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CEATEC初の学生向け「次世代技術者ガイドツアー」企業が求める技術者像は?

CEATEC JAPAN 2015の最終日、次世代を担う学生を対象とした出展企業の仕事研究ツアー「次世代技術者ガイドツアー」(協力:フォーラムエンジニアリング)が行われた。CEATECでは、技術者向けのガイドツアーが恒例となっていたが、学生向けは初めての試み。定員を超える学生が参加し、最先端のテクノロジーを間近に見ながら各企業の文化や考えに触れ、若手技術者から開発の苦労話や仕事のやりがいを聞くなど、充実した仕事研究ツアーとなった。

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 CEATEC JAPANでは初の試みとなる学生向けの「次世代技術者ガイドツアー」がフォーラムエンジニアリングの協力のもと行われた。午前/午後の2回構成で、午前はレイトロン、本田技研工業、京セラ、TDK、村田製作所、KOAの計6社、午後はテスコム、オムロン、ユカイ工学、本田技研工業、楽天技術研究所、フジクラ、村田製作所の計7社のブースを訪問した。各社ともツアーのためにスペースを確保してくれるVIP待遇で、最先端の技術、求める技術者像などが紹介され、参加した学生たちは大満足。ツアーで訪問した、いくつかの企業について紹介する。

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CEATEC JAPANでは初の試みとなる学生向け「次世代技術者ガイドツアー」

「ワイガヤ」から新たなアイデアが生まれる

 本田技研工業は自動車の印象が強いが、そもそもはエンジンメーカー。バイク、発電機、クルマという歴史を歩んできた同社がCEATECで提案したのが、燃料電池車「Honda FCV CONCEPT」やPower Exporter 9000、水素ステーションなど"エンジンのない"「水素社会」を体現する製品群だ。

 常に新しい提案をし続ける同社では、派遣社員も多く活用しており、その業務内容はプロパー社員と何ら変わりはないという。「大部屋制」という職場のスタイルで、フロアー内をさえぎる壁がなく、役職者も、専門職も、協力会社の社員も、派遣社員も、ワイワイガヤガヤと一緒にアイデアを出し合う。同社ではこれを「ワイガヤ」と呼んでいるそうだが、こういう環境の中で、能ある鷹はどんどん爪を出し、切磋琢磨しながら、新しいものが生まれてくるという。

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 学生たちにブースを紹介してくれた同社四輪事業本部 事業企画統括部の前田直洋氏は、座ったまま体を傾けるだけで自由に移動できるUNI-CUBに乗って登場。「技術を作る側が、例えば水素をどう作るか、それを活用するどんな装置を作るかなどを考え、使う側は、どんな場面でどのような課題が解決できるかを考える。壁を超えて一緒に考えることによって、新たな社会を作っていくことができると実感している」と語り、次世代の技術者に向けて「これからの世の中には、異業界、異業種ともどんどん連携して、新しい価値を生み出すような、頭の柔らかさが必要。既成概念の枠にとらわれず、リーチングアウトして、新しい価値創造に向かって活躍してほしいし、そういう心意気を持っている人たちを望んでいる」とエールを送った。

部品が消費者に提供できる価値を考える

 村田製作所は、電子部品メーカー。スマートフォンに代表されるように、薄く小さくするために不可欠な電子部品を数多く開発、提供している。同社が最近発表したスマートグラスのコンセプトモデルは、めがね産地として有名な福井県鯖江市と共同開発したもの。ARディスプレイと世界最小の回転・プッシュの複合スイッチで家電を操作することができる。学生も操作を体験し、クルマの運転アシストへの可能性を質問するなど、今後の活用にも興味を持ったようだった。

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 部品メーカーである同社が最終製品を提案することについて、同社広報室 企業企画課の吉川京作氏は「単に部品を供給するだけでなく、その部品が消費者にどういう価値を提供できるかを考えなければいけない時代」と説明。また同社が求める技術者像について「売上の約9割は海外市場なので、海外での活躍の場もある。小さな電子部品から最終的な価値創造までアイデアを提案できる人、自ら新しい課題に対して挑戦する姿勢を持った人を求めている」と語った。

社会の課題を解決することが全ての拠り所

 FA制御機器、電子部品、自動車、社会ソリューション、ヘルスケアの5事業を展開するオムロン。「卓球ロボット」に象徴されるように、機械と人との「融合」を実現する要素技術である予測精度の向上を始め、FAに重要なモーション技術の最先端例や、道路インフラと車載の両方のセンサーによる「ぶつからないクルマ社会」に向けた取り組みなどの紹介を受けた。

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 これらを含め同社の全ての事業は、創業者である立石一真氏が1959年に制定した社憲「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」に基づいている。今回紹介してくれた同社コーポレートコミュニケーション部 オンサイトコミュニケーショングループの吉田一彦氏が、求める人物像として真っ先に挙げたのも「この当社の精神に共感できるかどうか」ということだった。

 加えて「自ら課題を見つけて、チャレンジして、乗り越えていくこと。それができなければグローバルで戦えないし、企業として存在していく意味がない。そういう強い志を持っている人を求めている」と説明。学生からの「オムロンは大企業でありながら、ベンチャー的なイメージ。社員の立場で自社をどう感じているか」との質問には「『大企業病』という言葉を作ったのはオムロンの創業者。そこから脱却した当社では、多様性を認め、志があり準備ができているものには、平等にチャンスが与えられる」と答えた。

チャレンジ、発想、価値創造

 その他のツアー先企業でも、技術的に深い質問も出るなど、熱心な学生たち。最先端のテクノロジーを間近に見ながら、企業の文化や思いに触れ、若手技術者から開発の苦労話や仕事のやりがいを聞ける場面もあり、充実した仕事研究ツアーとなった。

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 ツアーを通じて各社が求める技術者の姿として多く聞かれたのは、「チャレンジ」「枠にとらわれない発想」「新たな価値の創造」という言葉。おそらく、参加した学生たちにも強い印象を残したに違いない。ハードとソフトの距離が徐々になくなり、異業種が連携し、機械と人が融合していくこれからの技術開発の世界。次世代を担う学生たちは、分野の枠も、自分自身の枠も超えて、道を切り開いていける場所に立っている。人や社会の役に立つものを自分で作るという技術者のだいご味を楽しみながら、存分に活躍してくれることに期待したい。

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提供:株式会社フォーラムエンジニアリング
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2015年12月10日

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