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3Dプリンターがなくても活用のコツとノウハウを無料で習得できる新サービス始動「3D-FABs」とは?

オリックス・レンテックが新たに提供を開始した3Dプリントの造形シミュレーションサービス「3D-FABs」はAI機能を搭載し、手持ちの3D CADデータを基に造形の可否判定から概算費用の試算までを一気通貫かつ無料で行える。同サービスの利用メリットについて担当者に話を聞いた。

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 近年、モノづくりの現場では3Dプリンターの活用が進みつつある。金型不要で複雑な形状を造形できるため、試作の効率化やコスト削減、開発期間の短縮などの利点が得られる。使用可能な材料も樹脂だけでなくカーボン複合材や金属まで幅広く、治具製作や最終製品に使用する部品の製造などにも利用されている。

 ただ、産業用3Dプリンターともなると装置価格が1台数千万〜1億円強と高額なものが多いため、いきなり自社で3Dプリンターを導入せず、まずは外部の受託造形サービスから利用し始めるという現場も多い。その際に注意しなければならないのが、3D CADデータさえ渡せば問題なく期待通りの造形物が納品されるという思い込みだ。そうした傾向は特に、3Dプリンターを初めて利用するという現場で多く見られる。

 この点について、オリックス・レンテック 事業戦略本部 事業開発部 3Dプリンター事業推進チームリーダーの袴田友昭氏は「3Dプリンターを活用する上では、材料を含む3Dプリンターの特性を理解している必要があります。そこが不十分だと、外部の委託業者とのやりとりが何度も発生してしまい3Dプリンター活用の利点を最大限に引き出せません」と指摘する。

本格活用の近道は3Dプリンターの特性を理解することだが……

オリックス・レンテック 事業戦略本部 事業開発部 3Dプリンター事業推進チームリーダーの袴田友昭氏
オリックス・レンテック 事業戦略本部 事業開発部 3Dプリンター事業推進チームリーダーの袴田友昭氏

 では、3Dプリンターの特性とは具体的にどのようなものか。まず挙げられるのが、3Dプリンターにはさまざまな造形方式があり、使用できる材料も異なるという点だ。「3Dプリンターは造形方式ごとに得手不得手があり、適切な装置と材料を組み合わせて利用する必要があります」(袴田氏)

 さらに、従来の切削加工や射出成形などで製造していた部品形状のままでは造形できない、あるいは3Dプリンターの特性を生かし切れないケースがあり、「DfAM(Design for Additive Manufacturing)」と呼ばれる3Dプリントを前提とした設計に変更する必要がある。

 他にも、中空構造など、オーバーハング部分において3Dプリンターで造形するには、サポート材が必要となるが、その際に精度や品質、後処理の手間、コストなどを加味して適切な造形姿勢を検討、設定しなければならない。

 以上のような特性を理解することが3Dプリンターの本格活用の近道だが、自社で3Dプリンターを保有していない段階でこれらを習得するのは困難だ。言い換えれば、それが3Dプリンターの普及や活用を阻害する要因になっている。

 こうした現状を踏まえ、オリックス・レンテックが2023年5月23日にリリースしたのが3Dプリントの造形シミュレーションサービス「3D-FABs」だ。

3Dプリントの造形シミュレーションサービス「3D-FABs」のトップページ
3Dプリントの造形シミュレーションサービス「3D-FABs」のトップページ[クリックで拡大]

 「3Dプリンターの活用は世界的に進んでいますが、欧米や中国と比べると日本の3Dプリンター活用は残念ながら遅れています。当社は、3Dプリンターを保有していない企業でも、手持ちの3D CADデータだけで実践的なシミュレーションを通じて3Dプリントに必要なノウハウを習得できる3D-FABsを広く活用していただくことで日本の3Dプリンター活用の底上げ、活性化に貢献したいと考えています」(袴田氏)

3Dプリントのコツやノウハウを学べる「3D-FABs」の特長

 3D-FABsは、3Dプリントのシミュレーションと価格試算が可能なWebサービスだ。造形したい3D CADデータをユーザー自身が3D-FABsのWebサイトにアップロードし、使用する3Dプリンターや材料、希望納期などを入力すると概算費用を即座に確認できる。24時間365日、オンラインでいつでもシミュレーション可能な他、作成したデータはWebサイトに保管され、その後の検証作業なども効率的に進められる。アカウント登録すれば、全ての機能を誰でも無料で利用可能だ。

 3D-FABsは次に挙げる3つの側面から3Dプリントのコツやノウハウの習得を支援する。

 1つ目は「造形シミュレーション」だ。手持ちの3D CADデータをアップロードして3Dプリンターと材料を選び、後加工を選択するだけで、AI(人工知能)が造形に関するレコメンドや可否判定をする。納得がいくまで何度でも造形姿勢をシミュレーションできるため、さまざまなパターンのトライ&エラーを繰り返すことで装置や材料ごとに異なる3Dプリンターの特性を学べる。袴田氏は「AIによって形状を認識し、サポートガイドやアラートを出せるというのが一番の肝です。Webブラウザで3D CADデータを認識して造形姿勢を決められ、さらにサポートガイドやアラートまで出せるという一連の機能を無料で利用できるというのは非常に画期的と言えます」と強調する。

