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プリエンプション対応リアルタイムDB「Linter」組み込みデータベースカタログ(1)(1/3 ページ)

組み込みデータベースカタログ第1回は、RelexUS社のLinterを紹介する。お話を伺ったのは、Linterの国内総代理店であるブライセンの先端技術事業部 取締役 事業部長 鎌田博之氏である。

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東西冷戦が生んだ堅牢・小フットプリントDB

 Linterは、もともとロシア(正確には旧ソビエト連邦)で開発されたデータベースである。開発が始まった1983年といえば冷戦終結前の、逆に東西断絶が一番厳しい時期であり、当時ソビエトで利用できるコンピュータのほとんどは西側に比べて性能的に2〜3世代古いものだった。こうした環境であっても、例えば政府機関や公官庁ではデータベースを使いたいという要求はあり、

  • 劣ったハードウェア性能をソフトウェアでカバー
  • 絶対的なメモリ搭載量が少ないので、小フットプリント必須。メモリリークなどもってのほか
  • 手本になる大規模RDBが存在しない時期で、まねることもできない

という三重苦の環境で、まず2年間の基礎研究とその後2年間の開発を経て完成したのがLinterである。こうしてできたLinterは、官公庁や一部軍用などにも利用されたらしい。

 その後冷戦が終結して東西交流が始まると、Linterも米国に渡ることになる。すると、動作環境がいきなり2〜3世代進んだ状態で利用される形となり、少ないメモリ量と乏しいCPUパワーで動作するように設計されていたLinterは、エンタープライズ向けはおろか組み込み向けでも十分利用できることがいわば「発見」された。もともとLinterは組み込み用途ではなくエンタープライズ向けRDBとして開発されていたのだが、その動作環境が組み込み向けレベルであった(注)ため、組み込み向けに展開するのも容易であったのだろう。

※注
最初の開発のターゲットマシンは、いにしえのDEC VAX/VMSおよびDEC Professional 350だそうだ。VAXの方は恐らくVAX-11クラスと思われるのでまだしも、Professional 350といえばCP/M-80やRT-11が動く16bit PCでしかない。

 Relex社はもともとロシアのチームが核となったもので、2000年に米国で会社(RelexUS)を興す。現在は、マネジメント、デザイン、アーキテクチャ、プロジェクト管理を米国で行い、開発に関しては引き続きロシアで行っているという。面白いのは、1983年に開発が始まった最初の製品から現在のLinterまで、基本コンセプトや構造が変わっていないことだ。「Linterを一言でいうと、古いアーキテクチャを温存した、非常にまじめに作られたRDB」(鎌田氏)という言葉がこれを端的に表現している。

Linter Embedded(Windows版)に付属する各種GUIツール
画面1 Linter Embedded(Windows版)に付属する各種GUIツール


トランザクション機能も装備したプリエンプション対応リアルタイムデータベース。SQL92準拠でDBアプリ経験者にとって使いやすく、また非常に多くのOSに対応しているのが特徴。


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