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開発者は自ら“改善”に向けて立ち上がろう組み込み開発者の本音トーク(後編)(3/3 ページ)

何もしなければ何も変わらない。絶望的な状況に抗して、強い意志と勇気を持った開発現場のリーダーたちは行動を起こし始めた

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ソフトウェア開発の社内地位を確立するには?

―― 現場がうまくやっていても評価されにくいということもありますか? もしかしたら、会社の組織にかかわる問題かもしれない?

B氏 やっぱり、絡んでくるのはお金(笑)ですよね。

A氏 確かに偉い人にアピールするなら、お金でアピールするのが一番分かってもらえますよね。それ以外でアピールしても、口では分かったといってもらえたところで、本当に分かってくれているのか怪しい。経営層は、お金の話になれば、こちらを向かないわけはないので、それが一番のアピール方法かなぁ。

―― ソフト開発をお金で表現するなら、やっぱりコストが小さくなることが重要?

A氏 うーん、ただソフト開発の人件費はコストに含まれないですからねぇ。

C氏 組み込み業界はソフトでビジネスするつもりはないんですよ。だから余計に付属品と思われている。ハードができてナンボという製品なので、ソフトウェアの部分だけをコスト計算する文化もなかったし、コスト計算しろといったら戸惑うんじゃないかな。IT系のSEとしての見積もり方法と、組み込みソフトのエンジニアが使っている見積もり方法はきっと違うでしょう。組み込みソフトの見積もりはレベルが低いかもしれません。ソフト屋が見積もり手法を知らないことも問題といえば問題ですが。

B氏 組み込みのソフトだけで商売している会社は、工数計算や見積もりはかなりシビアですよ。

C氏 逆にメーカー系は、製品として売れればいいので、ソフトの見積もりの仕方も知らないしアバウトですね。

A氏 原価といわれるのはハードのことで、ソフトを作っている人件費は入らない。でも、なぜか組み立て調整のための人件費などは入っていたりする。多分メーカーはそういうところが多いのではないでしょうか。特に、ソフトを自社内で自前でやっていると。逆にそうじゃないというのはあまり聞かないですね。やはり……階級制度ですかね(笑)。機械や電気、ハード屋さんの力が強いと感じますよ。

―― これからソフトの開発規模がどんどん大きくなると、ハードとソフトを切り分けて、両方がコスト計算していくようになるのでしょうか。

B氏 大きなメーカーはすでに分けていますよね。

C氏 いまはコストダウンが大きな命題ですからね。ビジネスモデルも変わってきているし、やはり少しずつソフト開発のコストにも目を向けてきていると思います。

A氏 いま経営層にいる人たちが現場だった時代は、ハード屋さんがついでに作れたソフトという時代。だから、ソフトをまったく知らないわけじゃなくて、多少知っているだけに現在のソフトを理解してもらいにくいところはあるかもしれません。でも、そういう時代から見ると、いまはすでにハードとソフトがかなり分かれてきている。今後はもっと分業化が進むのではないでしょうか。

―― ハードが安くなっていってもうからなくなったら、ソフトでもうけようという考えも出てくるかもしれませんね。

B氏 いまは過渡期でしょう。ソフトの問題で製品回収というトラブルもあり得るし、それが逆に品質に対する意識付けのきっかけになることもある。きっかけはともかく、改善に少しでも取り組んだことによって、やはり前とは違っていますよ。成果も出てきて実際に良くなってきているし、ソフト側の話を聞いてもらえるようになってきている。ソフトに対する重要性を認識し始めていると思います。

C氏 マイコンの種類も減って、アーキテクチャがいくつかに絞られてきているなど、環境も変わってきていますよね。こういうことも追い風になると思います。組み込みLinuxの例のように、みんなでシェアしようとか、ミドルウェアを充実させようということも進みやすくなるのではないでしょうか。

―― ソフト開発の部分に着目してもらう、見直してもらう、世の中の動きもそうなっているといえるでしょうか。

C氏 実際問題、もうやりきれなくなっているから、意識もじわじわ広がっているんでしょう。一方で10年前とまったく同じところもあるし、そうすぐに広がるものではないですが。プロセス改善に着手している組み込み企業は、ある意味で先端を走っているといえると思います。そういう企業はマネージャや経営者の考えがほかより一歩進んでいると思います。

―― まず、上層部の意識から変えないといけない?(笑)

B氏 上の人たちにも血を流す覚悟がないと(笑)。やっぱり上の人たちが首を突っ込んでくれないと難しいですよ。納期は譲れませんとはいうけれど、どうすればできるかということを考えるマネージャーが少ないですからね。良い成功事例を見つけたときに、自分たちもやってみようといえるマネージャーか、ありましたと教えてくれるだけかの違いですかね。

C氏 一度できたら、そのノウハウを使えばいいわけだし。最初に誰が汗をかくかということですよね。手法はいくらでもあると思いますよ。データは実はいくらでもあるんですよ。例えば日報でもなんでも。それをリーダー、マネージャーが分析してフィードバックする力がない。現場は決められたルールにのっとって、情報を発信しているんですけどね。

A氏 ちょっとした意識の問題ですよね。例えば、日報の情報を上に上げるというのもマネージャーのちょっとした意識。それがあるかどうかで大きな差が出ます。そのちょっとした意識が重要なんだということを分かってもらいたいですね。決まったやり方はないと思いますよ。もちろん決まったやり方があれば、すごいことになると思いますけど。

―― 中小規模向けのプロセス改善モデルができたら、みんな飛び付くかもしれませんね。今日はどうもありがとうございました。(完)

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