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アジアで評価急上昇、“元祖”スマート工場「e-F@ctory」が受け入れられるワケスマートファクトリー

スマート工場化へのニーズがアジアでも広がる中、三菱電機が推進するFA−IT統合ソリューション「e-F@ctory」が拡大している。「e-F@ctoryアライアンス」を各地で設立するなど、ソリューション提案の体制強化なども進み本格的な拡大が進んでいる。2019年10月22日〜24日にシンガポールで開催されたIndustrial Transformation ASIA PACIFIC(ITAP)での三菱電機の出展内容と東南アジアでの取り組みについて紹介する。

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 製造拠点としての役割が強まる東南アジア地域でスマート工場化への関心が急速に高まっている。製造業新興国においても、人件費高騰や熟練人材の不足、高度な品質要求への対応などさまざまな製造課題が大きな問題となってきているからだ。

 この中でスマート工場ソリューションとして現地の製造業から大きな期待を集めているのが三菱電機の「e-F@ctory」である。三菱電機では2003年からFAとITの情報を結び、より効率的なモノづくりの実現を目指してきた。さらにここ数年は「e-F@ctoryアライアンス」をアジア各国で設立し、地域への浸透とソリューション提案に取り組んでいることも普及を後押ししている。

 東南アジアでなぜ「e-F@ctory」が期待を集めているのか。シンガポールの第4次産業革命をテーマとした展示会「Industrial Transformation ASIA PACIFIC(以下、ITAP)」(2019年10月22日〜24日、シンガポール・シンガポールエキスポ)の出展の様子から、東南アジアでのスマート工場化へのニーズと三菱電機の取り組みを紹介する。

東南アジアでも高まるスマート工場化へのニーズ

 ITAPはシンガポールで2018年に始まった、第4次産業革命をテーマとした新しい展示会だ。ドイツのインダストリー4.0を主導する場として注目を集めるハノーバーメッセを運営するドイツメッセとSingEXが共催する。東南アジアの中でも、シンガポールは先進技術の採用に積極的な地域特性があり、スマートファクトリーなどの先進技術発信にも積極的だとし、東南アジア全域に向けた新たな技術動向発信の場として期待を集めている。

 三菱電機はこのITAPに2018年から参加。反応が良かったことから2019年も参加したという。三菱電機アジアパシフィック ファクトリーオートメーション&インダストリアル部門 ASEAN戦略マーケティンググループ ゼネラルマネジャーの國信総一郎氏は「東南アジアの工場の現状だけを見ると、まだまだスマート工場化が進んでいるとはいえない状況ですが、人件費高騰や人手不足の問題は既にいくつかの国では進んでいます。先進テクノロジーを使ってこうした課題を解決したいというニーズは高まってきています。その中でスマート工場化への関心はここ数年急速に高まっているといえるでしょう」と述べる。

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ITAPの三菱電機ブース(クリックで拡大)

「e-F@ctoryアライアンス」を積極的に展開

 その中で三菱電機が訴えたのが、同社が進める「e-F@ctory」の価値と、パートナーシップによる広がりである。三菱電機の「e-F@ctory」は工場内で現場の情報とICTを結ぶ仕組みで、2003年から展開を開始。製造現場起点の情報を取得して生産性やコストの改善につなげる取り組みを進めてきた。

 ただ、こうした取り組みは1社だけで行うのが難しい。三菱電機では以前から「e-F@ctory」推進のためにソフトウェアパートナー、SIパートナー、機器パートナーを募り、最適なソリューションを実現するパートナープログラム「e-F@ctoryアライアンス」を展開してきたが、地域に応じた取り組みを進めるために各地域での「e-F@ctoryアライアンス」の設立を進めてきた。シンガポールでは2019年初めに「e-F@ctoryアライアンス」を設立し、現地パートナーの拡大と具体的な成功事例の創出への取り組みを開始したという。

 國信氏は「シンガポールの『e-F@ctoryアライアンス』は開始当初で23社のパートナーに参加していただいた。以前から現地企業とのパートナーシップはありましたが、受け皿ができることでより持続的な関係性を築けると考えています。成功事例を早く作り出せるようにしていきます」と語る。

 ITAPの展示も、これらのパートナーとの協力によりブース内出展で多くのパートナーが参加したことに加え、パートナーの製品などを組み合わせることで「ソリューション」の形で出展をしたことが特徴だ。

 「三菱電機への期待として大きいのが早期から『e-F@ctory』を展開し豊富な実績を持つという点です。これらの成果をパートナーと共により容易に現実的な形で導入できるということが大きなポイントになると考えています。パートナーとの協力で課題解決の形で紹介することを意識しました」と國信氏は考えを述べる。

マスカスタマイゼーションを具体化する「e-F@ctory」の価値

 中心となった展示の1つが、「e-F@ctoryアライアンス」を生かした、マスカスタマイゼーションの体験デモである。具体的には、三菱電機の他では、三共製作所、サトー、SICKなどが参加した。

 デモの内容は、オリジナルのストラップ付きタグをその場で注文を受けて作るというものだが、流れは以下の通りだ。

  1. PCで名前を登録し、パネルの色を選ぶ
  2. ロボットが指定された色のパネルを選択してピックアップ
  3. 登録情報を基にサトーのラベルプリンタが名前をRFID付きシールに印刷。コンベヤーで移動してきたロボットがパネルにそのシールを貼る
  4. シールを貼ったパネルを人に渡し、人がストラップを付ける

 いくつかの企業の協力により「マスカスタマイゼーション」をイメージできる仕組みをソリューションとして見せられたことがポイントだ。またこれらの作業は全てログが取られており、稼働監視などにも使える。このデモラインの横には、安全用センサーも設置されており「距離に応じて、ロボットの動作スピードが変わる」という、人との協働もイメージしたものとなっている。

