軽量化から他社CAD連携まで――設計者の悩みをズバリ解決する「Autodesk Inventor 2017」:DMS 2016特別企画 オートデスク・ブースレポート
“The Future of Making Things 〜ものづくりの未来〜”をメインテーマに掲げ、「第27回 設計・製造ソリューション展(DMS 2016)」に出展したオートデスク。競争力のある優れた製品開発を支援する「Autodesk Inventor 2017」の注目機能や“現場の生の声”を伝えるユーザー事例、そして、未来のものづくりの在り方をブース内メインステージで広く訴求。多くの来場者が足を止め、真剣なまなざしを送っていた。
製造業向けITソリューションの祭典「第27回 設計・製造ソリューション展(DMS 2016)」(会期:2016年6月22〜24日)が開催された。製造業を中心に多くの来場者が詰め掛ける展示会として知られているが、今回は初日から大勢の来場者でごった返し、例年以上の盛り上がりを見せていた。
“The Future of Making Things 〜ものづくりの未来〜”をテーマに掲げるオートデスクは、ブース内メインステージでのセッションを中心に、新しいものづくりのプロセスや最新3次元ツールの注目機能、そして“現場の生の声”を伝えるユーザー事例などを披露。さらに、パートナー各社の展示コーナーでは、設計者の課題を解決するオートデスクの多彩なソリューションを広く訴求し、多くの来場者の注目を集めていた。
優れた製品開発を実現する「Autodesk Inventor 2017」の注目機能
特に来場者が強い関心を示していたのが、2016年4月に発表されたばかりの製造業向け3次元CADツール「Autodesk Inventor 2017」だ。メインステージでは、設計者が直面する課題を解決するのに役立つInventor 2017の注目機能を、軽快なトークとともに紹介した。以降でその中身を見ていこう。
ソフトウェアが最適形状を提案する「シェイプジェネレーター」機能が強化
まずは、ジェネレーティブデザインに関する機能「シェイプジェネレーター」の強化だ。ジェネレーティブデザインは“新しいものづくりのプロセス”を象徴するもので、設計者の代わりにツールが最適形状を導き出してくれるテクノロジーだ。シェイプジェネレーターは、ベース形状と各種条件を基に不要な部分を抜いて軽量化していき、最適形状に置き換える機能である。例えば、強度を維持したまま軽量化を追求したいといった難しい設計要求に応えてくれる。Inventor 2017のシェイプジェネレーターでは、「拘束条件の表示」「インタラクティブコントロール」「サイズ条件設定」「重量と縮小率の質量ターゲット」「対称面の設定」といった機能が追加され、より実用的なものになった。また、最適化後のポリゴンメッシュモデルを変更前のモデルに組み込んで表示できるようにしたことで、従来の3Dプリンターだけでなく、切削加工でもジェネレーティブデザインの恩恵を受けられるようになった。
「AutoCAD」のDWG図面との連携強化
さらにInventor 2017では、さまざまなCADデータがやりとりされる設計現場での相互運用性の向上を目的に、DWGファイルとの連携も強化。新たにISOベースの中間フォーマットであるSTEPファイルにも対応した。このDWG図面との連携機能では、「AutoCAD」で設計した2次元図面をそのままInventor 2017上の3次元空間に配置でき、“下敷き”のようにしてから3次元モデル化が行える。その際、下敷きとして利用したAutoCAD側の2次元図面が修正された場合、その変更が瞬時にInventor 2017側の3次元モデルにも反映される。そのため、構想設計をAutoCADで進めて、Inventor 2017でその図面と3次元を連動させて詳細設計を行うといった使い方も可能となる。図面の二重管理による修正ズレなどの問題を大幅に軽減できるだろう。
社外/他部署との共同設計がスムーズに
相互運用性の向上という点では、Inventor 2017には他社CADデータを“参照”しながら取り込める「AnyCAD」テクノロジーが搭載されている。この機能を使うと、他社CADデータをそのままInventor 2017のアセンブリ/パーツとして扱えるようになり、さらにオリジナルの他社CADデータに変更があった場合、Inventor 2017側にもその更新が即時反映される。設計現場では、取引先だけでなく、社内の別部署であっても異なる3次元CADを使用しているケースがある。これまでは受け取ったCADデータを都度変換して利用していたため、設計の最中に最新データが送られてきて全てやり直し……というケースもあった。しかし、AnyCADテクノロジーであれば、新しいCADデータが届いたら上書きして更新をかけるだけで、新しい設計内容がInventor上の3次元モデルに反映される。これであれば社外や他部署との共同設計の効率化が大いに期待できそうだ。
図3 「AnyCAD」テクノロジー。他社CADデータを“参照”で取り込むことで、元のCADデータが最新のものに置き換わっても上書きして更新するだけで、瞬時に変更内容を3次元モデルに反映できる(出典:オートデスク)
その他、ステージでは2次元/3次元を融合させたレイアウト設計の手法や、有機的形状を用いた意匠設計から部品設計までシームレスに落とし込めるInventor 2017の特長的な機能などが紹介された。
社員教育から実務まで、3次元CAD導入が生み出す効果
さらに、ブース内ステージでは日替わりでユーザートークショーが行われた。初日に登場したのは、大型船舶用の原動機や産業用機械の設計を手掛けるMHPSエンジニアリング 長崎事業部の浜口貴範氏だ。MHPSエンジニアリングでは、2次元設計の大半をAutoCADで行っていたことから、AutoCADとの連携を重視してInventorを導入。社員向けの導入教育では、まずメンバー一人一人の技量を把握するため、成果物の確認と面談により「力量マップ」を作成し、メンバー全体/個人の弱点、2次元図面の認識度を可視化した。その上で3次元CADの導入教育を1年間にわたって実施したところ、3次元だけでなく2次元の技量もアップしたという。
続いて浜口氏は実務の事例として、静解析を含めたフロントローディングについて紹介。まず、顧客から送られてきたAutoCADによる2次元の構想図データを、Inventorの3次元空間にコピー&ペーストして、そこから3次元モデルを生成し、さらに静解析の実施と提出用レポート作成までをInventorの機能を使って行った。この取り組みの結果、詳細設計までの期間が大幅に短縮され、顧客から高い評価を得たという。
メインステージでは、以上のような“今まさに役立つ情報” “ユーザーの生の声”だけでなく、“未来のものづくり”についても語られた。1日1回のスペシャルセッションでは、製品開発ライフサイクルのエコシステムを1つのテクノロジーでつなぎ、アジャイル開発を可能にする「プロダクトイノベーションプラットフォーム」の考えや、既存のものづくりの概念を打ち壊すような革新的な研究事例(Autodesk Researchの成果)の数々が紹介された。
設計者が“今”直面している課題をテクノロジーで解決し、技術革新により急速に変化するものづくりの“未来”の在り方を的確に予測して、次なるビジョンを指し示すオートデスク。決して絵空事ではない彼らのメッセージがふんだんに盛り込まれたメインステージのセッションに、多くの来場者が足を止め真剣なまなざしを送っていた。
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提供:オートデスク株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2016年9月9日