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拠点との同期に強いモバイルDB「Ultra Light」組み込みデータベースカタログ(2)(1/3 ページ)

組み込みデータベースカタログ第2回は、アイエニウェア・ソリューションズ(以下アイエニウェア)のUltra Lightを取り上げる。お話を伺ったのは、同社エンジニアリング統括部 システムエンジニアチーム シニアコンサルタントの森脇大悟氏である。

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あのWATCOMにさかのぼる組み込みDB

 Ultra Light自体の説明に入る前に、まずUltra Lightが含まれている「SQL Anywhere Studio」の歴史を振り返ってみよう。

 SQL Anywhere Studioのメインコンポーネントである「Adaptive Server Anywhere」(以下ASA)は、コンパイラ(Watcom C/C++)で有名なWATCOMが開発した「Watcom SQL」というデータベースにさかのぼることができる。その後、WATCOMが米Powersoftに買収され(1994年)、さらに1995年にはPowersoftが米Sybaseに買収されたことにより、Watcom SQL改め「SQL Anywhere」はSybaseの製品としてラインアップされることになる。旧WATCOMの開発部隊の大半はSybaseのMEC(Mobile and Embedded Computing)事業部として集結し、SQL Anywhereシリーズを送り出すことになった。2000年には、このMEC事業部がそのままiAnywhere Solutionsとして独立する。

SQL Anywhere Studio関連年表
SQL Anywhere Studio関連年表

 現在、アイエニウェアはASAを中心とした「SQL Anywhere Studio」に加え、「RFID Anywhere」「Answers Anywhere」「M-Business Anywhere」など多くの製品を展開しているが、中核となるのは携帯機器とセンターを結び付けるソリューションである。社名のi“Anywhere”が物語るように、「会社のコンセプトは、データセンターにあるデータをビジネスの現場で使えるようにするためのソリューションを提供することです。“Unwired”といういい方もしますが、そうしたインフラを提供するのが目的です」(森脇氏)というコンセプトに基づいた製品を提供している。

 今回紹介する「Ultra Light」も、このコンセプトに基づいている。製品としてアイエニウェアから提供されるのはSQL Anywhere Studioという統合パッケージであり、現在のところはUltra Light単体で提供されているわけではない。

SQL Anywhere Studioに付属する、Ultra Light用SQL実行ツール
画面1 SQL Anywhere Studioに付属する、Ultra Light用SQL実行ツール

 SQL Anywhere Studioには、

  • ASA
  • Ultra Light

という2種類のデータベースおよびMobile Linkという同期ツールなどが含まれている。

 システムの中核となるASA自体もかなり組み込み用途を意識した製品であり、同社サイトの「対応OS一覧」によるとWindows CE 3.0/4.1/4.2/5.0やWindows XP Embedded、各種Linuxをサポートしている。ASAが必要とするメモリ量は4Mbytesで「抜群に小さい」とはいえないものの、構成次第では組み込み用途での利用も十分可能だ。これに対し、Ultra Lightはより制約の厳しい環境を狙った製品で、同社はこれを「組み込み向けデータベース」と明確に位置付けている。データベースが利用するメモリはわずか150kbytes。機能的にはASAには及ばないものの、多くの点で共通の機能を持つ。



Mobile Linkによる上位DBとの連携を強く意識した組み込みDB。上位に当たるAdaptive Server Anywhereとの融合性も高く、必要に応じて切り替えも可能。モバイルDB用途で大きなシェアを持っている。


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