進化を続けるエッジコンピューティング、製造業の要求を満たす条件とは製造業DXに向けたITインフラ革新のヒント - 第2回

AIや画像処理による解析などの用途で、製造業でもエッジコンピューティングのニーズが高まってきた。従来はクラウドやデータセンターなどで担っていたこれらの処理も、今や現場である“エッジ”での対応が求められるようになっている。そのためには、工場内でも運用できる堅牢性を備え、高性能GPUも搭載できるようなシステムが求められている。

» 2021年10月18日 10時00分 公開
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 IoT(モノのインターネット)の社会への浸透が続く中、それらから吸い上げられるデータの処理法にも変化の兆しが見えている。これまでは、各種のIoT機器/デバイスから取得したデータはそのままクラウドやデータセンターのストレージに蓄積され、集計や解析などはその後のバッチ処理として行われていた。しかし、製造業がモノづくりの現場でIoTを活用する場合、外部のストレージに機微なデータを出さないとともにリアルタイムに近い応答性が求められることも多い。

 そこで、より現場に近い“エッジ”で、IoT機器/デバイスから取得したデータを処理する「エッジコンピューティング」への注目が高まっている。また、このエッジコンピューティングのトレンドは、単なる監視や制御から、機械学習や深層学習と関連したデータ分析へと移っている。さらに、工場の生産ラインの近くなどより現場に近く、設置場所やレイアウトの制約に対応でき、コンピュータの動作にとって過酷な環境下でも確実に稼働し、使い勝手もよく、その上で高い処理能力を備えることも求められているのだ。

国内数百社で採用されるデル・テクノロジーズのOEMソリューション

 このようなエッジコンピューティングのニーズに応えるソリューションを展開しているのがデル・テクノロジーズだ。そして同社は、自身のブランドで製品を展開するだけでなく、各種産業分野で用いられる機械や装置、設備などに組み込んだり、システムの一部として用いたりするOEM用途でも、それらのメーカーや最終顧客の要望に応えるOEMソリューション事業でも高い評価を得ているのだ。

 デル・テクノロジーズといえば、グローバルのx86サーバ市場において2021年第2四半期まで、出荷金額で16四半期連続のトップの座を守っている※1)。台数シェアでも18四半期連続でNo.1だ。国内のx86サーバ市場でも堅調な成長を続けており、2021年第2四半期には出荷金額と出荷台数でトップに立つなど※1)、国内外におけるITインフラ分野での存在感は大きなものがある。

※1)出典:IDC Quarterly Server Tracker, 2021Q2. Share by Company. Product Category=x86

デル・テクノロジーズ OEMソリューション事業本部 事業統括本部長の村上有一氏 デル・テクノロジーズ OEMソリューション事業本部 事業統括本部長の村上有一氏

 このデル・テクノロジーズがグローバルでOEMソリューション事業をスタートさせたのは20年以上前にさかのぼる。今では、グローバルのOEMプロバイダーとしてNo.1のポジションを得ている※2)。デル・テクノロジーズ OEMソリューション事業本部 事業統括本部長の村上有一氏は「国内でも11年前にOEMソリューション事業を立ち上げ、年々ビジネスの規模を拡大しています。製造業を中心に、通信キャリアや、CSP(Cloud Service Providers)などを含めて数百社にご採用をいただくなどの実績を積み上げてきました」と語る。

※2)VDC Researchが調査した2016年のドル換算出荷額ベースのグローバルシェアに基づく

 デル・テクノロジーズのOEMソリューションは、製造業に加えてヘルスケア、通信、コンピュータビジョン、防衛、海運などに至るまで、40以上ものミッションクリティカルな分野で展開されている。今後は、これらに加えてFinTech分野も対象となる予定だ。例えば、スマートフォン決済は現時点でもかなり普及しているが、デル・テクノロジーズが目指す新しい世界では、支払い端末にスマホをかざすことなく支払いができるようになるという。

40以上の産業を変革するデル・テクノロジーズのOEMソリューション 40以上の産業を変革するデル・テクノロジーズのOEMソリューション[クリックで拡大]

新たなテクノロジートレンドに対応する次世代製品を開発

 製造業向けのOEMソリューションで高い実績を持つデル・テクノロジーズにとっても、ここ数年の間で急激に進化している新たな技術にしっかり対応するなど、次世代を見据えた取り組みが求められている。例えば、機械学習・深層学習に代表されるAI(人工知能)があり、これらのAIと関係性も深いコンピュータビジョン、そして協働ロボットやAGVなどの自律走行車、ドローン、デジタルツイン、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)などがある。

