シートベルト着け忘れ防止や幼児置き去り検知、乗員保護センシングの課題:安全システム
シートベルト着け忘れ防止、幼児置き去り検知、子どもを対象としたエアバッグの展開制御など、乗員向けの安全機能に対する要求が高まっています。しかし、1つの機能に対して1つのセンサーで対応するのはコストアップの要因となるため、新たなソリューションが必要です。
自動車メーカー各社は、増え続ける安全基準や厳格化が進む規則要件に対応するべく、多大な労力を費やしています。中でも対応が急がれるのが、シートベルト着け忘れ防止(SBR、seat belt reminders)の強化、幼児置き去り検知(CPD、child presence detection)、子どもを対象としたエアバッグの展開制御など、車内の安全のための機能です。この種の法規制は今後さらに増える見込みです。その上で、快適機能の充実を求める消費者の声にも応える必要があります。
自動車安全基準の現状と今後
自動車の安全性能の認定機関として世界的な権威が欧州のユーロNCAPです。道路交通事故を最小化するという目標を掲げ、数年ごとに新たなロードマップを公開しており、業界のイノベーションを促す要因となっています。
ユーロNCAPの採点基準は、あらゆる試験プロトコルで年々厳しくなっています。例えば、2023年には新たな評価基準として幼児置き去り検知が追加され、全ての車両に適用されます(最高4点)。車内に置き去りにされた幼児が熱中症で死亡する事故は後を絶たず、これまで世界中で数千の幼い命が失われてきました。幼児置き去り検知は、この事故を防ぐために欠かせないテクノロジーです。
さらに、これまでも評価対象になっていた前部座席および後部座席のシートベルト着け忘れ防止が、乗員監視(OS、occupant status)機能の必須項目となります(最高3点)。同時に、子どもを対象としたエアバッグ解除装置や先進的なeコール機能なども車内安全基準に追加されます。ユーロNCAPの先進的な取り組みに、他の地域のNCAPも追随しています。
2018年、オーストラリアの自動車安全認定機関であるANCAPは、ユーロNCAPと足並みをそろえ、採点基準に同様の変更を加えました。ASEAN(東南アジア諸国連合)NCAPの2021〜2025年ロードマップでも、幼児置き去り検知に2点のスコアが割り当てられています。なお、ASEAN NCAPでは現時点で、後部座席用のシートベルト着け忘れ防止機能を装備していなければ5つ星認定を受けられなくなっています。この機能は、欧州運輸安全協議会(ETSC)および日本の車両安全基準でも要件に加えられています。
一方、米国では、車内での幼児置き去りを防止するための規定(Hot Cars Act)が提案されています。この規定は2024年中に成立する可能性があり、米国国内の全ての新車に幼児置き去り検知機能の搭載が義務付けられます。
さらに、米国連邦政府自動車安全基準(FMVSS 208)では、特に子どもに多いエアバッグの衝撃による負傷事故を減らすために、後部座席のシートベルト着け忘れ防止と高度なエアバッグ解除装置が新たな要件として追加されました。
このように世界中の安全評価機関が同じ方向性で取り組んでいるものの、そのスピード感には差があり、車内安全基準の導入ロードマップも統一されていません。
山積する課題を解決する1つのソリューション
このように世界各地の法規制がまちまちな状況では、地域で定められた基準に柔軟に対応できるソリューションが不可決です。
また、各モデルに複数のSOP(standard operating procedure)プログラムに対応するセンサーを導入すると莫大(ばくだい)なコストがかかります。収益性を確保するにはセンサーのコストを減らす必要がありますが、1つのセンサーで1つの機能に対応するという従来の手法では、安全基準を達成するのに高級車でも許容できないほどのコストがかかり、持続的ではありません。
従来の考え方のままでは、2030年代には安全基準を達成するために必要なセンサー数が車両1台当たり200個にもなります。加えて、ハードウェア、ソフトウェア、配線、ECU(電子制御ユニット)も必要になるため、複雑性が増し、コストもますます増加します。これは自動車メーカーにとって大きな課題です。また、新興市場で厳しいコスト削減を強いられているメーカーの多くは、最高レベルの車両安全はとても達成できないと認識しています。
これに対し、自動車メーカーが低コストに安全機能を導入できる新しいソリューションが登場しています。低コストかつ多機能なシングルチップソリューションによって世界各地の安全基準要件を達成しながら、低価格の車両にも高度な乗員保護機能を搭載できるようになります。
Vayyar Imagingの最先端の車内監視プラットフォームは、4Dイメージングレーダーチップ1個でユーロNCAPの最も厳しい安全基準要件を今後数年間達成できます。このプラットフォームは幼児置き去り検知に加え、高度なシートベルト着け忘れ防止、エアバッグ解除装置、乗員監視まで、幅広い安全機能を一括してサポートしますが、従来7個以上のセンサーが必要だった処理に1個のセンサーチップで対応できます。このテクノロジーによって、さまざまな課題が解決され、ユーロNCAPの乗用車向け車内安全性評価で最高7.5点を獲得できるようになります。
また、パートナー向けの資料としてフルレファレンス設計や広範なローレベルアルゴリズムなども用意しており、レーダーの専門知識がなくても必要なアプリケーションを短期間で開発できます。無線アップデートに対応しており、アプリケーションのリモート導入も可能です。自動車メーカーは、この多機能な車内監視ソリューションで世界中の安全基準に準拠できるようになります。
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提供:Vayyar Imaging Japan合同会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2022年6月8日