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ESECで分かった組み込み業界最新トレンド組み込みイベントレポート(3/3 ページ)

組み込みの「いま」が凝縮された展示会、ESEC。今年は、新たな市場に向けて動き出した各社の動向や新製品が見どころ

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車載、LSI設計、DB……ESECは何でもあり

 車載向けOSやミドルウェアで知られているヴィッツは、TOPPERS/OSEKカーネル Version1.0をベースにした自動車統合制御用組み込みOS「保護機能OS」のデモを展示。現時点ではメモリ保護機能のみだが、将来的にはそれに加えて時間保護機能を実装する予定とのこと。デモでは意図的にメモリ保護違反を発生させるシステムを構築し、既存のTOPPERS/OSEKカーネルと保護機能OSそれぞれの挙動を比較していた。


ヴィッツによる保護機能OSのデモ風景
写真7 ヴィッツによる保護機能OSのデモ風景

 NECシステムテクノロジーは、C言語ベースLSI設計ツール「CyberWorkBench」のプレゼンテーションとデモで注目を集めていた。ソフトウェアだけでなくハードウェアもC言語で記述できるだけでなく、動作シミュレータによってハードウェアを実装することなくソフトウェアも含めた動作検証が行えることが重要だという。ハードウェアの不具合も修正できるし、ソフトウェアでムリにカバーするよりもパフォーマンスも出る。

NECシステムテクノロジーが展示していたCyberWorkBenchのデモ
写真8 NECシステムテクノロジーが展示していたCyberWorkBenchのデモ。その横では大々的にプレゼンテーションを展開

 正式な製品発表は2006年7月で第3四半期出荷予定とのことであるが、NECグループ内ではすでに使われており、CyberWorkBenchで設計されたシステムLSIによる売り上げは年間数百億円に達するという。C言語設計ツールの分野は、ほかにもメンター・グラフィックスやソリトンシステムズ(+米国Y Explorations)などが出展しており、それぞれ来場者の関心も高かったようだ。

 アームブースでは、京都マイクロコンピュータがARM1136(Freescale i.MX31)を搭載した評価ボード「KZM-ARM11-01」を展示。サードパーティでARM11を搭載したボードは初(同社辻氏談)とのこと。8月1日正式出荷予定のデバッガソフト「PARTNER バージョン5」も展示。フローティングウィンドウを意図したとおりの場所に配置できるなど、使い勝手も良さそうであった。

京都マイクロコンピュータのPARTNER バージョン5
写真9 京都マイクロコンピュータのPARTNER バージョン5

コラム 組み込みデータベースはいま

去年からウオッチしている組み込み用途向けのデータベースはどうなっているだろうか。「組み込みデータベースカタログ」のアフターフォローも兼ねて、簡単に紹介する。

ブライセンおよび日新システムズは、それぞれ「Linter Plus」を展示していた。組み込みデータベース「Linter」と日新システムズのFATファイルシステム「USFilesPlus」を統合した製品で、データベースとファイルシステム双方に傷害復旧機能を搭載しているのが強み。対応OSは、Windows CE、Linux、μITRON。ブライセンの諏訪氏によると来場者の反応は去年とまったく異なっており、「間違いなく組み込みデータベースの市場が立ち上がりつつある」のを実感しているという。

日新システムズとブライセンが、「LinterPlus(リンタープラス)」を共同開発

アイエニウェアのブースでは、Symbian OS上で動作するUltra Liteを参考出展。「携帯市場への進出に向けて、Symbian OS対応は必須」とのこと。

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 今年のESECもまた、非常に多くの来場者で会場はいっぱいだった。これからまますます巨大化するのか、それともいつか縮小していくのか。人であふれる会場を見ると、ついCOMDEXやWINDOWS WORLD Expoといった巨大展示会の盛衰を思い出してしまう。

 さて、来年のESECはどうなっているだろうか?


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