PC更新に伴う「再検証」を軽減、業務専用端末を支える「ロングライフPC」:業務専用端末に「ロングライフPC」という選択肢
製造装置や医療機器、販売時点情報管理(POS)といった業務専用端末では、PCの仕様やOSが変わるたびに、アプリや周辺機器の再検証、移行作業、在庫の確保を迫られる。こうした課題に対し、日本HPが提案するのが、OSの機能を最長10年間固定でき、長期供給を前提とする「ロングライフPC」だ。堅牢(けんろう)性やセキュリティに加え、対応モデルではエッジAI(人工知能)も利用できる。同製品の特徴と強みを紹介する。
オフィスでの事務作業や情報処理をデジタル機器で自動化/効率化するOA用途に使われる汎用(はんよう)PCに求められるのは、利用者の生産性向上だ。そのため、OSへの機能追加やUIの更新が継続的に行われる。例えばWindows 11では、原則として年1回、機能更新が実施される。
これに対し、製造装置や医療機器、販売時点情報管理(POS)など、用途が固定された業務専用端末に求められるのは、特定の業務を長期間、安定して実行できることだ。日本HP エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 リテール&インダストリソリューション営業部 プロダクトスペシャリストの竹下雅洋氏は「アプリや接続機器を含め、一度安定した構成を確立した後は、ソフトウェアの改修や周辺機器の検証を最小限に抑え、同じ構成をできるだけ長く使い続けたいというニーズをよく耳にします」と説明する。
しかし、OSの機能更新が発生すれば、それに伴ってアプリや周辺機器の再検証、ソフトウェアの改修、移行作業も繰り返し発生する。安定した構成を長く使い続けたいという現場のニーズと、継続的な更新を前提とする一般的なPCの仕組みは、かみ合いにくい。
機能固定と長期供給を両立する「ロングライフPC」
こうした業務専用端末の課題に対し、日本HPは「ロングライフPC」を展開している。頻繁な更新を前提とする汎用PCは、専用用途では扱いにくい。一方、産業用PCは堅牢性に優れるものの、価格が高く、調達にも時間がかかる。ロングライフPCは、その中間に位置する。
ロングライフPCは、OSの機能構成を長期間固定し、長期供給と保守によって安定稼働を支える。同一製品を最長5年間販売するほか、現行機と次世代機を並行して販売するオーバーラップ期間も設けている。これにより、汎用PCに近い調達のしやすさを備えながら、長期間にわたって使い続けられる。その具体的な製品シリーズが「HP Engageシリーズ」だ。
日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 RISカテゴリ・マネージャーの浦野敏明氏は「ロングライフPCは、一般的なPCとは一段違う価値を備えながら、産業用の専用機に比べて価格を抑えられます。両者の中間に位置する“ちょうどいい”選択肢へのニーズは高いと考えています」と述べる。
HP Engageシリーズは、業務専用端末向けOS「Windows 11 IoT Enterprise LTSC」を搭載し、OSの機能を最長10年間固定できる。一般的なPCのような年次の機能更新が行われないため、一度検証したアプリや周辺機器との組み合わせを維持しやすい。機能更新によって安定した構成が変わるリスクを避け、再検証やソフトウェアの改修、更新管理にかかる工数を最小限に抑えられる。
その効果が分かりやすいのが、動作検証に約2年を要する医療機器のコントローラーだ。一般的なPCを採用すると、検証中に製品が切り替わることがあるため、必要な台数を在庫として確保しながら、次世代機の検証にも着手しなければならない。このサイクルを繰り返せば、検証作業の負担だけでなく、余剰在庫を抱えるリスクも膨らむ。
これに対し、ロングライフPCなら、2年間の検証を終えた後も、販売期間中は必要な台数を通常の調達で確保しやすい。さらに、オーバーラップ期間を活用して次世代機の検証を前倒しで始められるため、移行に必要な在庫量を見極めやすくなり、PCの切り替えに伴う突発的な作業や調達の不確実性も抑えられる。
竹下氏は「ロングライフPCは、販売パートナー、機器に組み込むメーカー、実際に使用する現場のそれぞれにメリットがあります。販売パートナーにとっては、5年間にわたって継続的に販売でき、お客さまとの関係も長期化します。機器に組み込むメーカーにとっては、同じ構成のPCを安定して調達でき、検証や移行の負担を抑えられます。そして実際に使用する現場では、一度作り込んだ構成を変えず、長く安定して使い続けられます」と強調する。
幅広いラインアップとエッジAI対応で、多様な現場ニーズに応える
HP Engageシリーズは、用途や設置環境に応じて選べる幅広いフォームファクターをそろえている。ラインアップは、装置への組み込みに適したモジュラー型、持ち運びが必要な業務に対応するモバイル型、ディスプレイと本体を一体化したAll-in-One型、受付やセルフサービスに適したキオスク型で構成される。
ニーズが高まるエッジAI(人工知能)への対応に関して、HP Engageシリーズの中に、処理内容や設置環境に応じてGPUやAIアクセラレーターを組み合わせられる製品がある。推論処理を現場で実行したい場合には、Hailo製プロセッサを搭載した「HP AIアクセラレーター M.2カード」を用意している。PCのM.2スロットに増設でき、画像認識などのAI処理を省スペースかつ低消費電力で実行可能だ。専用メモリを内蔵しているためPC本体への負荷も抑えられ、リアルタイム性が求められる処理にも適している。
NVIDIA製GPUと併用し、高度なAI演算と電力効率に優れた推論処理を両立できる。商品認識や不審行動検知などの画像解析をクラウドを介さずエッジ側でリアルタイムに実行できるため、通信遅延の低減やプライバシー保護にも寄与する。省スペースかつ低消費電力で実装できるため、設置スペースや電源容量に制約のある現場でも、必要な処理性能に応じてエッジAIの導入が行える。
長期供給と拡張性・堅牢性が支える安定運用
