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産業用IoTの中心地で何が生まれるのか、ハノーバーメッセ2019プレビュー産業用IoT

インダストリー4.0など産業用IoTの新たなトレンドが生まれる世界最大の産業見本市「ハノーバーメッセ」。2019年はどういう傾向が生まれるのだろうか。グローバルでの産業用ソリューションでの中心展示会として注力するマイクロソフトと、同社ブースに日本から出展する日立ソリューションズの展示内容をプレビューとして紹介する。

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インダストリー4.0の進捗確認の場である「ハノーバーメッセ」

 「ハノーバーメッセ」はドイツのハノーバーで開催される、オートメーションやデジタル生産システム、エネルギーシステムなど、産業関連技術を紹介するB2Bの総合展示会である。2019年の出展企業は世界75カ国6500社で来場者数は22万人を見込んでいる。

 ハノーバーメッセがこの産業IoTの分野でトレンドを作る重要な展示会だとされるようになったのは、ドイツが推進するモノづくりの革新プロジェクト「インダストリー4.0」が発表されたからだ。ハノーバーメッセの会場で、2011年にコンセプト発表が行われてから、毎年その進捗確認の場として位置付けられ、ドイツ連邦共和国首相であるアンゲラ・メルケル氏が毎年その状況を視察するのが恒例となっている。

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ハノーバーメッセ2016のレセプションの様子 出典:ハノーバーメッセ

 インダストリー4.0はドイツ連邦政府の戦略的施策「High-Tech Strategy 2020 Action Plan(高度技術戦略の2020年に向けた実行計画)」の一環で行われているプロジェクトで、サイバーフィジカルシステム(CPS)による新たなモノづくりの姿を実現することを目指したものである。このインダストリー4.0がきっかけとなり、世界中で産業用IoTに対する取り組みが活発化し、現在の第4次産業革命と呼ばれる動きにつながっている。

 ハノーバーメッセでは実際に、インダストリー4.0にかかわる多くの企業や研究機関が新たな技術を紹介するとともに、新たな取り組みなどの数多くの講演が行われている。これらの場での交流を通じて、国家間や団体間、企業間での新たな協力や提携などの動きにつながってきたことから、年々世界中の企業から重視されるようになってきているのである。

産業用ソリューションの主要展示会として出展を年々強化するマイクロソフト

 マイクロソフトではここ数年、産業用ソリューションの主要展示会としてハノーバーメッセを重視し、ユーザーやパートナーと共に、出展を重ねてきた。2015年には、ドイツのKUKAやThyssenKruppなどのユーザーと出展し、人と協調するロボットやリモート監視、予兆保全などの展示を行った。2016年には英国のRolls RoyceやスイスのABB、米国のJabilなどのユーザーと出展し、クラウドを使ったバリューチェーン全体でのIoT活用など大きなテーマを紹介した。

 2017年には、スウェーデンのTetra PakやイタリアのCOMAU、スウェーデンのSandvik Coromantなどと出展し、MR(Mixed Reality)を使ったデジタルツインの事例とAIによる業務支援などを紹介した。さらに2018年には、日本の豊田自動織機やスイスのBUHLERなどと出展し、「インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジ」のコンセプトの元、エッジ側のソリューションと組み合わせた価値を訴えた。

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ハノーバーメッセ2018のマイクロソフトブース(クリックで拡大)

 2019年は「Intelligent Manufacturing」をテーマに、マイクロソフトが推進するデジタルトランスフォーメーションの価値などを訴求する計画だとしている。

ハノーバーメッセに初出展する日立ソリューションズ

 ハノーバーメッセ2019において、マイクロソフトブースにパートナー企業として日本から出展するのが日立ソリューションズである。

 日立ソリューションズは日立製作所グループの企業として、IT(情報技術)とOT(制御技術)のそれぞれのノウハウを生かしたスマートマニュファクチャリングを推進している。「スマートファクトリー」「サービタイゼーション」「グローバルサプライチェーンマネジメント」「経営マネジメント」の4つのカテゴリーでの提案を進めているが、今回ハノーバーメッセ2019に出展するのはこの「サービタイゼーション」についてのソリューションだ。

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日立ソリューションズ スマートライフソリューション事業部 副事業部長の紀平篤志氏

 日立ソリューションズがハノーバーメッセに出展するのは初めてのことだが、出展の理由について日立ソリューションズ スマートライフソリューション事業部 副事業部長 理事 兼 営業統括本部 ITモダナイゼーションセンタ 副センター長の紀平篤志氏は「このサービタイゼーションに関する一連のソリューションは日本と米国の拠点がそれぞれ開発を行い、一連のサイクルを完成させたものです。グローバルでも製造業をはじめとした産業に受け入れられると考え、産業用ソリューションでグローバルへの情報発信力を持つハノーバーメッセでアピールすることを決めました」と述べている。

 サービタイゼーションとは「製品をモノとして提供するのでなく、サービスとして提供する」ということである。製造業はモノを価値として販売しているが、製品がIoT化していく中で、モノを通じて常にデータを取得できるようになる。この「使用データをいつでも取得できる」ことを利用し、データにより生み出した価値をサービスとして販売するということだ。

 具体的な例としては、Rolls Royceなどの航空機エンジンの例が有名である。航空機エンジンでは、エンジンそのものを販売するのではなく、エンジンの時間ごとの出力に対して課金するという「パワーバイザアワー(Power By The Hour)」という方式が採用されている。これは、航空機エンジンをモノとして購入するのではなく、パフォーマンスベースの契約を行うということだ。

