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「見える化」の先へ、IoT+ARで価値を生み出すための賢い選択とは製造業IoT

製造業各社に適したIoTの在り方はそれぞれ。ゆえにどういうIoTの仕組みを作るべきかと、悩む企業は多い。PTCの強力な開発プラットフォームと、電通国際情報サービスの豊富な知見、スケーラビリティの高いクラウド基盤「Microsoft Azure」は、IoTで課題を解決し、将来に向けての進化を支援してくれる。

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 製造業各社は、これまでもさまざまなデータを収集し活用しているが、IoT(モノのインターネット)活用に踏み込むにはより粒度の高いデータが欲しい。そのためには、センサーに代表されるように、機器からデータを集められる仕組みを作る必要がある。集まったデータは、人間の目や頭だけでは処理しきれないので高性能な分析機能も必要になる。それをさらに先に進めるならば、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などを活用して、人間が得る情報の約8〜9割を担う感覚器官といわれる「目」で見えるようにすることもできる。

 実現できれば、効率化やコスト削減だけでなく、ビジネスを広げることもできるはずだが、実際に形にするにはいろいろな障壁がある。まず「見える化」するとしても、次にどこを目指すか。どのようにすれば実現できるのか。将来を見越して、どのような構成にすればよいのか。こういった課題を解決し、価値を生み出す支援をしてくれるのが、PTCジャパンと電通国際情報サービス(以下、ISID)のソリューションだ。

世界的高評価のIoTとARの開発プラットフォーム

 PTCというと、3D CADやPLMなどの製造ITツールの有力ベンダーというイメージを持つ人も多いかもしれない。同社は現在「フィジカル世界とデジタル世界の融合」を掲げ、3D CADなどで作成したデジタルデータと、現実世界とつなぐ手段としての「拡張現実」(AR)、また現実世界で学んだことをさらにデジタルの世界にフィードバックしていく「IoT」において、確固たる実績を上げている。

PTCが掲げる「フィジカル世界とデジタル世界の融合」のイメージ
PTCが掲げる「フィジカル世界とデジタル世界の融合」のイメージ
PTCジャパン イノベーションプラットフォーム事業部 事業部長の辻雅史氏
PTCジャパン イノベーションプラットフォーム事業部 事業部長の辻雅史氏

 実際に、同社のIoTプラットフォーム「ThingWorx」と、AR開発プラットフォーム「Vuforia Studio」を組み合わせたソリューションは、世界的な評価も非常に高い。ThingWorxは、フォレスターやガートナーなどの調査で世界のIoTプラットフォーム市場をけん引するリーダーとして評価されている。ゲーム開発用途などで高い実績を積んできたVuforia Studioも、製造業であればメンテナンスサービスやトレーニングなどの用途を中心に急速に採用が拡大している。

 PTCジャパン イノベーションプラットフォーム事業部 事業部長の辻雅史氏は「ThingWorxとVuforia Studioの組み合わせは、IoTとARによって価値を生み出していくために必要なコンポーネントをワンストップで提供できる数少ないプラットフォームです。製造業ではIoT活用に注目が集まっていますが、製品設計のために作成した3D CADデータを多数持っていることを考えれば、AR活用のハードルも高くない業界といえるでしょう」と語る。

PTCとISIDの提携、IoTを形にして見せられる価値

 「IoT」という言葉が一般的になってきた2015年、製造業におけるIoTソリューションの需要の高まりを見据え、PTCの日本法人であるPTCジャパンと、製造業での豊富な知見とカバレッジを持つISIDはパートナーシップ契約を締結した。「プラットフォームベンダーである当社は、当然その領域については絶対的な自信を持っています。しかし実際にIoTを実現するに当たっては、組み上げる人、価値を提供する人が必要で、ISIDはその領域における豊富な経験と実績があります。ISIDとの提携は、自然な流れだったと思っています」(辻氏)。

ISID エンジニアリングソリューション事業部 戦略技術ユニット 戦略技術2部長の信國治郎氏
ISID エンジニアリングソリューション事業部 戦略技術ユニット 戦略技術2部長の信國治郎氏

