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HMIやリアルタイムOS、モデルベース開発まで、総勢7000人のエンジニアがサポート車載ソフトウェア

IoTやAIをはじめとするテクノロジーの進化は、あらゆる産業にディスラプション(創造的破壊)と呼ばれる変革をもたらそうとしている。そうした中で重要な鍵を握るのが、自社の弱点を補うとともに、強みをさらに伸ばしてくれるパートナーとの協業だ。

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単なる外注や業務委託のレベルを超えて、研究開発やデザインの領域で協業

 現在の製造業は、製品そのものの機能や品質、性能を競い合う時代から、顧客にとって価値あるサービスを提供する“コトづくり”を競い合う時代へと変化している。特にグローバル市場でその傾向が大きく、モノ自体が持つ価値を上回る体験価値を提供しないと、もはや顧客に振り向いてもらえない。そうした“コトづくり”の源泉として、あらためてソフトウェアエンジニアリングの重要性が認識されるようになった。

 中でも自動車業界は、まさにこの時代の変化の最前線に位置する分野だ。世界の自動車メーカーや大手サプライヤーは、IoTやAI(人工知能)、VR(仮想現実)/MR(複合現実)といったテクノロジーをすさまじいスピードでキャッチアップし、コネクティッドカーや自動運転車の開発に膨大なリソースを注ぐ。いち早く実用化に漕ぎつけ、プラットフォーマーとして優位なポジションを獲得したいと血眼になっている。


自動運転技術やADAS(先進運転支援システム)、ホログラフィックといった次世代車技術の開発を積極的に進めている

 当然、わが国の自動車メーカーやサプライヤーもグローバル企業とがっぷり四つに組んだ激しい競争を繰り広げている――と言いたいが、どうもこのところ旗色があまりよくない。周知の通り、わが国は先進諸国の中でも早い時期から少子高齢化が進行し、生産年齢人口は1995年をピークに減少に転じている。一方で優れたエンジニアの争奪戦も業界の垣根を超えて過熱しており、必要な人材の確保はますます厳しくなっている状況だ。


総勢約1万5000人のICTエンジニアを抱えるFPTソフトウェアの日本法人であるFPTジャパン。エンジニアの採用も年々増やしている

 そうした中で日本の製造業が生き残っていく道があるとすれば、それは単なる業務委託や外注のレベルを超え、研究開発やデザインシンキングといった領域でより深い協業が可能な企業とグローバルなパートナーシップを結ぶことである。

 では、そうしたパートナーをどこで見つけられるだろうか。確かに中国やインドの企業も候補となるだろう。しかし、ぜひ目を向けてほしいのがベトナムだ。国民の平均年齢は30歳以下と、ASEAN諸国の中でも若い活力がみなぎるベトナムの、親日的で真面目なエンジニアは日本企業にとって最高のパートナーになると考えられる。

 実際、既に多くの日本企業と深いパートナーシップを築き、活動の場を広げている企業が存在する。ベトナムを代表するICT企業であるFPTコーポレーションだ。

成長を支えるのは、就職前から育てた若いエンジニアたち

 FPTコーポレーションは、ICTをコアビジネスとし、1988年に設立された企業だ。ベトナム全土にサービスを提供する他、計画経済から市場経済への転換を進めるドイモイ(刷新)政策の後押しを受け、現在では世界21か国にビジネスを展開している。その中でも、ソフトウェア開発を事業の中核とする企業がFPTソフトウェアだ。

 まず目を引くのが、同社が擁するエンジニアの層の厚さである。FPTソフトウェア日本法人・FPTジャパンの副社長を務めるグェン・ドック・キン氏はこのように語る。


FPTジャパン 副社長 FPT Global Automotive Directorのグェン・ドック・キン氏

 「FPTソフトウェアには約1万5000人のICTエンジニアが在籍しています。そのうちの約1万2000人がグローバルビジネスに携わり、アジア太平洋、米国、欧州の企業にテクノロジーを提供しています。中でも最大のマーケットが日本で、約7000人のエンジニアが日本市場向けの仕事を担当し、現在、約800人が日本国内でFPTジャパンの活動に従事しています」

 人材を安定して確保する秘訣(ひけつ)はベトナム国内でFPTが展開する教育事業にある。FPTはベトナム国内で小中学校から高校、専門学校、大学まで展開しており、そこで延べ2万5000人の子どもたちや若者が学んでいるという。在学中からOJTやインターンシップの制度を活用して即戦力となるエンジニアを育成。「その中から選抜された4割の人材がFPTに入社しています」とキン氏は語る。

 こうした若い人材と技術力が強みを発揮しているのは、自動車向けを含む組み込みソフトウェアの分野である。従来の車載情報機器に加えて、メータークラスタやHUD(ヘッドアップディスプレイ)といったHMI(ヒューマンマシンインタフェース)の実績を特に増やしている。また、テレマティクスやコネクティビティ、リアルタイムOS(RTOS)、ECUの各種テスト、CAD/CAE、ADAS(先進運転支援システム)まで対応している。加えて、2017年11月末には、Automotive SPICE レベル 3の国際規格認定を取得し、世界標準のオートモーティブソフトウェア開発品質も証明されている。

