アドオンするだけで解析業務効率が大幅にアップ:富士通のPCクラスタ環境は既存のWSの延長線上に
今日の厳しい製品開発要件に対応するには、解析シミュレーションのスピードアップ&精度アップが欠かせない。そこでPCクラスタのマシンパワーが大きな力となることは必至だ。「しかし、当社にとっては、まだハードルが高い……」と考えていた人たちにぜひ見てもらいたい! ワークステーションからスタートできる富士通のPCクラスタソリューションを紹介しよう。
いよいよ高精度な解析を、より高速に行うことを求められる厳しい開発環境の中で、PCクラスタ環境を検討する企業も増えてきている。富士通ではこれまでに「PRIMERGY BX900」などによって、「ユーザーがすぐに使えて、効果の出せるHPC環境」を提供してきている。しかし、これまでにPCクラスタの経験のないユーザーにとって、いきなりサーバを使うことには、ややチャレンジングではないかという思いがあるのも確かだろう。しかし、そんなユーザーにとって、朗報がある。
実はPCのクラスタ環境が、なじみのあるワークステーション(WS)環境へのアドオンで手に入るということだ。
ハイエンド・ワークステーションへの更新から始まる新たな解析環境
製造業において解析の重要性が増してきている。製品の市場投入への時間を一層短縮するためには、開発を効率的に行う必要がある。それと同時に魅力的な製品を開発するには高度な解析を数多く、しかも短時間でこなさねばならない。“開発期間の短縮”と“開発の質”はトレードオフにはならないのだ。ここで問題になるのが日常業務で使用しているマシンの性能だ。多くの解析担当者はワークステーション上で解析を行っているが、多くのマシンではその性能に限界があるのが現実だ。
「この1年半、当社では動作検証済みのハードウェア・OS・ミドルウェアのおすすめ構成『Quick Start Suite(クイック・スタート・スイート)』を展開してきました。しかし、クラスタに移行することをお考えのお客さまでも、まずはワークステーション自体の高性能化のニーズが高いということも認識しました」と富士通 システムプロダクト販売推進本部 PCクラスタビジネス推進室 主席部長の西敬二郎氏は語る。
また、一般に解析部門では、情報システム部門でシステムを一括管理しているほかのシステムと異なり、解析部門自身がシステムを管理しているケースも少なくない。そのような中で、いきなりPCクラスタの導入は、いくら簡単になったといわれてもハードルが高いと見る向きもある。
そこで富士通では、解析の高速化を目指したいというユーザーのための最初のステップとして、ハイエンドPCワークステーションの更新を勧めている。同社は「CELSIUS(セルシアス) R670-2」を展開しているが、このマシンでは最新のCPUを搭載しているばかりでなく、高性能GPUを採用しているため、最新のトレンドであるGPGPU(General Purpose GPU)による解析の大幅な高速化を狙うには最適だ。
だが、富士通が推進するこのアプローチの本領はこの先にある。
現在の環境の先にPCのクラスタ化の効果を実現
PCクラスタ上で解析ができれば、あらゆる面で大幅な計算時間の短縮化、それによるさまざまな設計オプションの検討が効率化することは明確な事実となっている。実は、富士通のソリューションを使用することで、高性能ワークステーションの延長線上で、ユーザーはこのPCクラスタの効果を獲得することができるのだ。
それがInfiniBandに対応したCELSIUS R670-2によるワークステーションクラスタだ。複数のワークステーションを用いて解析業務を推進する企業は珍しくないだろう。それら複数のPCワークステーションと、管理およびファイルサーバとして導入するPRIMERGY PCサーバをInfiniBandで相互接続することで簡単に高速クラスタシステムにすることが可能だ。また同時に、全てのPCリソースが使用されていることは少ない。空きが出たワークステーションリソースは一時的に計算リソースとして有効活用できる。
さらに、業務の効率化にまで踏み込むことも可能だ。PRIMERGYによるソルバー処理専用のPCクラスタをアドオンし、PCワークステーションを3次元CADによるモデリングや解析のためのプリポストとして専用化することができる。さらに、夜間にはこれらのワークステーションのリソースもソルバー処理のために活用することが可能なため、解析のスピードそのものもさることながら、業務効率全体の改善も期待できる。
パフォーマンスの大幅な改善とコストの削減
実際に、このような形でPCクラスタ化した成果もかなり明確だ。解析のパフォーマンスを計る指標として2つ考えられる。
