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イタリアからIoTの風を日本に、EUROTECHが組み込みからクラウドまでをシンプルにする

具体例の増えてきたIoT(Internet of Things)だが、導入によって生まれる“新たな価値”について、私たちはまだ十分な理解をしていないかもしれない。では提供する側は“新たな価値”をどう認識しているのか。IoT/M2Mの風上から風下まで提供する体制を持つ、EUROTECHグループのChairman兼CEO、 Roberto Siagri(ロベルト・シアグリ)氏に話を聞いた。

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 “バズワードを脱した”と表現されることも増えたIoT(Internet of Things)だが、具体的な実現のためには解決すべき要素が多く、導入が容易とは言いにくい。また、ビジネス的な視点で見れば、“導入によってどのようなプラスを得られるか”を示す具体例が少なく、身近なものと感じられない人も多い。

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EUROTECHグループのチェアマン兼CEO、 Roberto Siagri(ロベルト・シアグリ)氏 ユーロテックは産業向け組込みコンピューティング・プラットフォームやサブシステムを提供するとともに、ソフトウエアやサービスを統合し、IoT/M2M向けインテグレーション・プラットフォームとして提供している。本社はイタリアで、ヨーロッパ、北米、日本に拠点を構え、日本では「アドバネット」ブランドでビジネスを展開している

 しかし、人間同士のコミュニケーションが対面しての対話でしか成立しなかった時代に電話が登場して人と人のコミュニケーション(Human to Human)が利便性を増し、時代が下るとパソコン通信やインターネットの登場でデータ通信によるヒトと機械のコミュニケーション(Human to Machine)が可能となり、私たちはそのメリットを既に必要不可欠なものとして享受している。

 そして現在、機械同士がコミュニケーションをとるM2M(Machine to Machine)も珍しくない。人口に膾炙する「IoT」もM2Mの概念を拡張したものと言え、ヒトと機械、さらには多くのモノ(Things)が繋がることによって、新たな価値が生まれようとしている、その現場に私たちは立ち会っているのだ。ただ、その価値は発芽の段階であり、生まれる価値についての共通認識を私たちは持っていない。

 それではIoT/M2Mを提供する側としては、IoT/M2Mという基盤によってどのような新たな価値がもたらされると考えているのか。IoT/M2M インテグレーションプラットフォーム「Everyware Cloud」を提供し、グループ企業には産業用組み込みボードのアドバネットを有することで、IoT/M2Mの風上から風下までを提供する体制を持つ、EUROTECHグループのチェアマン兼CEOである、 Roberto Siagri(ロベルト・シアグリ)氏に話を聞いた。

IoT/M2Mは“ビジネスの影の主役”となりつつある

 話を伺う前に、EUROTECHグループについて補足しておこう。同社は1992年にイタリアで設立された企業で、PC-104の小型コンピュータとスーパーコンピュータ(HPC:High Performance Computing)の開発製造を皮切りに事業を拡大、現在ではIoT/M2M向けのソフトウェアおよびソリューションにも積極的で、IoT/M2M インテグレーションプラットフォーム「Everyware Cloud」やM2Mを構築するためのフレームワークである「Everyware Software Framework」なども提供している。

 HPC研究に端を発するネットワーク関連の技術レベルは高く、マシン間通信プロトコルとして注目されている「MQTT(Message Queuing Telemetry Transport)」は同社とIBMが共同でドラフト仕様を作成したものだ。MQTTはTCP/IPをベースとしながら、容易な実装とヘッダの軽量化を果たしており、Facebookのモバイルメッセージアプリに採用された事でも知られる。

 同社は2007年11月に組み込みボードの開発製造を手掛けるアドバネットをグループに迎え、組み込みボードから小型コンピュータ、HPC、クラウドとIoT/M2Mに関するハードウェアとソフトウェア双方を、日本でも提供できる体制を構築している。拠点はイタリアと日本のみならず、イギリス、フランス、アメリカにも構えており、CEOのシアグリ氏は日米欧のIoT/M2M事情を肌で知る人物と言える。

――現在、世界的にはIoT/M2Mはどのような状況にあると感じていていますか

シアグリ氏: 一言でいえば“エンベデッドコンピュテーションの革命”といえる状態にあり、特に製造業において革命が起きているといえる。大量のモノが繋がることで大きなビジネスが生まれ、製造業のサービス化、つまり、製品を中心とした経済(エコノミー)が、サービスを中心としたエコノミーに変化している。これは、製品を売ることから、サービス(インテリジェンス)を売る事へのシフトと表現してもいい。

 その変革の中、組織としては製品のインテリジェンス化が大きな意味を持つ。さまざまな要素がエンタープライズへ接続されることで、よりよいカスタマーエクスペリエンスを提供できることになる。ビジネス的に言えばIoT/M2Mの導入とはCRM(Customer Relationship Management)の導入に近く、IoT/M2Mは“ビジネスの影の主役”となりつつある。

 IoT/M2Mを導入する企業にとって、「マネタイズ」「セキュリティ」「スタンダード」は大きなポイントになる。そのうちセキュリティとスタンダードは提供側の努力で多くを解決できるが、マネタイズはまだ難しいのが現状だろう。

自動車を移動手段として売るな

――IoT/M2Mの導入事例を見ているとコスト低減など、マイナスをゼロにするニュアンスの話が目につきます。ゼロをプラスにする、付加価値の提供をするためには何が必要となるのでしょう

シアグリ氏: やや概念的な話になるが、物を売ると言うより「関係を構築すること」が必要となるだろう。製品にお金を払うのであれば、価格を下げるなどの話になりがちだが、「サービスを売る」ことでエコノミーが変化し、IoTが新たな価値を生むことになる。

