Windows XP EmbeddedからWindows Embedded 8 Standardへ移行するための3カ条:Microsoft MVP for Windows Embeddedが教える
組み込みシステム分野でもXPからのOS移行を真剣に検討すべきときがきた。今なお、多くの組み込み機器で稼働する「Windows XP Embedded」の延長サポートが2016年1月13日に終了を迎えるからだ。「まだ2年もある」と先送りにしていると、将来のビジネスチャンスを失いかねない。XPからのOS移行にどう向き合うべきか、失敗しないために今できることとは何か?
マイクロソフトのデスクトップPC向けOS「Windows XP」の延長サポートが2014年4月9日(日本時間)をもって終了する。IT系情報誌やWebメディアを中心にOS移行の話題で持ち切りだが、組み込みシステム分野も人ごとではない。
例えば、組み込み機器向け専用ライセンスの「Windows XP Professional for Embedded Systems」はWindows XPと同日に延長サポートが終了してしまうし、ターゲットに合わせて機能を任意に選択できる「Windows XP Embedded」も2016年1月13日に期限切れを迎えてしまう。一方、新機能の追加などを含めたメインストリームサポートで見てみると、「Windows Embedded Standard 2009」は既に終了、「Windows Embedded Standard 7」も来年(2015年10月14日)には停止してしまう。
OS名 | メインストリームサポート | 延長サポート |
---|---|---|
Windows XP Embedded | 2011年1月12日 | 2016年1月13日 |
Windows Embedded Standard 2009 | 2014年1月15日 | 2019年1月9日 |
Windows Embedded POSReady 2009 | 2014年4月9日 | 2019年4月10日 |
Windows Embedded Standard 7 | 2015年10月14日 | 2020年10月14日 |
Windows Embedded POSReady 7 | 2016年10月12日 | 2021年10月13日 |
Windows Embedded 8 Standard | 2018年7月11日 | 2023年7月12日 |
表1 主なWindows Embeddedファミリーのサポート期限(日本時間) |
現在、多くの組み込み機器に採用され、今なお現役で稼働しているOSの1つが、Windows XP Embeddedだ。猶予は2年あるが、Windows XP Embeddedを用いた組み込み機器開発を行っている企業は、できるだけ早くOS移行を検討すべきだ。なぜなら、OS移行に伴う評価・検証には手間とコストが掛かり、先送りにすればするほどトータルコストが高くつくからだ。
では移行先のOSの選択はどうすべきか。Microsoft MVP for Windows Embeddedの受賞者である、岡谷エレクトロニクスの高橋一夫氏は「新規提案やリプレイスを考えた場合、どうでしょうか? セキュリティ更新モジュールの提供やバグ修正が行われないOSをあえて選択し、お客さまに提案するのは最善といえません。特別な理由がない限り、できるだけ新しいOSを選択すべきです」と説明する。
画像1 岡谷エレクトロニクスの高橋一夫氏。Microsoft MVP for Windows Embeddedに認定されている技術者であり、岡谷エレクトロニクスが主催するハンズオンセミナー「Windows Embedded Standard トレーニング」の講師も務める
移行への道――その1:トータルメリットの大きい最新OSを選択すべし!
新しいOSを選択すべき理由は何か。それは(当たり前だが)、サポート期間が長いことだ。Windows XP Embeddedからの移行候補の1つである「Windows Embedded 8 Standard」を例に挙げると、延長サポート期限は2023年7月12日まである。
「Windows XP EmbeddedからWindows Embedded Standard 2009への移行を検討するケースもあるようですが、ハードウェアやドライバが再利用できたとしても、アプリケーションの動作を含めたシステム全体の評価・検証は必ず行わなければなりません。これだけ手間とコストを掛けて移行しても、延命できるのはたったの3年です。それならば、先を見据えて最新のWindows Embedded 8 Standardを選択すべきです」(高橋氏)。
さらに、Windows Embedded 8 Standardを採用することで、デスクトップOSで培われた最新機能、高度なセキュリティ、強化されたネットワーク接続性などを享受できる。また、最新の統合開発環境を用いたアプリケーション開発が行える点もメリットといえる。当然、ハードウェア性能も要求されるが、その分、比較にならないほどの高いパフォーマンスを発揮してくれる。
OS移行には手間とコストが掛かる。であれば、長期間安心して使用でき、プラスαで得られるメリットの大きい最新OSを選択すべきだろう。
移行への道――その2:最低限、移行の検討だけでも進めるべし!
Windows XP EmbeddedからWindows Embedded 8 Standardへの移行を考えた場合、デスクトップOSでいえば、その間に「Windows Vista」「Windows 7」が存在し、3世代進化している。「当然、累積の変更点は多岐にわたります」と高橋氏。その中で最初の障壁となるのが、OSイメージの構築だという。
Windows XP Embeddedでは、OSイメージに含める機能を選択するツールとして「Target Designer」が使われていたが、Windows Embedded 8 Standardでは「Image Configuration Editor(ICE)」が用いられる。「ツールそのものの目的は大きく変わっていませんが、使い方はもちろんのこと、OSの機能がリッチになるにつれて取り扱うモジュール数も増加し、それらの整合性の取り方も異なっています」(高橋氏)。
OS移行を先送りにすればするほど、最新バージョンとの差が大きくなり、あらゆる面で戸惑いが生じる。結果として、検証・評価により多くの手間とコストが掛かる。「先送りにするとギャップは広がっていくばかりです。そうならないためにも、移行の検討だけでも進めておくべきです」と高橋氏は警鐘を鳴らす。
移行への道――その3:ハンズオンセミナーを活用すべし!
こうしたOS移行の検討や具体的な作業をサポートすべく、岡谷エレクトロニクスでは「Windows Embedded Standard トレーニング」を実施。多くの提案・開発実績を踏まえ、Windows Embedded 8 Standardの開発ツールの使用方法などをハンズオン形式で指導してくれる。
最大の特徴は、仮想環境ではなく、ターゲットとなる実機を用いて、構築したOSイメージのインストールやデバイスドライバの導入・検証などが行える点だ。「例えば、in-box driverでは対応できないデバイスを使用可能にするには、デバイスドライバを別途インストールする必要があるのですが、これが意外とやっかいで検証や解析が不可欠です。こうした実践的な部分は、実機環境でなければ学べません」と高橋氏。
画像3 岡谷エレクトロニクスのハンズオンセミナー「Windows Embedded Standard トレーニング」の様子。Microsoft MVP for Windows Embeddedの受賞者である高橋氏が、OSイメージの作成からデバイスドライバのインストール、アプリケーション開発に至るまで、さまざまなノウハウ、テクニックを教えてくれる。また、あらかじめ要望を伝えておけば、実際の開発ターゲットに近い環境を用意してくれるという
Windows XP EmbeddedからWindows Embedded 8 Standardへの移行を進めていくと、そのギャップに戸惑い、さまざまな壁にぶつかることも多い。そうした際、多くの手間とコストを掛けて自らの努力で切り抜けるよりも、実機環境を用い、有識者から直接学んだ方が何倍も効率的であることは言うまでもない。
これからOS移行を検討しようという方や、Windows Embedded 8 Standardの新規利用に興味のある方は、岡谷エレクトロニクスのハンズオンセミナーを受講してみてはいかがだろうか。必ずや自社製品の開発の助けとなるだろう。
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提供:岡谷エレクトロニクス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2014年3月11日