「過去の不具合情報に気付けない」を解決する、AIによる図面検索ソリューション:図面検索AI
設計プロセスを起点としたDXでPLMに注目が集まる中で、その中核に位置する「図面」が果たす役割は大きい。日立ソリューションズ西日本の「Hi-PerBT 図面検索AI」は、製造業にとっての資産である図面をより効率的に活用できるようにするソリューションだ。
製造業において、設計プロセスの良しあしが製品コストの8割を決定する。そのため、多くの製造業が自社の競争力を高めるためにデジタル技術を活用した設計力強化に注力している。
特に設計プロセスという観点で注目したいのが、日立ソリューションズ西日本が提供するPLMソリューションにラインアップされる「Hi-PerBT 図面検索AI」だ。本稿では、オンラインセミナー「転機を迎える製造業の品質と信頼〜これからの時代の品質管理はどうあるべきか?〜」(2023年1月31日開催)から、同製品を紹介した日立ソリューションズ西日本 産業ソリューション本部 製造ソリューション部の田口めぐみ氏による講演を抜粋してお届けする。
類似図面発見を強力に支援する3つの検索方法
Hi-PerBT 図面検索AIは、図面名称などの情報で絞り込む通常の属性検索に加えて、AI(人工知能)を活用した検索によって図面という資産を有効活用できるようにする。以下では特にHi-PerBT 図面検索AIを詳しく紹介したい。
Hi-PerBT 図面検索AIでは「形状検索」「仕様検索」「記号検索」という3つの方式で検索できる。形状検索は、AIが作成した類似形状の分類モデルを基に自動で読み込んだ検索図面のデータの類似形状を抽出する。検索結果は、類似度の高いものから順にサムネイル形式で表示される。類似度が「99.5%」と表示されていれば、検索図面とほぼ同じ図面であると判断できる。
図面内の一部形状を用いた部分検索も可能だ。部分検索可能な箇所はAIが赤色で強調表示する。この機能を使うことで、側面図だけを使った検索も簡単にできる。
仕様検索では、図面に含まれる文字での検索が可能だ。フリーワード入力できるテキストボックスに「外径加工図」などと文字列を入力すると、該当する図面を簡単に見つけられる。田口氏は「企業や業界によって、図面で使用する用語にばらつきが見られることもあります。その場合は事前に類語として登録しておけば対応できます」と説明した。
記号検索を使えば、溶接記号や仕上げ記号などでの検索が可能だ。日立ソリューションズ西日本に事前に相談すれば、特定の回路記号などもAIモデルに学習させて検索可能になるという。
当然、これらの機能は一般的な検索と同様にANDやORなどの条件検索にも対応する。
3つの検索機能に加えて図面の比較機能も備えている。検索して類似度の高い図面が見つかったら、「検索図面に重ねてみる」など、分かりやすく見比べることが可能だ。図面の表示切り替え機能によって、図面同士の重なった部分を個別に表示することもできる。
「不具合情報が探し出せない」を解決
田口氏は具体例を挙げながら、Hi-PerBT 図面検索AIが現場課題をどのように解決するかも説明した。同氏によると「数社で設計品質に関する課題の洗い出しを行ったところ、71件の事象/課題のうち、48件が『不具合情報を管理しているが、(検索の)ヒット率が悪い』『容易に探せない』といった過去の不具合情報に関する課題でした」という。
現場で記載された不具合情報が属性情報を付与されてPLMシステムに登録されてはいるものの、属性検索だけではヒット率が悪く、類似の不具合に気付けないといったケースがある。不具合情報をフォルダ管理している場合、問い合わせに応じて該当する過去の不具合情報を探したくても、PLMシステムなどで利用可能な属性検索では探し出せないので勘で見つけるしかないという事態もあり得る。これでは類似図面を容易に探せない。
これらの課題をHi-PerBT 図面検索AIはどのように解決するのか。田口氏は「Hi-PerBT 図面検索AIは、不具合情報をイメージ化して図面同様にPLMシステムに登録します。これにより、属性情報では指定できない細かい情報でも仕様検索によってフリーワードで探せます。類似図面を形状検索で探して不具合情報を確認することで、類似の不具合情報を未然に防げるようになります」と説明する。
Hi-PerBT 図面検索AIによる図面の活用で過去に生じた不具合の発生を未然に防げれば、設計品質の向上につながる。言うまでもなく、図面は製造業にとって重要な資産だ。だからこそ、その情報を有効活用する仕組みをつくり、情報のデジタル化で紙文化から脱却することこそが製造業の設計DXにおける本当の第一歩となる。
講演の最後に田口氏は、全国の製造業の担当者に向けて次のようなメッセージを贈った。
「不具合情報は蓄積されたナレッジとしてさらなる活用が期待できます。日立グループはそうした活用を支援するソリューションを準備しています。ぜひお問い合わせください」(田口氏)
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提供:株式会社日立ソリューションズ西日本
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2023年3月17日