 ISID エンジニアリングソリューション事業部 戦略技術ユニット 戦略技術2部長の信國治郎氏も「その当時、世界的にはインダストリー4.0やインダストリアル・インターネットに代表されるIoTを活用した産業革新のうねりが加速していました。日本でも広がることが予測される中、PTCの開発プラットフォームと当社が培ってきた製造業における知見、ソリューションやコンサルティングを組み合わせることで、製造業のIoTの取り組みを支援したいという思いがありました」と述べる。

 「何でもできる」というイメージとともに「IoT」という言葉が先走り、実態を伴っていないケースは多いが、両社のソリューションの大きなポイントは、具体的な姿が描けることだろう。企業が「何か」を求めて「デジタルトランスフォーメーションを起こしたい」と考えたときに、どこに向かっていくのか、何をやるのかは千差万別である。

 ゆえに、IoTの輪郭はぼやけてしまうのだが「両社が協力することで、それをある程度形にすることができるのです。もちろんお客さまの求めるものは多種多様ですから、いきなり完成品を提供できるわけではありません。しかし、お客さまが理解しやすく、欲しいと考えるものに近い形を、前もって準備してお見せできる。非常に価値があることだと思います」と辻氏。信國氏も「われわれは定期的に会合を持ちながら、それぞれが持つ技術や背景を融合させて、各業種向けのテンプレートなども作成しています。IoTで何かしなければならないがどう進めたらよいかと悩まれているお客さまはまだまだ多いと思いますが、私たちがお手伝いして一緒に取り組むことで、いろいろなことを実現できます」と強調する。

ARでIoTデータを視覚化し、設備保守点検を効率化・均一化

 PTCとISIDによるソリューションを採用しているのが重電機器大手の明電舎だ。同社は、保守サービスにおいて、自社クラウドと独自インタフェースを提供することで、設備全体のIoTデータの可視化を推進してきた。しかし、メンテナンスサービスの需要増加と機器への迅速な機能追加に対応していくためにThingWorxとVuforia Studioの採用を決めた。ThingWorxの導入によってインタフェースの標準化と作業の効率化を果たすとともに、集積したIoTデータをARで視覚化し、設備現場における保守サービスの効率化とサービス品質のさらなる向上を目指している。

 具体的な活用領域は3つある。1つ目は、顧客による設備の日常点検で、ThingWorxで集積した設備の運転データの数値解析を行い、設備に対してAR表示することで、顧客側の現場担当者が行う日常点検が容易になる。2つ目の、明電舎による設備の定期点検では、設備を停止し解体点検をする際に、解体・組立や部品交換手順をARのアニメーションで表示することにより、メンテナンスの質の均一化および技術継承が可能になる。そして3つ目は緊急時への対応で、原因が特定できない故障予兆が見られる際は、早期対応のためARコミュニケーションツールである「Vuforia Chalk」を使用し現場の状況を共有する。もちろん、IoTやARを活用したサービスであることは、明電舎の付加価値、優位性にもなる。

 この他にも、機械系企業を中心に、工場の設備や工程系のセンサーデータを集約し、ThingWorx上で稼働状況を見るといった「工場の見える化」や、顧客が販売した製品のリモートモニタリングサービスなどで広く採用されているという。「いろいろな機器を組み合わせることが多いIoTでは、お客さまの状況に応じて、さまざまな組み合わせ方を提案することが求められます。ThingWorxは柔軟性が高いため、多様な要求にも対応することができます」(信國氏)。

「ThingWorx」を用いた工場におけるIoT活用のイメージ
「ThingWorx」を用いた工場におけるIoT活用のイメージ

 工場でのIoT活用については、第1段階とされる見える化から次の段階に進みつつあるという。辻氏は「見える化によって得られた結果を、実際にデジタルトランスフォーメーションにどうつなげるのか。次世代工場をどう作るかなど、IoTに関する発想が徐々に豊かになってきていると思います。また、明電舎様の事例にもあるように、熟練者の知識やデータを目に見えるものとして残す、あるいは遠隔での教育などに使うといった事例も出てきています」と説明する。

「Microsoft Azure」+「ThingWorx」で広さと深さをカバー

 PTCとISIDがIoTやARのソリューション展開を広げていく中で、重要な役割を果たしているのがマイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」だ。

