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「SOLIDWORKS 2023」のパフォーマンスをさらに高める最新ワークステーション検証レポート

国内外で広く普及する3次元設計開発ソリューション「SOLIDWORKS」。デル・テクノロジーズのワークステーション「Dell Precisionシリーズ」を用いて3D CAD、グラフィックス、レンダリングの3項目についてパフォーマンスを検証した。

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 品質向上、コスト削減、リードタイム短縮は設計開発における永遠のテーマだ。それらに加え、近年は設計対象が複雑化、大規模化する傾向にあり、設計プロセスのさらなる高度化が求められている。

 「これまでパーツ単位での設計や小規模なアセンブリを手掛けていた現場でも、より大規模なアセンブリを扱うケースが増えています。さらに、設計者自身がCAEを活用して設計品質を高めようとする動きも目立っています」とソリッドワークス・ジャパン 3DEXPERIENCE WORKS 営業技術部 プロダクトテクニカルセールス課 課長の島村知子氏は指摘する。

 今や大規模アセンブリへの対応や設計者CAEの実践は設計現場にとって必然の流れであり、それらをより効率的に、よりスムーズに行うためには、高度化する設計業務に応えられる設計環境の整備が重要となる。

 このようなニーズに対し、長年設計現場の声に耳を傾けながらバージョンアップしてきたのが3次元設計開発ソリューション「SOLIDWORKS」だ。中でも設計業務の効率化に寄与するパフォーマンスや設計のしやすさに関してはバージョンアップを重ねるたびに強化・改善を図っており、最新バージョンの「SOLIDWORKS 2023」でもその実力が遺憾なく発揮されている。

 「例えば、総部品点数が1万1000点を超える3D CADデータを読み込む際、前バージョンの『SOLIDWORKS 2022』ではファイルを開くのに2分12秒を要していましたが、SOLIDWORKS 2023では1分15秒に短縮しました。3Dモデルの移動、回転、ズームにおける描画パフォーマンスも約3倍向上し、ユーザーエクスペリエンスをより高めています」(島村氏)

ソリッドワークス・ジャパン 3DEXPERIENCE WORKS 営業技術部 プロダクトテクニカルセールス課 課長の島村知子氏
ソリッドワークス・ジャパン 3DEXPERIENCE WORKS 営業技術部 プロダクトテクニカルセールス課 課長の島村知子氏

 ソフトウェアの進化だけでも十分なパフォーマンス向上が見込めるが、最新のワークステーション環境と組み合わせることで、SOLIDWORKS 2023を用いた設計業務のさらなる効率化、生産性向上が期待できる。

 そこでお薦めしたいのが、デル・テクノロジーズのワークステーション「Dell Precisionシリーズ」だ。「Dell Precision 3570」「Dell Precision 3571」「Dell Precision 5770」「Dell Precision 7670」といったモバイル ワークステーションの他に、デスクトップ型ワークステーションの「Dell Precision 3460 SFF」、タワー型ワークステーションの「Dell Precision 3660 Tower」などを展開する。

 これら最新のDell Precisionシリーズは、前世代製品に搭載されていた「インテル Xeon W プロセッサー」からCPUを一新し、第12世代「インテル Core プロセッサー」を搭載。高い演算処理能力を備えたPコアと省電力性能に優れたEコアによるハイブリッドアーキテクチャを採用することで効率的なタスクの割り当てを実現し、システム全体のパフォーマンスを最大限に引き出せる。

 最新のDell PrecisionシリーズとSOLIDWORKS 2023との組み合わせで、どれほどのパフォーマンスが得られるのだろうか。以下に示す9台のワークステーション環境で検証を行った。なお、9番目の「Dell Precision 3640」のみインテル Xeon W プロセッサーを搭載した2世代前の機種となる。

今回の検証で用いた「Dell Precisionシリーズ」
図1 今回の検証で用いた「Dell Precisionシリーズ」[クリックで拡大]
Dell Precision タワー ワークステーション
Dell Precision モバイル ワークステーション

SOLIDWORKS 2023:3D CADのパフォーマンス検証

 まずは3D CADのパフォーマンスだ。検証に用いた3Dモデルは、構成部品数が6031点、ユニークな部品数が1465点、ソリッドボディーの合計が6638点、グラフィックス三角形の合計が4739万7307点、ファイルサイズが1.06GBという大規模なものだ。

 この3Dモデルに対して、ソフトウェア起動→アセンブリを開く→部品ファイル編集→図面作成→データ保存→ソフトウェア終了までの一連の作業に要した時間を5回計測。最大値と最小値を除いた計測値の平均を取り、Dell Precision 3570の計測値を基準値1.0として、他の機種の計測値との相対比較を行った。以降で紹介する他の検証でも基本的に同様の算出方法を用いている。

CADパフォーマンスの相対比較
図2 CADパフォーマンスの相対比較[クリックで拡大]
Dell Precision タワー ワークステーション
Dell Precision モバイル ワークステーション
ソリッドワークス・ジャパン 技術部 テクニカルサポート課 エンジニアの陳永麒氏
ソリッドワークス・ジャパン 技術部 テクニカルサポート課 エンジニアの陳永麒氏

