欠品でも5日以内に出荷!! 部材不足/部材高騰の中で低価格&短納期を貫くスペーサーメーカー・廣杉計器に迫る:メーカーなのに工場がなく、外勤の営業員もいない!?
半導体や部品、材料不足が叫ばれて久しい昨今、安定した供給を継続しているメーカーが存在する。スペーサーやワッシャーなどを扱う、電子部品、機構部品の総合メーカーである廣杉計器だ。なぜ、廣杉計器は、各種部材のサプライチェーンが混乱する中で、高品質な製品を安価で、かつ、安定的に供給できているのか。その理由を探っていこう。
スペーサー、ワッシャー、ブッシュなどをメインに手掛けるメーカー
注文の95%は即日出荷。残りの5%も、よほどの数量でない限り5日以内に生産し、出荷できるーー。
半導体や部品、材料不足が叫ばれて久しい昨今、安定した供給を継続しているメーカーが存在する。スペーサーなど電子部品、機構部品の総合メーカーである廣杉計器だ。1個あたり数十円程度の単価の安い部品を主力にしていながら、納期、品質、そして価格で優位性を発揮し幅広い分野において設計者や資材調達担当者から高い信頼を得て、売り上げ成長を継続している。なぜ、廣杉計器は、各種部材のサプライチェーンが混乱する中で、高品質な製品を安価で、かつ、安定的に供給できているのか。その理由を探っていこう。
廣杉計器は、その社名から計測機器のメーカーかと思ってしまうが、プリント基板を機器に搭載する際に高さを調節するための基板用スペーサーを主力にするスペーサーメーカーだ。1980年の創業からしばらくは、超音波測探機の設計、製造を行っていたが、1980年代半ばにはスペーサーなど機構部品事業に参入し、スペーサーが主力製品に成長。スペーサーとともに使用するネジやワッシャー、ブッシュ、ピンヘッダーなど取り扱い製品種を拡充し、電子部品、機構部品の総合メーカーへと成長してきた。
アウトソーシングの利点を生かし、価格優位性を発揮
主力のスペーサーについては「国内有数のシェアを誇り、トップメーカーであると自負している」という。樹脂や金属を加工して製造するスペーサーやワッシャーなど廣杉計器が扱う製品は部品の特性上、付加価値がつけやすいとは言えない単純部品であり、そうした製品を扱いながらどのようにシェアを高めてきたのだろうか。廣杉計器 広告宣伝部 主任を務める金子優樹氏は「価格が競合よりも安い。そして、品質、納期の安定性が高い。そうしたことが評価された結果」と語る。
ご存じの通り基板用スペーサーは安いものでは1個数十円程度の製品なのだが、廣杉計器の製品は「競合よりも安い」と言い切る低価格を実現しているという。その理由として金子氏は「廣杉計器は、メーカーでありながら自社工場を持っていないことが、低価格を実現している1つの理由」と打ち明ける。同社が本社を置く川崎市周辺、神奈川県内を中心に70社を超える生産パートナーを有し、廣杉計器で企画、設計した製品を生産パートナーに委託して製造。工場、生産設備を持たない「アウトソーシング」により、大きな費用のかかる負担がないことで、低価格を実現している。
さらに廣杉計器は、工場だけでなく、普通のメーカーには存在するある機能がない。その機能とは“営業機能”であり、直接会社へ訪問する営業員が存在しない。主な販売先は商社への卸しがメインで次いでメーカーへの販売であり、小ロット向けにはECサイト通販をしている。営業機能に関わるコストの多くが、カタログ配布やWEBや雑誌への広告掲載費などで、営業活動に関する人件費がかかっていない。そうした低コストでの販売体制からも製品価格を低減できているわけだ。
工場も直接的な営業機能を持たないメーカーとしてはかなりユニークなビジネスモデルを敷くことで、資材高騰が続く昨今でも競合と比べて価格優位性を保ち続けている。
10万5000種を超える豊富さ際立つ製品ラインアップ
アウトソーシングでの製品製造というビジネスモデルは、価格以外にもさまざまな優位性を発揮している。まず、挙げられるのが品種数の豊富さだ。
70社を超える生産パートナーは、金属加工が得意なパートナーや樹脂成形が得意なパートナーなど、サイズや材質などでそれぞれ得意領域が異なる。こうしたパートナーの特性を生かし、さまざまな製品を企画、生産している。スペーサーであれば、黄銅、スチール、アルミ、ステンレスなど各種金属、ジュラコン、PBT、ナイロンなど各種樹脂、セラミックス、ガラスなどあらゆる材質のものをラインアップし、その品種数は3万4000品種を超えるという。「競合他社は、高さで言えば5mm単位で製品をラインアップしている場合が多いが、廣杉計器では製品によっては0.5mm単位で製品を用意している」(金子氏)とサイズバリエーションも実に豊富だ。
なお、スペーサー以外にもワッシャー約1万9000種、ブッシュ約4500種、ピンヘッダー約1万3000種、ネジ類を約1万種という具合に廣杉計器では合計10万5000種の製品を取りそろえている。
数えることさえ難しい品種数だが、全ての製品は、その仕様とともに廣杉計器Webサイトやカタログに掲載されており、簡単に確認して購入できるようになっている。「例年5000種から多い時には1万種の製品を開発しラインアップに加えている」(金子氏)とし、例年Webサイト、カタログを更新する6月に向け、今年度も5000種程の新製品開発を計画しているという。
受注の95%で即日出荷を実現!
これほどの品種数を誇りながら、「受注の95%程度は在庫があり、(午後3時までの注文であれば)即日出荷できる体制を整えている」(金子氏)という。その在庫量は「数え切れない」というほどだ。また在庫がない欠品時でも「数万個など大量注文の場合を除けば、5日以内に生産し、出荷できる」と、前述した豊富な生産パートナーを持つ強みを生かしたフレキシブルかつスピーディな対応で供給が行えるとする。
製品出荷については、すべて自社の倉庫から、厳しい品質チェックを経て実施しており「品質の高さにも定評がある」としている。
RoHS対応品、小型軽量品拡充……、さらなる事業成長に向けて
コロナ禍に伴うテレワークの普及などを背景に2020年以降、市場における電子機器の需要が大きく拡大する中で、廣杉計器は安定供給を継続し、2020年度、2021年度と2年連続して売上高成長を達成。「現状の経営課題の1つは、生産キャパシティを確保していくこと」(金子氏)と生産パートナーに対し生産ラインの増強を依頼するとともに、社内システム改良や在庫量強化などを図り、さらなる受注拡大に備えている。 さらに「一部材料ではRoHS指令の適用猶予が終了し海外ヘの輸出が禁止になる見込みであり、そうした一部材料を代替した製品開発を強化している。また、機器の小型化、軽量化というトレンドに応じた製品や、新たな電子部品領域への参入も計画している」とし、新製品開発も強化して事業拡大を狙っている。
なお、廣杉計器製品の購入は、同社Webサイトが便利だ。最低販売数量50個という小ロットから直接購入が可能になっている。製品に関する相談については、Webサイト経由やメールなどで受け付けており、「製品納期の回答については、原則として問い合わせから2時間以内に回答している」とスピーディなサポートを提供している。金子氏は「さまざまなECサイトでも廣杉計器製品が購入できるようになっているが、全製品ラインアップから選んで購入できる廣杉計器からの直接購入をぜひおすすめしたい」と呼び掛けている。
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提供:株式会社廣杉計器
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2022年10月19日