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マルチプロセッサ仕様「MP T-Kernel」の実力T-Kernel技術解説 AMP編(1/3 ページ)

組み込みの世界にも、マルチプロセッサ/マルチコアの波が押し寄せている。AMPに対応した「MP T-kernel」の概要とその効果を紹介する

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 組み込みシステムの世界でも、マルチプロセッサ技術が注目を集めている。本稿では、マルチプロセッサに対応したリアルタイムOS「MP T-Kernel」について解説する。なお、T-Kernel全般およびMP T-Kernelの概要については、「2006年、T-Kernelはこうなる!」を参照されたい。

マルチプロセッサ対応T-Kernel登場

 「MP T-Kernel」は、マルチプロセッサに対応した組み込みシステム向けリアルタイムOSである。本稿では、従来のT-Kernelを「標準T-Kernel」と称して区別することとする。

 MP T-Kernelには、大きく以下の3つの特徴がある。

組み込みシステムに適したリアルタイム性能
現状、マルチプロセッサ対応OSの多くはPCやサーバ向けの情報系OSであり、組み込みシステム向けのリアルタイムOSに比べてリアルタイム性能が劣る。

MP T-Kernelは、リアルタイムOSとして設計されている。例えばプログラムのスケジューリングは、情報系OSのようなラウンドロビンではなく絶対優先度によるスケジューリングを用いるなど、標準T-Kernelと同等の設計となっている。

さまざまなマルチプロセッサ・アーキテクチャに対応
特定のハードウェアに依存せず、さまざまなプロセッサに対応するよう設計されている。

一口にマルチプロセッサといっても、非対称型マルチプロセッサ(AMP)、対称型マルチプロセッサ(SMP)のような方式の違いもあれば、共有メモリの有無といったプロセッサ間の結合の違い、マルチコア・プロセッサのように1つのチップパッケージに複数のプロセッサ・コアを搭載したものなど多様であり、組み込みシステムではPCのようなアーキテクチャの統一は不可能である。MP T-Kernelはこれらに幅広く対応できる。

標準T-KernelやμITRONとの高い互換性、移植性
定められた作法を守りさえすれば、再コンパイルのみで標準T-KernelとMP T-Kernel間でソフトウェア・モジュールの共用が可能なレベルの互換性を持つ。既存ソフトウェアの再利用や、シングルプロセッサからマルチプロセッサへの製品展開が容易である。また、μITRONからの移植も標準T-Kernelと同じく簡単に行える。

 MP T-Kernelは、対象となるマルチプロセッサに応じて「AMP T-Kernel」と「SMP T-Kernel」の2種類が存在する。その名のとおり、前者は非対称型、後者は対称型のマルチプロセッサに対応する。AMP T-Kernelは試作開発が完了し、6月に発表が行われた。以降は、このAMP T-Kernelを中心に解説していく。


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