喧騒の中で自然に対話――子守りロボット「PaPeRo」:パーソナルロボット(2/2 ページ)
NECが、“家庭の実環境”での音声認識性能を向上させた新型パーソナルロボットPaPeRoを開発。応用例として、子供の世話をする「チャイルドケアロボット PaPeRo」をお披露目した。
子守りに特化させた「チャイルドケアロボット PaPeRo」
このようにコミュニケーション機能が大幅に強化された新型PaPeRoを、「子供の世話(子守り)」に特化させて開発したのがチャイルドケアロボット PaPeRo(以下、子守りPaPeRo)だ。
この子守りPaPeRoは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の次世代ロボットプロジェクトに採択されて同社が開発したもので、NEDOの委託事業として3月25日から9月25日まで6カ月間、愛・地球博(愛知万博)の「ロボットステーション」内で3〜12才の子供を対象にした技術実証運用が行われる。
アイザック・アシモフのロボット小説の中に「Robbie(ロビイ)」という子供に愛される子守りロボットが登場するが、子守りPaPeRoは、子供とコミュニケーションを交わすためのさまざまな改良が加えられている。
保育園/幼稚園/展示会場など通常よりもさらに雑音の多い環境での音声認識を実現するために音声信号処理技術をさらに強化。また、ワイヤレスマイクと超音波タグを内蔵した「パペザック」を子供が装着することによって、より高度なコミュニケーションが行える「ワイヤレスマイク方式同時発話音声認識技術」を搭載した。
さらに会話だけでなく“触れる”ことでコミュニケーションを交わせるように頭/腹/脇/肩など計9カ所にタッチセンサーを装備。そのほか、動き回ることの多い子供の顔を正確に認識する子供向け顔認識エンジンや、携帯電話を利用した遠隔地からの連携など、“子守りロボット”としての機能を新たに追加している。
「PaPeRoは従来から子供や高齢者に非常に人気が高く、以前からチャイルドケアへの応用は十分あると考えていた。新型PaPeRoは、騒がしい実環境の中でも普通に対話できる機能を装備し、目(カメラ)を使って人間とより親密なコミュニケーションを交わせる機能も備えている。新型PaPeRoの一部機能を取り出したチャイルドケアロボット PaPeRoでは、6カ月の万博での実証実験結果を通じて、子供とのコミュニケーション能力のさらなる向上と、人間と機械との新しいコミュニケーションの方向性を探っていく」(同社)
研究開発目的のみで販売の予定は今のところないPaPeRoだが、現状のものを市販するとすれば研究開発費も含めて1台100万〜200万円ぐらいになるという。「ただしノートPCの部品を多用しており、モーターも汎用品を使用しているため生産コストは安く、ノートPC並みに生産量が増えれば価格もノートPC並みにはなるのでは」(同社)
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