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最新GPUサーバが設計開発のリモートワークをサクサク・ヌルヌルに設計開発ツール

全世界がコロナ禍の影響を受ける中、在宅勤務やリモートワークに対応するための環境整備が課題となっている。NVIDIAの最新のGPUサーバ「NVIDIA RTX サーバー」は、製造業の設計開発をはじめとするさまざまな業務のリモートワークやコラボレーションに有効であるとともに、CPUと比べたレイトレーシング速度なども抜きんでている。NVIDIAのパートナーであるアスクのデモンストレーションを通して、NVIDIA RTX サーバーの実力をみていこう。

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 今、全世界がコロナ禍の真っただ中にあり、製造業においても新しい時代の経済活動の模索が行われている。各企業では、在宅勤務やリモートワークに対応するための環境整備が課題となっている。その中で活用されているのが、仮想デスクトップ(VDI)やシンクライアントである。

 製造業の開発業務では3D CADや3D CG、CAEなど、GPUによる高速処理が必要な3Dソフトウェアを扱う。特に、先行開発の現場では写実的なレンダリング処理や、VR(仮想現実)コンテンツ作成もよく行われる。これらの極めて高い計算能力が必要な開発業務をリモートワークで実現するにはさまざまなハードルがあり、容易とはいえなかった。

 これらの課題に対してNVIDIAは、「Remote Work With NVIDIA」というビジョンを掲げて、同社のGPU技術を活用したリモートワーク推進ソリューションを展開している。高い計算環境が必須な3D CGやCADを用いた処理でも、いわゆる“サクサク・ヌルヌル”の快適さをリモートワークで実現できるように支援しているのだ。

NVIDIAの最新GPUの塊「NVIDIA RTX サーバー」

 製造業向けでRemote Work with NVIDIAの提案の中核となるのが、2019年末にリリースしたグラフィックスサーバのレファレンスデザイン「NVIDIA RTX サーバー(以下、RTX サーバー)」である。RTX サーバーは、最新のGPUボード「NVIDIA Quadro RTX 8000/6000(以下、RTX 8000/6000)」を8枚組み込めるとともに、「NVIDIA Quadro 仮想データセンターワークステーション(Quadro vDWS)」ソフトウェアを使いVDI環境を構築することで、高速なグラフィックス処理を複数のユーザーに提供できる。

「NVIDIA RTX サーバー」は「RTX 8000/6000」を8枚組み込める
「NVIDIA RTX サーバー」は「RTX 8000/6000」を8枚組み込める(クリックで拡大)

 RTX 8000/6000は、「Turing(チューリング)」アーキテクチャを実装したプロ向けGPUボードであり、レイトレーシングに最適な「RTコア」とAI(人工知能)処理に最適な「Tensorコア」の組み合わせにより、極めて高速なリアルタイムレイトレーシングを行えることが特徴だ。2018年の発表から、急速に対応アプリケーションを拡大している。

 レイトレーシングは、現実の物理法則に従って、光線の透過や反射、鏡面への映り込みといった現象を非常に写実的にグラフィックスで表現する技術である。リアルタイムレイトレーシングは、その処理をさらに視点や物体の移動などに合わせて動的に行っていくものであり、3D CGを用いたゲームや映画制作などで採用されている。

 RTX サーバーは、このリアルタイムレイトレーシングが可能なRTX 8000/6000を8枚搭載可能であり、RTX サーバーに接続するユーザーは仮想化ソフトウェアのQuadro vDWSによって、この8枚のRTX 8000/6000による強力な処理能力をさまざまな業務に活用できるのだ。

アスクの鈴木雄一氏
アスク エンタープライズ営業部 部長の鈴木雄一氏

 NVIDIA製品のB2B向け展開を手掛けるアスク エンタープライズ営業部 部長の鈴木雄一氏は「RTX サーバーで3Dソフトウェアを動かすようにすれば、NVIDIAのGPUを搭載していない一般的なノートPCやタブレット端末からでも円滑に業務に利用できるようになります。また用途に応じて、プログラムをRTX サーバー側に置いたり、ユーザー端末側に置いたりといったことも当然可能です」と語る。

 これまで、製造業の設計開発業務で、高速かつ大規模な計算をさせる際にはCPUのクラスタマシンが使われることが多かった。これに対してRTX サーバーを採用するメリットとして、鈴木氏は「省スペースと省エネ」を挙げる。「CPUの場合は複数のマシンをクラスタにしますが、RTX サーバーの場合は1つの筐体に複数のGPUボードが収まっている形です。CPUクラスタマシンと比較すればサーバ設置のスペースはかなり小さくてすみ、かつ消費電力も少なくできます。そして、省スペースと省エネを実現できる以上、コストも削減できます」(鈴木氏)。

