値”といい、瞬時値のうち最大となる大きさを“振幅”または“最大値”といいます。
【問題16】は、4つのダイオードにより交流を直流にする回路の働きを調べる問題です。
図3の回路のように、1つのダイオードでは、VIが正の電圧のときのみ電流が流れ、VIが負の電圧のときは電流が流れないため、負の部分がカットされた電圧が出力されます。
図3の回路は、入力の正の部分しか出力されない“半波整流回路”です。これでは効率が悪いので、入力のすべてを出力する“全波整流回路”が考えられました。
図4のブリッジ整流回路で、
VIが正の電圧のときには、
ダイオードD1 → 抵抗R → ダイオードD3 → 交流電源
と、電流が流れます。
VIが負の電圧のときには、
ダイオードD2 → 抵抗R → ダイオードD4 → 交流電源
と、電流が流れます。その結果、入力の正負にかかわらず抵抗Rに流れる電流は一定方向になります。
ちなみに、全波整流回路・半波整流回路のみでは完全な直流を作り出すことはできません。家庭の電源から直流を得るには、図5のような回路が必要です。
次回までの宿題 ― 【問題17】
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