モノづくりの「知」を集約する「Teamcenter 2007」:シーメンスPLMソフトウェアの最新PLM製品
「Teamcenter」は製品の企画・設計から製造、保守管理に至るライフサイクル全体をカバーする各種情報の統合管理ツール。世界各地に分散しているスタッフともリアルタイムでデータ共有ができるため、設計変更にかかる時間を大幅に短縮できるという。
独シーメンスA&D傘下のシーメンスPLMソフトウェア(旧UGS PLM Software)は2007年10月3日、PLM(製品ライフサイクル管理)製品の最新版「Teamcenter 2007」を発表した。
「Teamcenter」は製品の企画・設計から製造、保守管理に至るライフサイクル全体をカバーする各種情報の統合管理ツール。「CAD/CAM/CAEといった設計データから、仕様変更の履歴、仕向地ごとに差し替える部品データ、プロジェクトの進捗情報など、多種多様なデータはシングル・ソースで管理されることが重要だ」と、同社アジア太平洋地域マーケティング・ディレクター、サミー・シット(Sammy Sit)氏は強調した。
デモでは、Wordで作成され文書をTeamcenter 2007にインポートし、要件管理のツリー構造にマッピングされる「リクワイヤメント・マネージャ」が示された。いったんインポートされたWord文書は、Teamcenter 2007にログインしたプロジェクトのメンバーが参照・更新できる。また、Wordの単独ファイルへのエクスポートも可能だという。
現在の製造業はグローバル化が進み、設計・製造といった社内業務の海外移転に加え、サプライヤ、パートナーなど社外の関係者も全世界に広がっている。このような分散環境で生産性を大きく阻害する要因は「データとナレッジの分散」だとし、「Teamcenterを導入すればデータの検索や追跡が容易になるため、過去の設計データを流用したいといった場合など、設計者の生産性は向上するだろう。また、世界各地に分散しているスタッフともリアルタイムでデータ共有ができるため、設計変更にかかる時間を大幅に短縮できる」とシット氏は語った。
Teamcenter 2007では、ソフトウェア基盤にSOA(サービス指向アーキテクチャ)フレームワークを全面的に取り入れたことが最大の変更だという。SOAとはソフトウェアのインタフェースを標準化し、異なるアプリケーション間の連携を容易にする仕組み。これによって実現された新機能は「ビジネスモデラIDE」だ。「Eclipse」にTeamcenter用のプラグインを入れIDE画面上でアイコンをドラッグ&ドロップする。これだけで新たなビジネス要件に対応したカスタマイズが可能になるという。従来必須だったC言語によるコーディングが不要になった。
同社は今回発表されたTeamcenterのほかに、CAD/CAM/CAEのデジタル製品開発を支援する「NX」、3次元CADの「Solid Edge」、デジタル・マニュファクチャリングの「Tecnomatix」、中小規模企業向けPLMソリューション「Velocity」を持つ、PLM関連分野の全体をカバーする総合的なソフトウェアベンダだ。
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