「VRED Professional 2021」でCPUとGPUのレイトレーシング速度を比較

 アスクは、顧客企業の求めに応じて、RTX サーバーの実力を確認できるデモンストレーションを披露できる体制を整えている。中でも、自動車の設計開発業務で広く利用されているオートデスクのビジュアリゼーションツールの最新版「Autodesk VRED Professional 2021(以下、VRED Pro 2021)」を用いたデモは、RTX サーバーの実力が伝わりやすい内容になっている。

 アスク ソリューション&コンポーネント事業部 エンタープライズ営業部 プロダクト・コンテンツグループの白澤圭司氏は、「自動車の設計開発の現場で、例えば上長や決裁者に対してレビューをする場合、VREDなどを使って見せる車両デザインはできるだけリアルである方が納得してもらえます。しかし、レイトレーシングをしない通常のレンダリングの場合、車室内のさまざまな場所にある陰やミラーへの映り込みなどを再現できません。その一方で、レイトレーシングを高速で処理するには、かなり大規模のCPUクラスタが必要であり、このことが大きな課題になっていました」と説明する。

デモを披露するアスクの白澤圭司氏
「VRED Pro 2021」を用いた「RTX サーバー」のデモを披露するアスク ソリューション&コンポーネント事業部 エンタープライズ営業部 プロダクト・コンテンツグループの白澤圭司氏

 最新版であるVRED Pro 2021は新たにGPUでのレイトレーシングに対応しており、もちろんRTX サーバーにも対応している。そこで白澤氏が披露してくれたのが、車両モデルのレイトレーシングについて、RTX サーバーに搭載されているCPU「Xeon Silver 4114」×2個を用いる場合と、GPUであるRTX 8000/6000×8枚を用いる場合の速度を比較するデモだ。

 VRED Pro 2021の操作画面ではCPUによる計算とGPUによる計算の切り替えをボタン1つで簡単に行える。ここでは、周囲光の影響までを考慮して演算する「フルグローバルイルミネーション」を適用し、自動車のアングルをインタラクティブに変える。その表示フレームレートをCPUとGPUとで比較すると、CPUでは1fpsにも満たないにもかかわらず、GPUでは13.7fpsほどの性能が出ている。体感としては、CPUの環境でビューを移動させるとコマ送りのようなモーションで動くのに対し、GPUの環境では自在にヌルヌルとビューが動かせてストレスがない。「CPUモードの負荷状況を見ると、このレイトレーシング処理でかなりの負荷が掛かっていることが分かります。その処理を、ボタン1つの操作でCPUモードとGPUモードを切り替えた瞬間にCPUの負荷が減り、その分GPUに負荷がかかりますが、スムーズな動きになるのがお分かりいただけると思います」(白澤氏)。

「VRED Pro 2021」のレイトレーシングモードの表示
「VRED Pro 2021」のレイトレーシングモードの表示。「RTX サーバー」を使えば、自在にヌルヌルとビューが動かせてストレスがない(クリックで拡大)

 VRED Pro 2021のレイトレーシングモードは、サンプリング品質などにもよるがどうしても表面にノイズが出てきてしまう。RTX サーバーであれば、RTX 8000/6000のAI機能を活用したノイズ低減機能「OptiX AI デノイザー」を利用できる。CPUでは、これらのノイズに対処するのは難しいが、OptiX AI デノイザーをオンにしておけば即座にノイズ除去を実行してくれる。

「OptiX AI デノイザー」を使えば即座にノイズを除去してくれる
「VRED Pro 2021」のレイトレーシングモードはどうしても表面にノイズが出てきてしまうが、「OptiX AI デノイザー」を使えば即座にノイズを除去してくれる(クリックで拡大)

 そして、アンチエイリアスの適用による本番レンダリングではCPUとGPUの性能の違いが如実に表れる。アンチエイリアスボタンを押してからレンダリングが終了するまで、CPUは4分28秒かかるが、GPUは29秒で済む。つまり、CPUと比べてGPUは約9倍の速さになる。デモを見た体感としても、明らかにスピーディーだ。