造形姿勢の編集(サポート材の確認)画面
造形姿勢の編集(サポート材の確認)画面[クリックで拡大]

 2つ目は「自動試算システム」だ。造形シミュレーションで造形姿勢が決まったら、納期やオプションを指定するとコストが即座に試算される。こちらも何度も試算できるため、形状や造形姿勢のわずかな違い、後処理の有無がコストにどう影響するのかをシミュレーションを繰り返すことで確認できる。部品単体だけでなく、複数まとめた造形コストを試算することも可能だ。

 3つ目は「学べるサイト」だ。3D-FABsが提供する造形シミュレーションや自動試算システムなどの利用を通じて3Dプリントのコツやノウハウを効率的に習得できるように、随所にキーワードの補足説明や解説コンテンツが組み込まれている。「3D-FABsを活用して造形シミュレーションや試算を繰り返すことで、3Dプリンターを保有していなくても3Dプリントに関する知識を学び、経験を積むことができます。そこが学べるサイトであるゆえんです」(袴田氏)

オリックス・レンテック 事業戦略本部 事業開発部 3Dプリンター事業推進チーム 主任の渡邊正和氏
オリックス・レンテック 事業戦略本部 事業開発部 3Dプリンター事業推進チーム 主任の渡邊正和氏

 オリックス・レンテック 事業戦略本部 事業開発部 3Dプリンター事業推進チーム 主任の渡邊正和氏は「3D-FABsの実現には当社がこれまで培ってきた3Dプリンター事業の知見やノウハウが存分に生かされています。樹脂から金属までさまざまなメーカーの装置特性をフラットな立場で熟知しているからこそ実現できたサービスだと自負しています。3Dプリンター活用の裾野を広げるためには、装置の特性をメーカーごとにブラックボックス化するのではなく、それらをオープンにしてデジタルで共有することが重要です」と述べる。

「3D-FABs」は“3ステップ”で簡単かつ無料で利用可能!

 3D-FABsは、3ステップで誰でも簡単に利用できる。最初のステップとして、氏名、法人名、電子メールアドレス、電話番号などを入力し、アカウント登録(無料)する。アカウントは共有可能なので、共通のグループアドレスで登録して1つのアカウントを開発部門全体で使い回すこともできる。もちろん、開発者がそれぞれ個別のアカウントを持つことも可能だ。

 アカウント登録/ログインしたら、型番仕様作成を行う。手持ちの3D CADデータをアップロードして材料や3Dプリンターを選択し、単価を試算する。「ファイルをドラッグ&ドロップするだけで、非常に簡単に3D CADデータをアップロードできます。ファイル形式はSTL、STEPと業界標準のフォーマットをサポートしています」(渡邊氏)。造形シミュレーション上で造形姿勢を変更するとサポート材が付く位置と量を調整できる。造形姿勢を確定すると部品として型番が発行され、データベースに保存される。

 最後に、登録済みの型番を選択して数量を指定すると試算表が作成される。オプション設定も充実しており、応力除去やショットピーニング、タップ加工などを必要に応じて付加できる。材料比較も容易な上に特急納期などの選択もこの段階でできる。複数の型番を同時に選択して、3Dプリンターの造形エリアに1バッチで何個まで乗せられるかを視覚的に確認できる。

試算仕様の設定画面
試算仕様の設定画面[クリックで拡大]

 試算表を確定させて「正式見積もり依頼」を選択すると、オリックス・レンテックから正式な見積もりがメール送付もしくは郵送され、内容に問題がなければ担当者に連絡の上、造形を発注できる。造形、後処理、出荷に関してもオリックス・レンテックが責任を持って対応し、納品物はセキュリティ便(送料無料)で送付される。

実際に金属3Dプリンターで造形したサンプル部品の例
実際に金属3Dプリンターで造形したサンプル部品の例[クリックで拡大]

 「3D-FABsはシンプルで使いやすいサービスになっていますが、分からないことや確認事項などがあればチャットボックスでいつでもお問い合わせいただけます。こちらはチャットbotではなく有人サポートになっており、標準メニュー以外の後加工や塗装の相談なども可能です。当社は情報セキュリティマネジメントシステムに関する国際規格『ISO 27001』を取得しており、データの機密性を確保しています。アップロードした3D CADデータも2週間で自動消去する仕様になっているので安心してご利用いただけます」(袴田氏)



 これだけの機能を誰でも無料で使え、今後のモノづくりに欠かせない3Dプリンター活用のコツやノウハウを習得できる3D-FABsは、3Dプリンターの普及や活用促進に加え、人材育成の面でも高い効果を発揮することだろう。オリックス・レンテックは今後、選択できる3Dプリンターや材料のさらなる拡充、サービス内容の強化などを視野に入れて3D-FABsを発展させていくという。

 製造業を中心に活用が広がっている3Dプリンターだが、その特性を理解していないが故に活用に至っていない、活用し切れていない現場も多い。そんな現場に対して、袴田氏は「まずは3D-FABsを使ってみてください」と訴える。3Dプリンターや材料の特性を知ることが本格的な活用への近道となる。案ずるより産むがやすし――。3D-FABsでの試行錯誤は3Dプリンターへの理解を間違いなく深め、次のステップへの大きな後押しになることだろう。


提供:オリックス・レンテック株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2023年7月9日

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