 2018年1月、PTCとマイクロソフトは製造業を含むインダストリアル領域をターゲットとする提携を発表した。今後は、Microsoft Azure上でThingWorxが提供されるとともに、PTCとマイクロソフトの技術を補完的に活用していくこととなった。

 ただし、PTCとマイクロソフトはIoTプラットフォームという市場で競合するという見方もある。PTCは、そんな関係性もあり得るマイクロソフトとなぜ提携を結んだのだろうか。辻氏は「理由は2つあります。1つは、マイクロソフトがパートナービジネスを大事にしている企業であり、単なる一クラウドユーザーとしてではなく、一緒にビジネスを動かしていくための会話ができることです。もう1つは、Microsoft Azureが高い信頼のおけるプラットフォームであることです。セキュリティやスケーラビリティはもちろん、われわれのプラットフォームであるThingWorxをMicrosoft Azureに載せることによって、『Cognitive Services』をはじめさまざまなサービスにもつなげられる。お客さまがIoTを存分に活用するために必要なものが全て用意されていることは、大きなメリットになるはずです」と説明する。

「Microsoft Azure」上で動作する「ThingWorx」のイメージ
「Microsoft Azure」上で動作する「ThingWorx」のイメージ

 ISIDも、ThingWorxとMicrosoft Azureの組み合わせが生み出す価値を高く評価している。「確かにPTCとマイクロソフトが競合することもありますが、両者の組み合わせで、多岐にわたるお客さまの要求に対してより幅広いサポートができるようになります。Microsoft Azureのカバー範囲は広く、非常に高い製品力、技術力を持っています。かたやThingWorxは、製造業に関する多くの知見をベースにソリューション化、テンプレート化しており深みのある対応が可能です。つまり、広さと深さの両面でお客さまの要求に応えられるのです」(信國氏)という。

IoTに適した「Microsoft Azure」のスケーラビリティ

 中でもMicrosoft Azureのスケーラビリティは非常に重要なポイントだ。IoTは、多くの人にとってはまだまだ“えたいの知れないもの”だ。どう使えるか、どうビジネスに貢献できるか、などがはっきり見えない中では、まず小さく始めたいというニーズは高い。例えば、1つの工場からスタートし、それを10工場に広げるとしたら、かなり柔軟性の高いスケーラビリティが必要なのは当然だ。

 また、日本の企業が海外に工場を作るときには、グローバルプラットフォームでなければ対応できない。辻氏は「IoTは常に進化し、成長していくべきものだと思います。お客さまはMicrosoft Azureを使い始めた時点から、縦横に拡張可能なグローバルプラットフォームを手に入れたことになる。そのスケーラビリティは非常に役立っていますし、お客さまからも高い評価をいただいています」と話す。

「Microsoft Azure」により柔軟性の高いスケーラビリティを実現できる
「Microsoft Azure」により柔軟性の高いスケーラビリティを実現できる

 PTCとISIDの連携によるIoTソリューションは、先述した明電舎をはじめさまざまな企業に採用されている。市場自体がIoTへの理解が進んできたこと、またPTCとマイクロソフトの提携もフックに、引き合いは加速度的に増えているという。PTC、ISID、そしてマイクロソフトは、それぞれの強みを生かした協業体制により、製造業のデジタルトランスフォーメーションを強力に支援してくれる。将来に渡って進化させるIoTのために、賢い選択といえそうだ。

 なお、2018年11月13日には、PTCジャパンが国内ユーザー向けの年次イベント「PTC Forum Japan 2018」を東京で開催する。IoTやARを活用し、フィジカルとデジタルの融合によって創出される新たなビジネスモデルや、開発、運用、サービスに関する革新的な製品と最新テクノロジー、そしてISIDやマイクロソフトのソリューションにも触れられる機会となる。参加費は無料なので、ぜひ参加を検討してみてはいかがだろうか。

PTC Forum Japan 2018

日時:2018年11月13日(火) 9:00〜17:55(受付開始8:00)、懇親会18:10〜19:00

場所:ヒルトン東京お台場(新交通ゆりかもめ「台場駅」直結)

申込・詳細https://www.event-site.info/ptcforum-japan2018/

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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2018年11月23日

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