デル・テクノロジーズ OEMソリューション事業本部 シニアセールスエンジニアの角雅治氏 デル・テクノロジーズ OEMソリューション事業本部 シニアセールスエンジニアの角雅治氏

 エッジコンピューティングにおいてこれらのテクノロジートレンドに対応するには、収集される大量のデータの処理に加え、急激に増加するワークロードによるレイテンシ(遅延)を抑えることが求められる。特に、AIや画像系の処理にはGPUの搭載が必須となる。また、低遅延、多接続、大容量の特徴を兼ね備える5G通信に対応したコネクティビティも必要になるだろう。デル・テクノロジーズ OEMソリューション事業本部 シニアセールスエンジニアの角雅治氏は「これらのテクノロジートレンドから、当社製品の高い信頼性やパフォーマンスに加え、次世代製品の開発に向けて備えておくべき新たなポイントも見えてきます」と述べる。

 まず求められるのが、大量のデータの処理やレイテンシの抑制に求められるデータファーストなアーキテクチャだ。次に、現場の近くに設置しやすくするために小型のフォームファクタである必要がある。そして、データセンター内のような管理されたスペースではないエッジ環境で使われる以上、耐久性や堅牢性も重要になる。多少の衝撃や粉塵ですぐにシステムが停止するような機器ではエッジ環境では安心して使えない。もちろん、セキュリティ面での担保も必要だ。入退場が厳しく管理されるデータセンターと比べて、エッジ環境へのアクセスが容易である以上検討すべき事項だ。

 これらの他、最新のテクノロジーを利用するには、仮想化とハイパーコンバージドに柔軟に対応できる設計であることも必要だ。さらに、既に導入済みの他システムや外部サービスと連携するための拡張性、相互運用性が求められることもある。

産業界の変革を支えるテクノロジーと次世代製品の要件 産業界の変革を支えるテクノロジーと次世代製品の要件[クリックで拡大]

 デル・テクノロジーズのOEMソリューションは、これら次世代のエッジコンピューティングに求められる要件を満足するだけでなく、グローバルベンダーとしてのワールドワイドな供給やサポート体制などのメリットも得られる。

エッジコンピューティング向けサーバ「PowerEdge XR11/XR12」の実力

 高度なデータ分析が求められるエッジコンピューティングに向けて、デル・テクノロジーズが2021年7月に出荷を開始した最新サーバ製品が「インテル(R) Xeon(R) スケーラブル・プロセッサー」を搭載した「PowerEdge XR11/XR12」だ。PowerEdge XR11は1Uマウント、PowerEdge XR12は2Uでのマウントとなる。

 PowerEdge XR11/XR12は一般的な19インチ幅のラックにマウント可能なサーバだが、奥行きがわずか約40cmと小型である。これは、設置スペースに余裕がないエッジ環境を意識したものだ。また、エッジ環境での展開に特化し、他社製品にはない機能を含めた極めてユニークな設計の製品となっている。以下に、PowerEdge XR11/XR12の特長を見ていこう。

「PowerEdge XR11/XR12」の特長 「PowerEdge XR11/XR12」の特長[クリックで拡大]

リバースラッキング対応

デル・テクノロジーズ データーセンター ソリューションズ事業統括 製品本部 シニアプロダクトマネージャーの岡野家和氏 デル・テクノロジーズ データーセンター ソリューションズ事業統括 製品本部 シニアプロダクトマネージャーの岡野家和氏

 PowerEdge XR11/XR12の最大の特長は「リバースラッキング」に対応していることだ。一般的なデータセンターのラックにサーバを格納する際は、人が触れる前面側に冷却ファン、背面側にI/O類と電源モジュールなどが並ぶ配置になる。そして、冷却のためのエアフローがラック前面から背面へ流れることになる。これはデータセンター内でサーバを効率的に冷却するためだ。デル・テクノロジーズ データーセンター ソリューションズ事業統括 製品本部 シニアプロダクトマネージャーの岡野家和氏は「しかし、エッジ環境では必ずしもこの構成が最適とは限りません。そこで、PowerEdge XR11/XR12は、リバースラッキングによってこの配置を逆転できる形を取り、設置環境に応じて選べるようになっているのです」と説明する。

 PowerEdge XR11/XR12をリバースの状態でラックにマウントすると、フロント側にI/O関係や電源モジュールが配置される。これによって、例えばケーブリングやメンテナンスなどが前面でスピーディーに行えるようになる。ちなみに、リバースラッキング時は、背面に位置することになる冷却ファンがサーバ内の空気を吸い出す方向に稼働する。これによって、サーバラック全体のエアフローの方向は守られるのである。

