日本発のスマート工場への取り組み――最新産業用ネットワークに求められる技術:スマートファクトリー
製造現場のIoT活用などスマートファクトリー化が加速している。しかし、IT企業やシステムインテグレーターなどの少ない地方ではこれらの流れに取り残されがちだとされる。こうした企業の支援も含め、積極的な普及活動を進めているのが、産業用ネットワーク「MECHATROLINK」の普及を担うMECHATROLINK協会である。2018年11月14日、16日に神戸と博多で開催される「オートメーションコンポーネンツフェア2018」をプレビューする。
製造現場においてIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などを活用するスマートファクトリー化に取り組む動きが製造業の中で活発化している。抜本的な効率化を実現したり、人手不足などで苦しむ現場の省人化を実現したりするために、先進技術を活用しようという動きである。
従来の製造技術者に加えて、新たにIT技術者やデータサイエンティスト、ロボットシステムインテグレーターなどが必要になるこれらのスマートファクトリー化への取り組みは、地方こそ難易度が高くなる状況がある。
実際に経済産業省が毎年発行するモノづくりの動向を示す「2018年版ものづくり白書」では、「IT企業におけるIT人材やロボットシステムインテグレーターなどの専門人材は、日本全体でも絶対量が不足していることに加えて、地域偏在性も見られる」と地方での人材確保の難しさを指摘している。
スマートファクトリー化の動きを地方で盛り上げるセミナー
ただ、製造業のスマートファクトリー化の真価は、サプライチェーン全域におけるデータ連携を実現することであり、地方企業などでもこれらを実現することで大きな付加価値を獲得することができる。そこでさまざまな地域にあるモノづくり企業に向けて、最新の技術やソリューションの価値を訴えるイベントとして、MECHATROLINK協会が開催している「オートメーションコンポーネンツフェア(ACF)」がある。
MECHATROLINK協会は、モーション制御に強みを持つ産業用オープンネット規格であるMECHATROLINKの普及拡大の役割を担っている。MECHATROLINKは、2003年に公開された日本発のオープンフィールドネットワークだが、フィールドネットワークの中でも特に、モーターなどの動きに代表されるモーション(動き)を制御する仕組みが得意としており、「モーションフィールドネットワーク」とも位置付けられている。高速通信と同期性の保証が強みで、製造機械など高速、高精度な動きの制御で貢献している。IEC国際標準の規格として採択されているネットワーク技術は、スマートファクトリー化への関心が高まる中で入会希望や反響も急進しており、2018年9月末時点で参画している企業は3224社となっている。
MECHATROLINK協会では毎年、さまざまな普及活動を推進しているが、主要地方を巡って幅広く開催されるのが「ACF」である。
2018年度は、2018年11月14日に兵庫県神戸市の三宮コンベンションセンター、同月16日に福岡県福岡市のFFB HALLで開催を予定しており、最新情報を発信する。
「MECHATROLINK-4」と「Σ-LINK II」の価値を訴求
2018年度のACFのテーマは「新しいモノづくりの実現をサポートするMECHATROLINKソリューション」である。2017年に発表した最新バージョンの規格「MECHATROLINK-4」と、I/Oネットワーク「Σ-LINK II」の概要などを紹介する。
「MECHATROLINK-4」は、従来の「モーションに強いフィールドネットワーク」という立ち位置はそのままに、スマート工場化や製造装置のIoT化などの動きに最適な機能を追加したことが特徴となる。具体的には、3つの機能強化を実現。1つ目は、伝送効率の大幅向上による接続ノード数の拡大、2つ目が複数伝送周期への対応による設計の自由度の拡張、3つ目がマルチマスターの採用である。いずれも高速化や多重化などのネットワークとしての基本性能を高めつつ、IoT化によりさまざまな機器との接続や設定変更などにより、今後必要性が増す「柔軟性」への対応を強化している。
一方、「Σ-LINK II」は、従来のエンコーダー用通信(Σ-LINK)としての高機能・高信頼性通信を維持しつつMECHATROLINKのようなカスケード接続を可能とすることでモータエンコーダーとセンサー信号の共通化ができ、省配線化などを実現できる技術だ。センサー信号を高速に取り込むことで高機能化にもつながる他、MECHATROLINKとの連携によりセンサーデータとモーションデータの同期が可能となる。
ACF会場では、それぞれの規格の特長をデモにより紹介する他、最新のPCソリューションなどについても紹介する計画だとしている。
他にもパートナーの機器やデモなども行う。アルゴシステム、エニイワイヤ、オリエンタルモーター、キーエンス、CKD日機電装、システック、シュナイダーエレクトリック、ソフトサーボシステムズ、テクノ、日本テキサス・インスツルメンツ、ネクスコム・ジャパン、ヒルシャー・ジャパン、安川情報システム、安川電機、横河電機、リコーインダストリアルソリューションズの16社がスポンサーとして出展し、それぞれの最新ソリューションなどを披露する。
さらに、スマートファクトリーの実現に向けては、製造現場の技術とITなどの技術の融合が欠かせない話を先に述べたが、基調講演として、エッジからクラウドまでシームレスなデータ連携を訴える日本マイクロソフト デバイスパートナー営業統括本部 IoTデバイス本部 Azure担当部長 村林智氏が講演を行う。同社は「インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジ」とする考えを訴えており、クラウドとの連携とともにエッジ(現場)領域の高度化の重要性について紹介する。
主要都市に限定せず、より多くの人や企業に最新の情報を発信するとともに、MECHATROLINKによるスマート工場化や自動化などを加速させていきたい考えである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- AIやIoTとの融合が加速、MECHATROLINKが描く工場の変化とパートナーシップ
- 15周年を迎えたMECHATROLINK、最新技術によるモノづくりへの貢献とさらなる進化
- スマート工場を支えるMECHATROLINKが進化、分散制御に最適な柔軟性を実現
- MECHATROLINK協会が3000社を突破、スマート工場化の波に乗り躍進
- スマートファクトリー実現へ、工場IoTのカギを握るMECHATROLINK
関連リンク
提供:MECHATROLINK協会
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2018年11月18日