 さらに、レンダリングを開始させファイル出力するまでの時間を計測して比較してみよう。現在、VREDのユーザーであれば4Kでの処理が一般的なので、動画解像度「DCI 4K(4096x3112)」で試してみる(レンダリング品質は少し下げ、本稼働とする)。その結果、CPUで約21分かかった処理が、GPUは50秒で完了した。CPUと比べてGPUは21倍以上の速さを実現したわけだ。「既にデモを実際にご覧になったお客さまも、このスピードに非常に驚かれていました。この能力が、自宅にある一般的なPCからでもリモートで利用できるようになることも大きな魅力になると思います。弊社では独自のプラットフォームソリューションでVRED向けにクラウドレンダリングできるサービスを準備しています。2020年9月に予定していますので、詳しくは弊社にお問合せください(白澤氏)。

究極のリアルタイムコラボレーションを実現する「NVIDIA Omniverse」

 RTX サーバーの実力は、ここまでで十分にお分かりいただけたと思う。さらにRTX サーバーは、NVIDIAの3Dデザインコラボレーションプラットフォーム「NVIDIA Omniverse(以下、Omniverse)」を用いた、リモートワークのコラボレーションでもその力を発揮する。

 Omniverseは、ピクサー(Pixar)がオープンソースで公開している汎用シーンフォーマット「USD(Universal Scene Description)」を用いて、さまざまな3D CGや3D CADなどのツールを同一プラットフォーム上でシームレスかつリアルタイムにつなぐシステムだ。例えば、ピクサーのCGアニメーションのような映像制作では、さまざまな3D CGツールが使用される。監督やプロデューサーは、これらのツールで作られた成果物がまとまった状態を見ながら映像制作を進めることになるが、求めるシーンを実現するための修正を行うには、各成果物を修正、再レンダリングし、1つにまとめるための手間がかかるという課題があった。

 Omniverseは、これらの課題の解決に向けて開発された。異なるツールで取り扱う成果物を同一プラットフォーム上でシームレスかつリアルタイムにつないで見られるので、ある成果物に対して修正を加える場合には、その指示に従って成果物の担当者が修正を行えば、Omniverse上でその修正がリアルタイムで反映される。「これまでは、各成果物を組み合わせて映像が完成したにもかかわらず、監督やプロデューサーの一声で全てやり直しになることもありました。Omniverseがあればそんな心配はありません」(白澤氏)という。

左側の「Autodesk Maya」による編集内容が、右側の「Omniverse」の画面に即座に反映される
左側の「Autodesk Maya」による編集内容が、右側の「Omniverse」の画面に即座に反映される(クリックで拡大)

 これは、製造業の設計開発業務でも長年提唱されてきた「フロントローディング」と同様の考え方だ。つまり、Omniverseを使えば、製造業でも開発初期段階から、エンジニアではない営業や企画担当、経営者などあらゆる関係者をレビューへ巻き込み、意識のすり合わせを行いながら製品開発を進めて、その後の手戻りも大幅に削減できるようになるわけだ。

 RTX サーバーは、このOmniverseに必要なGPUの処理能力を備えるだけでなく、デザインコラボレーションの仕組みである「Nucleus Services」を組み込むことで、Omniverseの提供基盤になる。

 NVIDIAは2020年秋のパブリックベータ版リリースを目指してOmniverseの開発を進めている。アスクも、RTX サーバーとOmniverseの先行バージョンを用いたデモを披露できる体制を整えており、「映像制作関連の他、建築・建設分野からもOmniverseを用いたデザインコラボレーションの引き合いは強いです」(鈴木氏)としている。

 将来的にOmniverseは、これまでNVIDIAが注力してきたXR技術とも連携させ、より没入的なデザインコラボレーションを3D空間内で行えるようすることも検討しており、今後の展開が非常に楽しみだ。

設計開発だけではなく、人の生活にも柔軟性を

 製造業の設計開発業務では、世界中の拠点とコラボレーションすることが日常になってきている。それぞれの拠点にいちいち集まることはなく、インターネット環境を通じてコミュニケーションを取ることは、コロナ禍以前から始まっており、ポストコロナ時代でもますます加速していくことは必定といえる。

 このコロナ禍がきっかけで、今後はますます、業種や職種に関係なく、リモートワークを積極的に取り入れた新しい働き方が浸透していくだろう。設計開発の効率化やスピードアップはもちろんだが、その仕事に携わる人たちの生活に柔軟性を与えて豊かにできる可能性も秘めている。RTX サーバーは、そんな世界の実現の一助となってくれそうだ。

アスクの白澤圭司氏と鈴木雄一氏
「RTX サーバー」の提案活動に向けて意気込むアスクの白澤圭司氏(左)と鈴木雄一氏(右)

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提供:エヌビディア合同会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2020年9月20日

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