 今回日立ソリューションズが出展するサービタイゼーションのソリューションは、これらを視野には入れているが、今回はまずはその手前となる製品データの取得と活用を目指したものとなる。

 製品データを活用することで、フィールドサービスを高度化するソリューションを用意した。具体的には、フィールドサービスにおける「センサー情報の収集」「情報の分析とワークオーダー作成」「最適な技術者の手配」「現場保守メンテナンス」「収集した各種データの分析」の5つのステップに対し、「IoT Service Hub」と「フィールド業務情報共有システム」の2つのソリューションを通じ、フィールドサービス業務の負荷低減と高度化を両立させることを目指す。

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日立ソリューションズ 営業統括本部 ITモダナイズ推進部部長の柳雅紀氏

 日立ソリューションズ 営業統括本部 ITモダナイズ推進部部長の柳雅紀氏は「フィールドサービス業務における情報のフィードバックループを作ります。このループを回転させることで業務フローにおけるそれぞれの効果が定量的に把握できるようになります。このデータを基に改善を進めることで効果的な効率化を実現できるようになります。これらのソリューションは部分的にではありますが、日立グループの中で既にPoC(Proof of Concept)などを始めています」と語る。

 それぞれのソリューションを見てみると、「IoT Service Hub」は、IoTで収集されデータレイクに蓄積された情報の分析とそれによって得られた知見を、分かりやすく業務プロセスに合わせた形で表示し、具体的な行動につなげることができるというものである。

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「IoT Service Hub」の画面イメージ(クリックで拡大)出典:日立ソリューションズ
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日立ソリューションズ スマートライフソリューション事業部 通信サービス本部 テレコムソリューション部 担当部長 奥出隆之氏

 また「Extended Field Service」はフィールドサービスにおける技術者の最適なアサインなどを実現できるというものである。これらで割り当てられたフィールド作業員の業務を支援するのが、「フィールド業務情報共有システム」となる。スマートグラスなどを用いて、作業指示などを与え、現場の保守メンテナンスを効率化するというソリューションである。

 同ソリューションの開発にかかわった、日立ソリューションズ スマートライフソリューション事業部 通信サービス本部 テレコムソリューション部 担当部長 奥出隆之氏は「フィールド作業員の熟練技術者不足は全世界的に高まっています。スマートグラスなどを通じて、現場情報を取得すると同時に、そこで得た情報から熟練技術者が遠隔地などから指示を出せれば、これらの課題の多くは解決することができます。またフィールド作業員にとっては自然な業務作業を行うだけで自動的にログを残せるようになるため、作業終了後の報告書作成の作業などを大幅に軽減することが可能となります」と利点について語っている。

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「フィールド業務情報共有システム」の使用イメージ(クリックで拡大)出典:日立ソリューションズ

 これらの一連のソリューションを支えているのが、マイクロソフトの各種ソリューションである。例えば、「IoT Service Hub」では「Azure IoT」や「Power BI」が基盤となっており、データレイクのデータは「Power BI」ですぐに表示できるという点が特徴となっている。また、「Extended Field Service」は「Dynamics 365 for Field Service」をベースとしている。さらに「フィールド業務情報共有システム」については、さまざまなスマートグラスが使えるものの会場では「HoloLens」体験も可能だという。

 マイクロソフトとの取り組みについて、紀平氏は「サービタイゼーションのソリューションは日立ソリューションズの中で日本と米国の拠点をまたいで開発を進めてきました。そもそものこの開発環境からMicrosoft Azureで行うことを決めていました。マイクロソフトのアプリケーションをベースに開発したソリューションなどもあり、これらの流れで全てのベースをAzureなどで統合することで、今後さらに機能を進化させたときでも発展性を確保できると考えました」と述べている。

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日立ソリューションズが進めるサービタイゼーションのサイクル。マイクロソフトとの協力で実現(クリックで拡大)出典:日立ソリューションズ

グローバルでの販売を拡大へ

 日立ソリューションズでは、ハノーバーメッセでの出展を通じ、今後はこれらの一連のソリューションをグローバルで積極的にアピールしていく方針である。「従来は海外向けでは、Dynamics 365の導入などを中心に展開してきましたが、新たなソリューション展開などを通じAzureをベースとしたサービス展開などにも積極的に取り組んでいきます。ハノーバーメッセはその1つのきっかけだと考えています。ハノーバーメッセは産業技術としてグローバルへの影響度を持つ展示会です。欧州だけではなく、米州やその他地域へのアピールにもつなげていくつもりです」と紀平氏は出展の抱負について述べている。

ハノーバーメッセ2019の最新情報をより深く入手したい方に

マイクロソフト Japan Meet-up

 日本マイクロソフトでは、ハノーバーメッセの会場で、日本からご参加されているお客様やパートナー様、日本企業の現地法人の方などをつなぐMeet-up セッション「Japan Meet-up」を用意しています。

  • 日時:2019年4月4日(イベント 4日目)16〜18時
  • 場所:The Gallery(ハノーバーメッセ会場 マイクロソフトブース裏)
  • アジェンダ:ハイライト紹介とネットワーキングパーティー
  • 参加条件:参加費無料、事前登録不要、お名刺を2枚お持ちください

会場へ伺えない方には、日本でレビューセミナーを用意

 ハノーバーメッセ2019に参加した、ベッコフオートメーション、豊田自動織機、日立ソリューションズ、日本マイクロソフトの識者が「現地で見た最新動向や今後の産業用IoTのトレンド」について紹介します。

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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2019年4月24日

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