 自動車で言えば、移動手段としての自動車を売るのではなく、インターネットに接続されたIoT端末としての自動車を売るとすれば、新たな価値を創造することになるだろうし、その発芽は見え始めている。

 ヒーターは部屋を暖める機械、コーヒーマシンはコーヒーを入れる機械だが、ネットワーク端末化すればヒーターは帰宅前に部屋を暖め、管理センターと情報をやりとりすることで故障率を下げることができる。コーヒーマシンは豆の消費から売れ筋を観測する端末となり、売り上げ増に貢献できる。いずれも既にその効果が数値として表れている事例だ。

 EUROTECHはクラウド/ゲートウェイ/組み込み用ボードといった、IoT/M2Mに欠かせない要素を全て自社グループで提供でき、それはIoT/M2M導入の煩雑さを下げることにつながる。もちろん、顧客ごとにカスタマイズは必要だが、共通基盤を全てグループで提供できることは私たちの大きなメリットだと考えている。

EUROTECHならではの強み

――いわゆる「IoTプラットフォーム」と呼べるものは、Amazonの「kinesis」やIBMの「Bluemix」など他にも存在します。EUROTECHとしてIoTへの取り組み、競合に対する強みとは何でしょうか。

シアグリ氏: ハードウェアベンダーとして創業したこともあり、今に至るまで、PCのハードウェアが小型高性能化し、ネットワークに結合されていく様子を眼前で見てきた。ただ、最近ではつながることによってコンピューティングが分散していき、より複雑になっているように感じる。

 つまりIT(Information Technology)とOT(Operation Technology)が乖離しているのだ。それをもう一度、結びつける必要があると考えて、クラウド「Everyware Cloud」やM2Mデバイスフレームワーク「Everyware Software Framework」(ESF)など、トータルでの仕組みを用意した。

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EUROTECHグループが提供するIoT/M2M インテグレーションプラットフォーム「Everyware Cloud」とM2Mデバイスフレームワーク「Everyware Software Framework」、この2つを同社では「EDC」(Everyware Device Cloud)と呼んでいる

 そこで提供しているのは、ITとOTをつなぐ「Integration Platform as a Service(iPaaS)」とも呼べるものだ。リアルタイム性やセキュリティを確保したままに、フィールドから素早くデータを収集するだけではなく、データ生成とデータ消費(処理)を分離し、データを再利用・再活用する事が可能だ。

 現在、データは新しい価値であり、データとアプリケーションをひも付けせず、データそのものの価値を高めることが大切になる。繰り返すが、「データの生成」と「データの消費」を分けることが大切なのだ。

 その考えをIoT/M2Mプラットフォームに当てはめると、大切なのはデータ管理とデバイス管理となり、私たちの「Everyware Cloud」はその両方を顧客の望む形で提供できる。デバイス管理にはセキュリティ機能も含まれるし、それも提供する。

――Industry 4.0やIndustrial Internetといった“つながる”ことを活用しようとする潮流、OICやIICなど標準化団体の動向についてはどのような感想を持たれますか

シアグリ氏: 技術的な側面でいえば標準化は1つの要素として必要だろうとは思うが、基本的な考え方としてはオープンソースの精神を尊重したい。私たちとIBMが開発したプロトコルのMQTTも含めて、現在使われている技術の多くはオープンソースを基にしており、オープンソースコミュニティとの連携は重要になるだろう。

 各種標準化団体の多くは現状に即していないように見え、積極的に関与したいとは思えない。流れるデータの中身が同じでも、コネクタの規格が違えばやりとりはできなくなるようなものだ。何が市場に受け入れられるかを見極める必要があるだろう。

――EUROTECHグループはアドバネットをグループ傘下としていますが、EUROTECHグループとしては日本市場をどう見ているのでしょうか

シアグリ氏: 世界的にも日本は重要な市場だと認識しており、アドバネットを窓口に、欧州で実績のあるソリューションを日本市場に向けて強く展開していきたい。重要なのはパートナーとのエコシステムなので、日本市場ではアドバネットとともに、今まで以上のサポートを構築していくことで、これまで以上のプレゼンスを発揮していきたいと考えている。

 アドバネットは2007年にEUROTECHグループに入った企業で、HPCの基板をイタリアで共同開発してアドバネットの岡山工場で生産するなど、お互いのリソースを活用するなど、そのシナジーは十分に発揮されている。製品ポートフォリオで言っても、小型コンピュータとHPC、クラウドなどを持つEUROTECHグループと、優れたボードコンピュータやネットワークボードを持つアドバネットは補完し合う関係だ。

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アドバネットのインテリジェント PCI Express EtherCAT マスタボード「AdEXP1572」

 日本市場ではコンシューマ、精密機械、FA(Factory Automation)、医療機器といった分野に注目している。なかでも、ヨーロッパで先行している遠隔医療(テレメディシン)は、これから日本でも伸びると考えている。


 ここ最近、本当に「IoT」「M2M」といった単語を耳にする機会が増えた。これは関心を持つ人の増加を物語る。しかし、エンドデバイスからゲートウェイ、ミドルウェア、クラウドと関係する領域は非常に幅広く、また、その組み合わせは複雑であり、どのように導入するかを一言で説明するのは難しい。

 しかし、EUROTECHグループはオープンソースの技術に基づくソリューションをエンドデバイスからクラウドまで用意しており、IoT実現の複雑性をワンストップで解消できる。日本国内での展開についても、ボードコンピュータ製造において実績を持つアドバネットが窓口となり、欧州で実績あるソリューションを本格展開しようとしている。組み込み技術からクラウド、サービスまで広く対応できる技術力も併せ持つ、同社に注目だ。

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提供:株式会社アドバネット
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2015年8月22日

アドバネット

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