1つは「解析時間」、もう1つは「解析可能なサイズの大きさ」だ。富士通がISV(解析アプリケーションベンダー)とともに行ったベンチマークにおいては、従来8台の2コアのワークステーションのそれぞれでプリ、ソルバー、ポスト処理を実行していたものから、ソルバー処理用のPRIMERGY PCサーバとInfiniBandの導入で16並列のPCクラスタ化したことで、同じモデルの解析時間が6分の1に、また同じ時間内で解析可能なモデルの規模が3.3倍に拡大したという実測値もある。
また、クラスタ化を推進することで大幅なコスト削減を期待できる。例えば、現在2コアのワークステーションを8台使用して解析を行っている場合には、8台分のライセンスやサポート費用が必要となってくる。これが、16コアのネットワークライセンスで集中管理した場合には、使用するソフトウェアによっては年間サポート費用を約50%削減することも可能になる。
従来のシステムをがらっと変えることなく、解析業務を大幅に改善する効果を得ることも可能だ。このような形で効果を実感することができれば、より多くのノードを持つ本格的なPCクラスタの導入へ進むことも容易になるであろう。
設計プロセスの中での解析への活用
かつて設計者が行う解析といえば、ごく簡単な線形解析が中心であった。しかし、現在では主要な3次元CADが備えている解析機能でも、非線形をはじめとして複雑な現象を扱うことが可能となってきただけではなく、解析データそのものも大規模化している。つまり大手メーカーを中心に、設計者といえども大規模な解析をこなす時代になってきているのだ。こうなってくると、求められるのがソルバーのためのリソースである。あるレベルまではワークステーションのみでも可能だが、多くの設計者が本格的な解析をやることになった場合には、前述のような形で、「3次元CADやプリポストのノード」と「ソルバー処理のためのノード」とを分けないと、マシンのリソース不足で設計までが滞ることも起こり得る。
従来のワークステーション群にソルバー処理専用のPCクラスタを簡単にアドオン可能なことこそ、解析業務と設計業務がインタラクティブに関わることが普通になってきたいまこそ求められる環境であると言っても過言ではないだろう。
ISVとのコラボレーションで確実な実績
実際に大規模で実践的な解析を行うためには、ハードウェアのみでの努力では限界があるのも現実だ。富士通では「PCクラスタ性能検証センター」において主要ISVと共同でInfiniBandやGPUをはじめとした最新ハードウェアとOS・ミドルウェア上での性能検証を行っている。「LS-DYNA」「ANSYS」「PAM」「Marc」「RADIOSS」などをはじめとする高度な解析業務で使用されるほとんどの主要なアプリケーションでの性能検証結果を公開し、ユーザーの参考指標として提供している。既存のソフトウェアもそのままに、PCクラスタの効果を得ることができるのも、このソリューションの大きな特徴であろう。
危機管理と事業継続への活用
従来、危機管理と事業継続は、多くの企業にとっての課題であったが、2011年3月11日に起きた東日本大震災で一層強く認識されてきた。たとえ危機的状況に直面しても、できる限り早く業務を再開することが、いまの企業の最も大事な課題の1つになってきている。
富士通のワークステーションやPCクラスタによるHPCシステムは、電力を考慮した事業継続に対しても万全のソリューションを提供している。このソリューションは、電力に余裕のある地方のデータセンターに丸ごと移築し、ゼロクライアント端末(OSレベルからシステムが入っていないローカル環境)を活用したリモート操作が可能である。リモートからの操作でむしろセキュリティ性は向上している。また当面の間、計画停電などの不安も解消されていないが、安全な電源管理のシステムと、解析ソリューションそのものが持つ機能によって、停電を挟んでも解析をやり直すことなく中断された解析を再開できるため、非常時においても解析を効率的に推進可能なソリューションも提供できる。
このように、富士通では数百ノードの大規模システムから1台のワークステーション業務までさまざまなPCクラスタ環境を提供している。「小規模なものであれば、35万円程度でInfiniBandネットワークスイッチを提供させていただいています。PCクラスタの導入について、『ハードルが高い』とお考えのお客さまでも、いまのシステムへのアドオンからクラスタの効果を体験していただけます」(西氏)。
ぜひ、この機会にワークステーションとPCクラスタによる解析業務の効率アップを勧めたい。
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提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2011年10月31日