ロングライフPCの長期安定供給を支えているのが、製品企画、調達部門、サプライヤーが連携する供給体制だ。竹下氏は「製品を企画する専任のスタッフが調達部門やサプライヤーと協力し、長期供給を見込める部品を選んでロードマップを組んでいます。半導体やメモリの供給が急に絞られる局面でも、いち早く状況を把握し、どうすればお客さまのシステム向けの供給を継続できるかを協議しています」と話す。
保守面では、日本HPの法人向けPCは、販売終了後5年間にわたって保守部材を確保する方針を採る。HP Engageシリーズは製品の販売期間が長いため、販売開始時に導入した場合、販売期間と販売終了後の保守期間を合わせて、最長10年間の保守を受けられる。5年分の保守部材を確実に調達できるよう、契約も含めてサプライヤーとの関係を築いているという。
拡張性も、多様な装置や周辺機器と組み合わせる業務専用端末には重要だ。一般的なPCではシリアルポートが1つ程度に限られることも多いが、HP Engageシリーズは、複数のLANポートやレガシーなインタフェースを含む豊富な接続ポートを備える。既存の設備や接続機器を生かしながら端末を更新できるため、現場の仕組み全体を作り直す負担も抑えられる。
筐体は、HP独自の品質基準に基づいて設計され、MIL規格に基づく試験も実施されている。さらに、機種によっては「リテール強化設計」と呼ばれる基準に基づき、耐久性の高い回転部品や電解コンデンサーを採用している。エアフローを最適化することで、吸気温度40℃の環境に対応する機種もある。ファンレス構成やIP54の防塵(じん)/防滴性能を備えた製品、専用ケースの装着によってIP65に対応する製品もあり、水回りや建築現場、半屋外など、オフィスとは異なる環境での安定運用を支える。
「HP Wolf Security」と遠隔管理で業務専用端末を守る
無人で稼働することも多い業務専用端末では、OS上の対策だけでなく、PCの基盤となる領域まで含めたセキュリティが重要になる。日本HPのPCに標準搭載される「HP Wolf Security」に含まれる「HP Sure Start」は、BIOSの改ざんを監視し、異常を検知した場合には正常な状態への復旧を図る。
浦野氏は「BIOSはPCの最も基盤となる部分であり、そこを乗っ取られると、OS上でどれだけ対策しても端末全体を制御される恐れがあります。OSより下層まで守れるのは、ハードウェアベンダーだからこそです。こうした機能が標準で搭載されていることは、大きな安心につながります」と強調する。
端末単体の防御に加え、分散した拠点や無人端末を1カ所から管理する「HP Workforce Experience Platform(WXP)」も用意する。PCのエラーや部品の使用状況を収集し、HPが蓄積してきたデータを基にAIで解析することで、故障の予兆や部品交換時期の目安を示す。故障してから修理するのではなく、突然の停止を避けながら計画的に保守できる点が特徴だ。WXPは他社製PCも管理できるが、HP製PCでは、部品の耐用年数などを踏まえた、より詳細な情報を把握できるという。
竹下氏は「当社は今後、HP Engageシリーズなどに『HP RSC(リモートシステムコントローラー)』の機能を追加する予定です。HP RSCはBIOSと連動して、リモートキーボードとして機能します。こういったソリューションにより、さらに業務用専用端末の一元管理を効率化していきます」と明かした。
医療/製造から金融まで、広がるロングライフPCの活用
日本HPのロングライフPCは、医療機器や製造装置への組み込み、監視機器の制御など、国内外の幅広い用途で採用されている。国内で特に多いのが医療機器のコントローラーで、血液などの検体を扱う理化学機器にも組み込まれている。
製造分野では、製造装置やテスト機器のコントローラー、プロセス監視用端末、物流部門のピッキング端末、監視カメラの制御端末などに活用されている。金融機関ではお客様の対応を行う窓口端末のほか、バックオフィスで業務フロー管理を行う端末にも採用されている。このほかにも、社員食堂や売店の決済端末、勤怠管理端末など、現場ごとに多様な使われ方をしている。
浦野氏は「当初はPOS向けに投入した製品でしたが、製造や医療への組み込みなど、私たちが想定していなかった用途にも、お客さまの活用を通じて広がってきました。一方で、ロングライフPCをまだ知らないお客さまも多くいらっしゃいます。より多くの方に知っていただき、活用の裾野を広げていきたいと考えています」と語る。
製品ラインアップを強化し、より多くの現場の課題に応える
日本HPは今後、ファンレス構成なども視野に入れ、製品ラインアップの強化を計画している。竹下氏は「開発部門のトップも日本のものづくりや品質管理を高く評価し、その知見を製品開発に生かしています。今後も、汎用PCでは対応しにくい細かなニーズに応えていきたいです」と語る。
PCの世代交代やOSの機能更新によって、業務専用端末の安定した構成が揺らぐことは、現場にとって大きな負担となる。日本HPのロングライフPCは、OSの機能固定や長期供給などを通じて、こうした課題に応える。頻繁な更新に現場を合わせるのではなく、現場の時間軸にPCを合わせる。業務専用端末の更新負担を抑え、長期安定運用を実現したい企業にとって、日本HPのロングライフPCは有力な選択肢となるだろう。
日本HP エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 リテール&インダストリソリューション営業部 プロダクトスペシャリストの竹下雅洋氏(左)と日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 RISカテゴリ・マネージャーの浦野敏明氏(右)
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提供:株式会社 日本HP
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2026年10月10日