 「ここまで幅広いテクノロジーをカバーしている企業は、ASEAN地域ではFPTの他にありません。数年間にわたる欧米との取引から、MBSE(モデルベースシステムエンジニアリング)やMBD(モベルベース開発)、あるいは車載ソフトウェアの業界標準AUTOSARのアーキテクチャを利用した製品開発など、日本企業がキャッチアップに悩んでいる分野も得意としています」とキン氏は語る。


FPTが独自で展開する小学校から大学までの一貫した教育事業により人材育成を進め、優秀な人材を安定して増やしている

 FPTジャパン マーケティング部の副部長を務める鈴木健一氏は「ベトナムのエンジニアは向上心が高く、おまけに数学も得意。失敗を恐れず、柔軟な発想で困難なテーマにもチャレンジしたいという意欲を持った人材がそろっています」と語る。さらにFPTジャパン マーケティング部の部長を務めるホー・ヴィェト・ホン氏も、「FPTにはグループ全体で日本語を話せるエンジニアが4000人以上います。日本の大手電機メーカーを含む10年以上に渡る日本企業との長年の取引もあり、日本の企業文化や商習慣は理解しています」と訴求する。

 加えてこの高い技術力を、非常にコスト競争力の高い、リーズナブルなコストで調達できるのも魅力だ。「同等のテクノロジーをシリコンバレーのスタートアップ企業から調達することを考えれば、われわれは3分の1のコストで日本企業のお客さまのオーダーに応えることができます」とキン氏は強調する。

半導体メーカーやTier-1サプライヤーとの共同開発を推進


ベトナム本国では、自動運転車研究開発プロジェクトに積極的に投資している

 現在FPTは、具体的にどんな形のパートナーシップを展開しているのだろうか。海外の車載半導体メーカーA社とは、共同で研究開発を進めている。A社はコアビジネスであるハードウェアに関しては高い競争力を有しているが、ソフトウェア開発はあまり得意ではない。しかし顧客である自動車メーカーが求めるADASや自動運転につながるような先進機能を開発し、提案していくためにはどうしてもソフトウェアの技術力が欠かせない。そこでA社はFPTと手を組んだのである。

 さまざまなセンサーやレーダー、GPS、フロントカメラなどから収集されるビッグデータを処理するソフトウェアをFPTが開発。A社が設計したチップに組み込むことで自動車の最適な制御を行うソリューションを実現した。

 同様の共同開発はTier-1サプライヤーである日系企業B社との間でも進んでおり、FPTが開発した画像処理アルゴリズムや、GPUを活用したディープラーニング技術などを活用することで、自動車部品の高付加価値化を図っているという。

 なお、こうしたFPTの技術や先進ソリューションの数々は、2018年1月17日〜19日にかけて東京ビッグサイトで開催される自動車の先端技術のイベント「オートモーティブワールド2018」で実際に見ることができる。

 自動運転関連のさまざまなテクノロジーをミニチュアカーに実装したデモンストレーションをはじめ、Android Auto上で開発した車載情報機器のアプリケーションなどコネクティッドカー向けの提案、ホログラムディスプレイ技術を活用した車内仮想アシスタント、手軽に開発効率化を図れるCANシミュレーターなどを出展する予定だという。

“ソフトウェア中心のTier-1”を目指して


写真左からFPTジャパンのキン氏、FPTジャパン マーケティング部 部長のホー・ヴィェト・ホン氏、FPTジャパン マーケティング部 副部長の鈴木健一氏

 FPTは、自動車の付加価値がソフトウェアで決まる時代となる中で「ソフトウェア中心のTier-1」を目指す。もちろん既存のTier-1サプライヤーに対しても競合関係となるわけではない。むしろ積極的に協業していくための投資と体制づくりを行っている。また半導体メーカーとの間では、先述の事例でも紹介したようにハードウェアとソフトウェアの双方の得意分野を融合したソリューションを共同で開発し、自動車メーカーやTier-1サプライヤーに提案、提供していく。

 現在のグローバル市場で流通する製品は、ハードウェアとソフトウェアの融合によって加速度的な勢いで高機能化を進めている。これに伴い、特定の企業が単独で提供する製品やサービスが価値を発揮するのではなく、多くのステークホルダーが参画するエコシステムやプラットフォームを活用した製品開発やサービス提供でより大きな付加価値を生み出していくケースが増えている。

 製造業は今後、ビジネスの柱をどこに置き、差別化を図っていくべきかが厳しく問われることになる。伸び盛りの若いエンジニアを多数抱えるFPTとの協業は、技術者不足の日系企業にとって競争力を高める“次の一手”となりそうだ。

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提供:FPTジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2018年2月8日

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