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組み込みの祭典Embedded Technology 2005組み込みイベントレポート(2/3 ページ)

パシフィコ横浜にて、「Embedded Technology 2005」が開催された。併催イベント「ETロボコン」の模様も併せてレポートする

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最新製品を会場でチェック

 ETのような大展示会に新製品の発表を合わせてくるメーカーは多い。ET2005の直前あるいは16日の会期初日に多くの発表が行われた。

 まず見つけたのは、アプリックスがET2005の初日である16日に発表した「JBlend[nano]」である。ゼロからコーディングし直すことにより、同社のJBlend[Embedded]や[Micro]よりもさらに小さいフットプリントを実現した。


JBlend[nano]の実行画面
写真4 JBlend[nano]の実行画面。画面表示がJBlend[nano]の本質ではないので、この写真にあまり意味はないが

 同社によると、Java実行環境としてすべての仕様を満たしているわけではないため、JBlend[nano]については「Java実行環境ではない」としている。「Java」を名乗れないとはいえ、Java言語の知識を利用してプログラミングできることに変わりはない。体験版の無償ダウンロードも開始されているので、興味のある人は試してみるといいいだろう。

Ardence社のRTXとReadyOn
写真5 横河ディジタルコンピュータのブースにて。Ardence社のRTXとReadyOn

 横河ディジタルコンピュータのブースでは、ET2005直前の15日に販売契約が発表された「RTX(Real Time eXtensions)」および「ReadyOn」が注目を集めていた。

 RTXは、Windows NT EmbeddedやXP、XP EmbeddedをRTOS化するツールである。Visual Studioでアプリを開発できるため、Windows開発者が組み込み開発に移行するのは「比較的」容易といえるだろう。

Windows XP Windows XP+RTX
起動時間 60s 60s
スレッド切り替え 46μs 8.4μs
最大割り込み間隔 1688μs 26μs
イベント通知 46μs 8.5μs
同社による調査結果(Pentium III 1GHz)

 ReadyOnは、Windowsの起動/シャットダウンを高速化するソフトウェアである。組み込み機器(特に家電)においては、非常に重視される機能だ。


まだまだある組み込みデータベース

 組み込み向けデータベース市場の競争はますます過熱していくだろう。今回はESEC時にフォローし切れなかった製品を紹介する。

 ブライセンは、ロシア生まれの「Linter」を出展。最小RAMサイズ40kbytesのLinter Microから同800kbytesのLinter Embedded、同6.5MbytesのLinter Enterpriseまで、用途やハードウェア的な制約に応じて選択できる。ただ、ブライセンとしては「必要な機能を満たしているか否か」を重視しており、小フットプリント競争にはあまりこだわらないようだ。また、Linterは確かにロシア生まれではあるが、ブライセン自身もコードレベルで修正やカスタマイズができる体制を整えており、単なる販売代理店ではない点を強調していた。

 富士ソフトABCの「FSμSearch」もまた、興味深い製品である。同社は「組み込み機器用検索エンジン」としているが、使っている技術はデータベースのそれであり、カテゴライズするならデータベースに含まれるだろう。標準ではSQLは扱えないが、逆に組み込み機器であれば必ずしもSQLは必要ない。また、SQLをサポートするためにフットプリントが増大するよりは、SQLをオミットするという仕様も合理的といえるだろう。

 エンサークの「ENCIRQ Data Foundation Framework」は、モジュール構造と小フットプリントが特徴のデータベースである。24kbytesのエンジン部分に、必要に応じてストレージ管理やトランザクション管理のモジュールを追加するという構造になっている。もちろん、例えばオンメモリ実行のみでストレージを搭載しない機器であればストレージ管理のモジュールは不要になる。

 ESECのレポートで紹介した製品にもいえることだが、組み込み向けデータベースは各社それぞれアプローチの仕方が異なっており、製品の性格もバラエティに富んでいる。組み込みデータベースを選定する際は、カタログスペックよりもそれぞれの特徴や設計思想を重視した方がいいだろう。

関連リンク:
ブライセン
エンサーク



 組み込み分野においてETに匹敵するのはESECくらいだろう。夏のESECと冬のET、ともに規模は甲乙付け難い。出展社や入場者数を数値で比較することは容易だが、意味のある行為とは思えない。

 ESECは複数の展示会が併催されるため、ESECの来場者の中には非組み込み業界の人々も多少は含まれていると見るべきだろう。これに対し、ETは来場者の「純度」がより高いと考えられる。また、出展社が必ずしも同一でないことにも注目する必要がある。ESECには出展したがETには出ない、逆にESECには出さなかったがETには出展したという企業も多いのである。

 組み込み業界の企業がこれだけの規模で集まる機会は多くない。来年のETもまた、新たなビジネスを生むチャンスを提供してくれることだろう。

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