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photophoto (左上)PCでの画面登録を行うと(右上)でロボットがパネルを選び(左下)で登録内容のRFID付きシールをプリント(右下)それを貼ったストラップ付タグを自動で製造する(クリックで拡大)

 サーボモーター「J5」シリーズなど、FA対応製品群の新製品も紹介。同社独自の組み込み型エッジAIである「Maisart」や、「Edgecross」を組み合わせて活用することで、サーボモーターなどの状態監視や予防診断機能を簡単に実現できる魅力などを訴えた。

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Maisartを活用した予防保全のデモの様子。正常時から大きく外れる情報が入った場合の異常を検知しアラートを発報する他、異常前に検知することなども可能(クリックで拡大)

 また、現地企業からは「とにかく簡単に分かりやすくという話が多い」(國信氏)とすることから、FA製品を簡単に使えるようにする機能などを積極的に紹介した。

 その1つがFAアプリケーションパッケージの「iQ Monozukuri」である。これは、FAの典型的な用途に合わせたプログラムや設定などをテンプレート化し、導入の負担を軽減し、導入までの期間を短縮するものだ。「工程リモート監視」「アンドン」「回転機振動診断」「スマート作業ナビゲータ」「工作機械ローディング」「力覚応用」「バリ取り」などさまざまな用途の典型的なシステムやその組み合わせが用意されている。「ハンドリング」や「パッケージング」などの装置ごとで選択することも可能だ。ITAPではこの「iQ Monozukuri」を利用し、簡単な設定でロボットにピアノを弾かせるという展示を行っていた。

 マイクロソフトの「HoloLens」を用いたロボットのメンテナンスおよび設定のトレーニングなどの提案も行った。ウェアラブルコンピュータを活用することで、より直感的にメンテナンスなどが行えるという意義を訴えていた。

映像情報も制御情報も1本で流せる「CC-Link IE TSN」

 さらに今回の三菱電機ブースではパートナーが数多くブース内出展をしたことが特徴だ。ブース内でも特に大きく出展したのがCC-Link協会である。同協会は2018年11月に発表した新たな産業用ネットワーク規格「CC-Link IE TSN」を紹介した。「CC-Link IE TSN」は産業用オープンネットワークでいち早く「TSN(Time Sensitive Networking)」に対応した規格である。

 TSN対応によりタイムスタンプの記録などが容易になる他、時分割方式により複数の通信プロトコルの通信を同一ケーブル上で相互に影響を与えることなく流すことができるようになる。これにより、例えばTCP/IPによる映像データを、制御データの通信ケーブルなどに乗せて送ることができるという。三菱電機ではこの「CC-Link IE TSN」対応FA製品をいち早く投入しシンガポールでも販売を開始している。

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ブース内に「CC-Link IE TSN」の価値を訴求するコーナーも設置。時分割方式などの魅力を訴えた(クリックで拡大)

 「e-F@ctoryアライアンス」のパートナーとしては、サトー、CKDなどの日本企業に加え、CONNY、FA TECH、PANDUIT、westermo、PUMASなどの現地のソリューションベンダーが出展。それぞれの技術力をアピールした。

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photophoto (左上)サトーは、バーコードリーダーの検品作業とe-F@ctoryとの連携を訴えた。(右上)CKDはCC-Link対応の空圧機器群を用意(左下)westermo、PANDUITは制御のコネクターのセキュリティについて提案。スマート工場化での必要性を訴えた。(右下)PUMASは三菱電機製品を組み合わせたスマート化、自動化の提案を行った(クリックで拡大)

 さらに、ブース外で単独出展した企業との連携なども今回はアピールポイントだ。パートナーブース間のスタンプラリーなどを実施し、「e-F@ctoryアライアンス」メンバーで一体となって取り組む様子を訴えた。ITAPには「e-F@ctoryアライアンス」のメンバーとして、Advantech、Advent2 Lab Consultaiton、Akribis Systems、Rittal、HMS、Nanyang Polytechnic、Schaeffler、Singapore Polytechnicなどが出展し、それぞれが「e-F@ctoryアライアンス」メンバーによる連携の価値を訴えていた。

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photophoto (左上)Schaefflerブースでの三菱電機との協業パッケージ製品。スマートセンサーと三菱電機のコントローラーHMIの組み合わせで簡単予防保全が行える(右上)三菱電機が出資し提携を強化しているAkribis(左下)HMSではブースの壁面で「e-F@ctoryアライアンス」をアピール(右下)Singapore Polytechnicも「e-F@ctoryアライアンス」とスタンプラリーを紹介していた(クリックで拡大)

スマートファクトリー化への取り組みを東南アジア全域で拡大

 シンガポールでの「e-F@ctoryアライアンス」はまだ始まったばかりだが、今後に向けては「どれだけ現実的な成果をパートナーと共に作り出していけるかが大きなポイントだ。次の発表の場では『e-F@ctoryアライアンス』をベースとしたユースケースを発表できるようにしていきたい」と國信氏は目標について語る。

 さらに「シンガポールは先進技術への関心が高いことに加え、東南アジア地域への情報発信の拠点としても意味がある。実際、ASEANの民間企業だけでなく各国政府高官の来場も多く、東南アジア地域のスマートファクトリー化への取り組みを後押しする意味でも、シンガポール内でのパートナー拡大を促進していきたい」と現地パートナー企業の拡大について國信氏は述べている。

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e-F@ctoryのデモラインと國信氏(クリックで拡大)

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提供:三菱電機株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2019年12月27日

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