「PowerEdge XR11」におけるリバースラッキングのイメージ 「PowerEdge XR11」におけるリバースラッキングのイメージ[クリックで拡大]

AIの活用に欠かせないGPUも搭載可能

 NVIDIA製GPUの搭載は、AIや画像認識などの用途でエッジコンピューティングを行う際にはマストな要件となるだろう。PowerEdge XR12は、搭載可能なGPUのラインアップが多く、最新アーキテクチャの搭載で高いAI処理性能を備える「NVIDIA A100」を2基搭載できる。これはAIにエッジを活用する際の大きなアドバンテージになるだろう。

 一方、1UサイズのXR11でも「NVIDIA T4」を最大2基搭載できる。AIの推論処理であればNVIDIA T4も十分な性能を有しており、何よりも消費電力が少ないという利点がある。目的に応じて運用コストを抑えつつ優れたパフォーマンスを発揮するシステムが構築できるだろう。

 また、XR11/XR12とも、5G通信などへの対応で力を発揮するアクセラレータカードである「Intel ACC100 FEC」をサポートする予定とのことだ。

製造業のニーズを満たす高い耐久性と堅牢性を確保

 元来、デル・テクノロジーズの製品は堅牢さに定評があるが、さらに高耐久な専用製品もある。特にPowerEdgeの高耐久性モデルは海外で、防衛や医療といった、より信頼性・確実性が求められる分野にも多くの導入実績がある。この設計思想は、PowerEdge XR11/XR12にも受け継がれている。

 耐久性に関しては、米軍のMIL規格に準拠し、衝撃、振動、塵埃などの過酷な環境に対応している。また、動作温度範囲も-5〜55℃と広く、過酷な温度環境でも確実に稼働するよう配慮されている。

 データセンターのホットアイル/コールドアイルのように温度別にスペースを管理することはエッジ環境では難しい。OEMソリューションの直接顧客であるメーカーにとっても、最終顧客がどのような環境で利用するかは判断しにくい場合もある。このような時でも、耐久性と堅牢性に優れたPowerEdge XR11/12であれば安心感がある。

「iDRAC9(アイドラック ナイン)」で高度なセキュリティを実現

 ネットワークに接続してサービスを提供するサーバである以上、外部からのサイバー攻撃にさらされることを完全に避けることは難しい。しかし、攻撃対象がPowerEdgeなら、攻撃者にとってサーバへのアタックで利益を得るのは非常に困難なものになるだろう。

 PowerEdge XR11/12を含めたPowerEdgeシリーズには、管理プロセッサとして「iDRAC9」が搭載されている。これによってサーバ管理の自動化やインテリジェントな稼働とともに、PowerEdge XR11/XR12はセキュリティ面でも非常に強固な機能を実装することになった。

 例えばiDRAC9は、サーバ内の自己暗号化ドライブ(SED)の暗号化キーをサーバ外部の独立した管理アプライアンスで保管する、いわゆる「エンタープライズ暗号化キー管理」の標準規格「KMIP」に対応している。SEDを使うだけでなく、その鍵管理にも最高レベルのセキュリティを提供するiDRAC9のこの機能は、エッジ環境のサーバでより一層意味を成すといえる。

 この他、iDRAC9によって、他社が提供するツールとの連携もしやすくなっている。エッジ環境とデータセンター内のサーバで同じ管理ツールが使え、管理・運用の負荷が軽減できることも大きな魅力といえるだろう。

長年の製品開発と膨大なノウハウの蓄積を生かす

 デル・テクノロジーズのOEMソリューションは、この「PowerEdge XR11/12」を含めたエッジコンピューティング向け製品群を、製品に組み込む際に求められるデブランディングやリブランディング対応を含めて提供している。顧客の求めに応じて、ラックや無停電電源装置(UPS)、室外用無線アクセスポイント、ファイアウォールなどパートナー製品との組み合わせ提案も充実させている。

「PowerEdge XR11/12」を含めたデル・テクノロジーズのエッジコンピューティング向け製品群 「PowerEdge XR11/12」を含めたデル・テクノロジーズのエッジコンピューティング向け製品群[クリックで拡大]

 そしてデル・テクノロジーズには、長年の製品開発とOEMのカスタマイズで得た膨大なノウハウの蓄積がある。外部の環境が急変する中、要求が高度化していくエッジコンピューティングに対応するのであれば、デル・テクノロジーズのOEMソリューションを検討してみてはいかがだろうか。


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