 検証を担当したソリッドワークス・ジャパン 技術部 テクニカルサポート課 エンジニアの陳永麒氏は「基準としたDell Precision 3570はエントリークラスに位置するものですが、それでも必要十分で快適なパフォーマンスを得られました。これを基準とした場合、他の機種では約1.4〜1.9倍もの圧倒的なパフォーマンスを発揮しています」と評価する。

 注目したいのは、モバイル ワークステーションであってもデスクトップ型やタワー型に匹敵するパフォーマンスを発揮している点だ。特に「インテル Core i9 プロセッサー」を搭載するDell Precision 5770の1.81というスコアは圧巻の一言に尽きる。インテル Xeon W プロセッサーを搭載したDell Precision 3640との比較では最新機種のほとんどが同等もしくはそれ以上のスコアをマークしており、第12世代インテル Core プロセッサーの実力を裏付けている。

SOLIDWORKS 2023:グラフィックスパフォーマンス検証

 グラフィックスパフォーマンスの検証では、SOLIDWORKSが苦手とするヘリカル形状をあえて大量パターン化し、回転やズームを行ってフレームレート(FPS)を計測した。検証に用いたヘリカル形状の3Dモデルは、ソリッドボディーの合計が625点、グラフィックス三角形の合計が2187万点、ファイルサイズが1.17GBだ。

 エントリー向けで搭載メモリが16GBのDell Precision 3570とDell Precision 3571については、それぞれFPSが1.19と5.45にとどまり画面表示のギクシャク感は否めない。だが、32GB以上のメモリと「NVIDIA RTX A2000」以上のGPUを搭載する最新6機種に関しては「FPSが20前後にもなり、実際に表示も滑らかで飛躍的なパフォーマンス向上が見られました」(陳氏)。

SOLIDWORKS Visualize 2023:レンダリングパフォーマンス検証

 「SOLIDWORKS Visualize 2023」を用いたレンダリングパフォーマンスの検証では「NVIDIA RTX A2000 12GB」「NVIDIA RTX A4500」「NVIDIA RTX A6000」の3タイプのGPUを搭載したDell Precision 3660 Towerと、「NVIDIA RTX A3000」を搭載したDell Precision 5770、「NVIDIA RTX A5500」を搭載したDell Precision 7670の計5つの環境を準備。GPUレンダリングとGPU+CPUのハイブリッドレンダリングを実施して結果を比較した。レンダリングエンジンは「NVIDIA Iray」を使用し、高精度レンダリング、パス数を2000に設定して、アウトプットは1920×1080 96dpiのJPEG画像とした。

レンダリングパフォーマンスの比較
図3 レンダリングパフォーマンスの比較[クリックで拡大]
Dell Precision タワー ワークステーション
Dell Precision モバイル ワークステーション
ソリッドワークス・ジャパン 営業技術部 主任アプリケーションエンジニアの佐藤顕司氏
ソリッドワークス・ジャパン 営業技術部 主任アプリケーションエンジニアの佐藤顕司氏

 ソリッドワークス・ジャパン 営業技術部 主任アプリケーションエンジニアの佐藤顕司氏は「基本的にグレードの高いGPUを搭載したワークステーションほどレンダリング時間が短くなります。また、GPU単体とGPU+CPUのハイブリッドのどちらでレンダリングを行っても結果に大きな差はありませんでした。特にNVIDIA RTX A6000を搭載したDell Precision 3660のパフォーマンスは非常に高く、感動を覚えるレベルでした」と評価する。

 今回の検証ではデノイザー機能をあえてOFFに設定している。デノイザーとは、機械学習に基づく事後プロセッシング技法を使用して高速および高精度レンダリングモードで作成された未完成なイメージやノイズの多いイメージからノイズを除去するための仕組みだ。「この機能をONにした場合、さらに10倍以上のパフォーマンス向上が期待できます」と佐藤氏は付け加える。

「Windows 11」に移行すればさらにパフォーマンスが向上

 最後にOSの違いによるパフォーマンス検証として、CPUに「インテル Core i7 プロセッサー」、GPUにNVIDIA RTX A1000、メモリ16GBを搭載するDell Precision 3571を用いて「Windows 10」と「Windows 11」での動作を比較した。

 その結果、「OSをWindows 10からWindows 11に移行するだけで3D CADやグラフィックスのパフォーマンスを大幅に向上させられます」と陳氏は説明する。これは第12世代インテル Core プロセッサーの特徴でもあるPコア、Eコアの効率的なタスク割り当てを可能とするハイブリッドアーキテクチャによるものだと考えられる。ハイブリッドアーキテクチャに用いられる「インテル スレッド・ディレクター」はWindows 11環境においてその全機能を活用できる仕様となっており、それが検証結果にも表れている。

 以上の検証結果から、SOLIDWORKS 2023、Dell Precisionシリーズ、Windows 11といった各レイヤーの最新テクノロジーを組み合わせることで劇的なパフォーマンス向上が期待できることが分かる。設計プロセスの高度化に向けて、まずは設計者がストレスを感じず、快適に設計業務に集中できる環境を整備するところから検討してみてはどうだろうか。豊富なラインアップをそろえるDell Precisionシリーズであれば、設計現場の目的に合ったワークステーションが見つかるはずだ。

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